フィリピンとネパールの駐在員が対談

~住民の笑顔と寄付者の想いに応えたい、が原動力!~

日本赤十字社(以下、「日赤」という)は世界各地に駐在員を派遣して、事業の企画や運営管理、また現地赤十字・赤新月社との調整等を行っています。今号では、同じアジア地域のフィリピンで保健医療支援事業を担当する森本真理駐在員と、ネパールの地震復興支援事業に携わる五十嵐和代駐在員による対談をお届けします。

人道支援に関わろうと思われたきっかけは?

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五十嵐和代・日赤ネパール代表部首席代表
(左から2人目)
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森本)1980年代はじめ、海外に住みたいと漠然と思っていました。同時期にカンボジア難民のタイ流入が報道されて、これだ!しかも意味のある仕事が出来る!と飛びつきました。国際NGOで働き、半年ほど関わったのが最初です。五十嵐さんは?
 (五十嵐)私は、もともとアフリカの教育開発に携わっていて、エチオピア赴任中に東日本大震災が起こりました。あの衝撃的な映像を見て、自分の国のために何かをしたいという思いからその後、帰国。子ども支援の国際NGOで福島での復興支援の仕事に就きました。当時は人道支援というよりは、とにかく日本のために何かをしたいという衝動の方が強かったかもしれません。

赤十字で働くことになった経緯は?

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森本真理・日赤フィリピン代表部首席代表
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森本)タイの国境で出会った日赤の人との縁でしょうか。コソボ難民が発生した時、「この救援に行こう!」と思いたち、新聞に出ていた団体に電話をして売り込み、1999年に難民が流入しているアルバニアに行きました。そこで出会った日赤職員と話していて、もう20年近く前にタイ国境で私が出会った日赤職員Kさんのことを思い出しました。「Kさんてご存知ですか?」「そいつだよ、僕をここに送り込んだのは!」その後、日赤の海外駐在員向けの研修を受け、日赤から派遣されて働くようになりました。
 (五十嵐)いろいろな繋がりで赤十字に出会われたんですね。私は、福島での業務が終わる頃、日赤のネパール派遣職員募集を知りました。南アジアでの復興支援事業は初めてということで迷いもありましたが、思い切って応募したところ、幸い採用され今年で4年目になります。

これまでの赤十字での活動の中で、心に残っているエピソードは?

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フィリピン赤十字社オフィスで
フィンランドとドイツ赤十字社の同僚と(フィリピン)

森本)ジンバブエの事務所で働いていた10年ほど前です。アフリカの人は白人は見慣れているようですが、地方に行くと、アジア人は稀なようでした。食料配給で、現地赤十字社の担当者が300人近い住民に説明している時、私は後ろの方に立っていました。すると、私に気が付いた人がくるりと後ろを向きはじめ、300人の目がじっと私を物珍しそうに見つめていました。その時のことはよく覚えています。また、アフリカの人は歌や踊りが大好き。ある村を訪問したときです。到着した途端、女性たちが小さな円を描きながら、時々「レッド・クロス(赤十字)」という歌詞が入った歌を歌いながら、踊って歓迎してくれました。その楽しそうな様子はとても印象的で、今でも「一緒に踊ればよかった」と後悔しています(笑)。

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再建された診療所の引渡式の様子(ネパール)

 (五十嵐)嬉しかったことでは、日赤の支援で再建された診療所に、険しい山道を2時間もかけて妊婦さんが担架で運ばれてきて、無事、男の子を出産したことですね。実は、この診療所の再建は本当に大変で、紆余曲折を経てようやく全14棟の工事が終わるまで2年以上かかったんです。それでも、やっと再建が終わった診療所で元気な赤ちゃんが生まれて、「ああ、診療所を再建してよかった。これまで待っていてくれてありがとう」と心から思いました。着任してから、ネパールの人々の生きる力に圧倒されています。震災前から厳しい生活環境で暮らしてきたということもあるのでしょうが、逆境にあっても、それを静かに受け入れる。震災後2年ぐらいは、ほとんど何も動きませんでしたが、少しずつ、確実に村人たちは生活を再建して、今では村の復興ぶりに驚くばかりです。そんな村の光景を見ると、「ガミガミ言われなくても、自分たちのリズムでやっていくから心配するな」という村人の声が聞こえてきそうです。
 (森本)そうですね、地域の力を強化するという意味では、各地で若い赤十字ボランティアが活躍していますよね。フィリピンは今年に入ってはしか、デング熱、ポリオの流行が続きましたが、ボランティアを動員して情報収集したり、集団予防接種や予防キャンペーンを行ったり。
 (五十嵐)日々被災者を励まし、活動する赤十字ボランティアはネパールの復興にも大いに貢献していますね。

国際ニュース読者へのメッセージ

森本)世界には日本で暮らしていると想像ができないほど、劣悪な環境で生活をしている、日本の支援を必要としている人たちがいます。今の日本にも課題が多いことは事実ですが、あと少しだけ、世界にも目を向けてもらえればと願っています。私は寄付者の皆さまの「支えたい」という思いをお預かりして、支援が必要な人に確実に恩恵がいくよう、責任を感じながら日々業務にあたっています。
 (五十嵐)赤十字へのご支援ありがとうございます。日々の仕事の原動力となるのは、少しずつ生活が再建されていく被災者の笑顔と、寄付者の皆さんが日赤に寄せてくださる信頼にこたえたいという気持ちです。また同時に、私たちが皆さんの期待に応えられる活動をしているか、厳しい目で見ていただきたいとも思います。それが私たちの励みにもなり、緊張感を持って仕事にあたる後押しになっています。

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