新型コロナウイルス感染拡大で、支援に求められる「テクノロジーの活用」

 新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は、世界の感染者が累計で1,000万人、死者が50万人を超え、感染拡大が続いています。こまめな手洗い、人との距離をできるだけ保つ、大声で会話しない等、感染を防ぐための様々な予防策が世界中でとられています。皆さんも、この感染拡大の中で、ご自身の生活の仕方が変わってきているのではないでしょうか。

 私たち赤十字も支援の形を工夫し変化させています。今までの記事では、私たちの国際赤十字全体としてのCOVID-19に対する活動をご紹介いたしましたが、今日はこの中でも特にCOVID-19下においてテクノロジーやデジタルデバイスをどのように支援に活用しているかという点をご紹介したいと思います。

感染の発見と拡大の防止のためにテクノロジーを活用

 感染症の流行の早期発見と対応を目的とした「コミュニティ・ベース・サーベイランス(CBS)」の活動がCOVID-19でも進められています。コミュニティ・ベース・サーベイランスとは、地域の赤十字ボランティアが身の回りの病気の拡がりや健康状況など公衆衛生上重要な出来事を体系的に発見し報告する仕組みです。ボランティアからの報告により、コミュニティにおける健康リスクに関する情報を収集、分析、解釈し、疾病のアウトブレイクを予防、特定、対応することができます。

 2017年にソマリアでコレラが流行したことをきっかけに、ソマリア赤新月社(ソマリア赤)は、ノルウェー赤十字社の協力を受けて、感染症の流行の早期発見とその対応を目的としたCBSに積極的に取り組んでおり、現在のCOVID-19の拡大予防にも活かされています。

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テキストメッセージで報告を送るソマリア赤ボランティア©ソマリア赤新月社

 ソマリアの農村部では、インフラが十分に整備されておらず、医療施設へのアクセスも困難な状況です。

 ソマリア赤のボランティアは、自分たちのコミュニティでCOVID-19の症状を訴える人が出た場合に、携帯電話のテキストメッセージを送信し、ソマリア赤や保健当局に注意を喚起することができます。リアルタイムでの報告とモニタリング、さらに保健当局を含むすべての関係者へ情報共有することで、早期対策が可能となり、感染拡大を未然に食い止めることにつながっています。

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 また、フィリピン赤十字社は、COVID-19の感染者との濃厚接触や感染者の多い地域などが判明するスマートフォンアプリ「RC143」を開発。感染経路を調べるために役立てられています。世界各国では、新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触した可能性を知らせるこのようなアプリの導入が進められており、日本でも利用が開始されたところです。(右:フィリピン赤十字社のアプリ「RC143」©フィリピン赤十字社)

ホットラインでこころのケア

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ホットラインでの対応の様子©バングラデシュ赤新月社

 COVID-19は感染そのものの予防対策ももちろん必要ですが、ロックダウンや外出制限などといった特殊な環境下でのメンタル面への負担にも対応する必要があります。支援を必要としている人に直接会いに行くことは難しくても、ホットラインを開設して、電話やスマートフォンを使ったコミュニケーションをとることで、コミュニティの人々の疑問や不安、隔離で感じる孤独、などに対応している赤十字社もあります。

バングラデシュ赤新月社は、6名のボランティアと専門知識を持つ2名の医師でこのホットラインに対応。並行して研修を実施し、対応できるボランティアの数を増やしています。

「デジタルボランティア」で広がる支援の輪

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デジタルボランティアのキアラさん©イタリア赤十字社

 皆さんは、「デジタルボランティア」という言葉を耳にしたことがありますか?今、国際赤十字では、特に欧米を中心としてこの考え方が広がってきています。

 デジタルボランティアは文字通り、デジタルの分野においてボランティアを行うこと。自分自身のITの知識やコミュニケーション力を生かして、ロックダウンの状態で家にいなくてはならない中でも、赤十字の活動に貢献することができます。

 イタリア赤十字社のデジタルボランティア、 キアラさんもその一人。自分が住んでいるモデナ市の感染状況と、それぞれの地区の防護服やマスクなどの資材の在庫をマッピングする活動をしています。

 「自分がどこにいても、必要としている人の支援にこういう形で携わることができることは、自分自身にもとても励みになっています」とキアラさんは話します。上記でご紹介した「こころのケア」の分野においても、在宅の形で電話応対の活動に参加しているボランティアも多数存在します。

 「ニューノーマル」や「ウィズコロナ」といった言葉も聞かれるようになりましたが、国際赤十字全体としても、テクノロジーやデジタルデバイスを駆使しながら、これまでとは違った形でこの危機に対応しているところです。

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