チリ(チリ大地震)

チリのマウレ州を震源として2010年(平成22年)2月27日、マグニチュード8.8の地震が発生。死者525人、行方不明者23人、損壊家屋27万9000戸、経済損失約300億ドルの被害をもたらしました。

緊急救援

日本赤十字社(以下、日赤)は、国際赤十字・赤新月社連盟によるチリ大地震に向けた緊急アピールに対して、2028万円の資金を提供しました。また、7人から成る医療チームを派遣して、マウレ州パラル病院で基礎保健緊急対応ユニット(ERU)を活用し入院病棟の機能回復を支援しました。

復興支援

被災者に提供されたボート

今回の地震・津波によって、漁業もしくはそれに関連する仕事に従事されている方が多く被災されました。

日赤は2010年7月よりチリ赤十字社(以下、チリ赤)との二国間事業として、津波被害を受けた漁業に関係する方の生計が回復するための支援として、以下の事業をを行ってきました。

第1期支援事業:ボート・エンジンの配付

津波によって、住居、家財、ボートや漁具をなくした漁師延べ147人に、ボート70隻、エンジン137台を提供しました。

第2期支援事業:漁業関連団体への支援

漁業が徐々に再開していくと同時に、地域経済の発展が課題となります。

第2期の支援では、漁業や生産加工に携わる漁業関連団体が計画・立案したプロジェクトに必要な機材や建設物を提供しています。

例えば、収穫物を巻き上げる巻上機や会場での安全を確保するための無線機や全地球測位システム(GPS)、そして貝を養殖するための施設も支援しています。全19案件のプロジェクトのうち、およそ80%が完了しました。

沿岸部の地域保健事業(国際赤十字を通じた支援)

これからの災害に備えて、救急法や保健衛生の講習会を行いました。動画で講習会の様子をご覧いただけます。

機材提供だけではない能力向上のための支援を

ワークショップでの受益者の皆さん

上記のような支援がまとめの時期に入ってくると、これまでの効果をいかに持続してもらえるかが課題となってきます。

機材が提供されてもそれを効果的に活用するための知識が不足している場合があり、十分に支援の効果が得られていない場合があります。

そこを補うために、日赤のスタッフとチリ赤のスタッフが協働し、受益者の皆さんの能力向上のためのセミナーやワークショップなどを企画・開催しています。「組織管理」「マーケティング」「商品の品質向上」など、学ぶべき項目が多々あります。

組織基盤強化支援

マネキンを使って救急法を学ぶチリ赤の青年ボランティアたち

日赤はチリの首都サンティアゴで、チリ赤の青年ボランティアの活動拠点となる専用施設作りを支援します。

これにより若者たちによる赤十字ボランティアの活動がいっそう活発になり、チリ赤の組織基盤や災害対応能力が強化されることが期待されています。専用施設は9月中旬から利用できる予定です。

チリ赤は組織基盤強化の一環として、青年ボランティアが所属する青年部の活動に力を注いできました。

2010年に甚大な被害をもたらしたチリ大地震や、今年4月に相次いで発災した北部地震と世界遺産の港湾都市バルパライソの大火災などに際して、青年ボランティアたちは目覚しい活動を展開し、ボランティアを志願する若者の数も増加しています。

中でも首都圏の若い赤十字ボランティアを取りまとめるサンティアゴ青年部は、チリ赤の災害対策部や保健部などとも連携して活動領域を広げています。ところが同青年部が活動に利用しているのは、チリ赤本部の中庭。若者たちが活動しやすい夜間や週末は利用しにくく、そのために活動の発展が妨げられているのが現状です。

日赤の支援は土地・建物の購入に充てられます。専用施設はサンティアゴの中心部にある建物で、事務所や会議室、研修室、倉庫を設けます。今後、コミュニティー活動のためのプラン作成、ボランティアの育成、各種訓練、レクリエーションなどさまざまな活動に利用されることになります。

なお、チリ赤青年部は主に以下の活動を展開しています。

  • 災害発生時の救援活動サポート
  • クラブ25の活動(主に若年者の献血促進、エイズ予防、性感染症の予防)
  • 気候変動についての知識普及、性教育、暴力回避、学校安全、応急手当促進などの教育活動
  • 差別・暴力の排除のための心的態度・行動変容を促すワークショップ
  • チリ赤による赤十字普及活動へのサポート

支援概要はこちらからもご覧いただけます。

チリ大地震に対する日本赤十字社の対応(2014年6月)

救援金の使い道(2014年6月)

緊急救援

医療資機材、職員の派遣等:1億2849万円
国際赤十字を通じた支援:2029万円

復興支援

ボートやエンジンの配付: 2億268万円
漁業関連団体への支援: 1億4393万円
地域保健: 2619万円
組織基盤強化: 2900万円
職員の派遣等: 4366万円
事業管理費等: 3565万円
お寄せいただいた救援金額 計 6億2999万円

~温かいご支援をありがとうございました~

事業評価報告

事業評価報告書はこちらからご覧ください。

チリ大地震復興支援漁民生計再建事業終了時評価報告書(2014年3月)

チリ大地震復興支援で日赤が実施した二国間支援事業に対する評価が、外部専門家を加えた評価チームにより実施されました。

事業の妥当性、有効性、インパクト、効率性、持続性、事業マネジメント、連動性の7項目において評価され、以下に掲げる教訓と提言が得られました。

評価総論

事業は中長期的な地域社会の発展にも寄与する内容で、支援の届いていない被災者や地域の高いニーズに焦点を当てた支援であることから、妥当性は非常に高く、同時に有効性・インパクトも高いと評価されました。

また効率性と持続性は中程度とされる一方、事業マネジメントについてはチリ赤に復興支援の経験が少なく、組織としての仕組みが形成途上であったことから運営面以外でも課題が残り、事業実施の効率性にも影響があったことが指摘されました。さらに連動性に関しては事業の計画時と終了時に強く意識されていると一定の評価を得ました。

教訓

(1)援助案件においては、事業実施者が主体性、当事者意識を持つことが重要であることから、当事者意識の確保に向けて以下の3つの対応が可能だったと思われる。

① 事業形成から実施までの過程で、過去の経験に照らして適切な助言を提供する体制をつくる。

② マネジメントの基盤づくりに、他事業の事例や経験を参照する。

③ ボトムアップによる現場の知見を事業の実施過程で、計画の修正に生かす。

(2)支援後の管理状況の把握にモニタリングが必要である。

提言

(1)先進国・中進国の復興支援では受益者の選択と集中を行い、より高い効果・影響を追及する。

(2)事業の持続性を担保するための、赤十字以外の機関・団体などとの連携、協力を推し進める計画を策定時から取り入れる。

(3)チリ赤支部ボランティアの活用により、受益者とのコミュニケーションを円滑化し、事業の調査をより密に行う。

日赤は、今回の評価によって得られた教訓や提言を今後の類似事業の改善につなげ、事業の効率性確保に生かしていきます。

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