インドネシア洪水:日赤が支援する防災ボランティアが活躍

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防災ボランティアのエディさん(中央:青ユニフォーム)とデデさん(右)。ボートで被災地に向かう©インドネシア赤十字社。

今年4月下旬、インドネシア共和国スマトラ島のベンクル州地域を豪雨災害が襲い、洪水により死者24名、4万5千人以上が被災する洪水が発生しました。

この災害では、日本赤十字社(以下、「日赤」)の支援で養成された現地の防災ボランティアが、いち早く救援活動に携わり、多くの村人の命を守りました。その様子をご報告します。

日赤は、自然災害リスクの高いインドネシアでコミュニティ防災事業を実施しており、平成28年(2016年)4月から今回の被災地となったベンクル州での活動を支援してきました。事業の詳しい取り組みについては、赤十字国際ニュース第12号(2019年3月31日発行)も併せてお読みください。

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防災ボランティアがゴムボートで洪水被災地に救援物資を届ける©IFRC

この事業は、防災の担い手がいない村落で実施。そうした村落で防災ボランティアを育成し、彼らを中心にコミュニティで必要な防災活動を実施することで、災害に強い地域づくりに貢献することを目的としています。

インドネシア赤十字社(5月8日時点)によると、今回の災害で同州1市5地域で45,142名が被災しました。また、家屋218棟が大破、1,784棟が一部損傷、27の学校施設で浸水等の被害が発生し、多くの人々は安全な場所へ避難することを余儀なくされました。

日本の行政・公共サービスのイメージとは異なり、インドネシアの農村部には消防隊や政府の救援部隊が被災地に到着するためには時間がかかります。そのため、災害救援の第一線でまずもって災害対応にあたるのは地域のボランティアなのです。

今回の災害対応では、日頃の地道な防災への取り組みが迅速な対応に結び付いた事例を、現地で実際に救援活動に従事した防災ボランティアの声を交えてご紹介します。

発災後、15日間で234個の水源(井戸等)を復旧

被災地に近接したベンクル市スンバジャヤ村は人口8,097人(1.997世帯)、パーム油産業や農業、漁業が主な産業であり、地震・津波のリスクに加えて洪水リスクも高い地域です。

日赤は平成28年(2016年)から、この村の人々と協力して村の防災を担う地域ボランティア組織を立ち上げ、村行政と連携しながら、防災知識を習得するための防災ボランティアに対する研修や災害時の対応手順づくり、地域住民への戸別訪問や防災イベントによる意識啓発等を通じて、災害に強い地域づくり(レジリエンス強化)に取り組んできました。

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水源の清掃・浄化活動に取り組む防災ボランティア©インドネシア赤十字社

スンバジャヤ村で防災活動を続けるエディさん(Mr. Edhy Jaya Putra)と、デデさん(Mr. Dede Raflesia)は、近隣地区の被災情報を確認し、いち早く救援活動に駆けつけたボランティアメンバーです。「私たちは、『ただ助けたい』という一心で、被災した地域住民およそ200人のために被災地域での避難誘導やゴムボートを使った救援物資の輸送を行いました」と活動を振り返ります。

洪水の水位が下がっても、井戸などの水源が洪水によって汚染され、使えないことから清潔な水を地域に配給するニーズが高まりました。 防災ボランティアは、被害の大きかった2つの地域で、二手に分かれてそれぞれ被災住民の利用する水源の清掃・浄化活動に率先して取り組み、被災後15日の間に234個の水源(井戸等)を再び安全に利用できる状態まで回復させました。

ユニフォームに着替える間もなく参集・活動!

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タンジュングバル村のハムダン防災隊長と、活動拠点となる災害対策本部©JRCS

同州カウル郡のタンジュングバル村は人口965人の小さな村です。日赤の支援しているこの村もまた、洪水によって家屋88棟が浸水する被害が出て、最高水位2メートルを記録しました。この洪水により、防災ボランティアの自宅も浸水・損傷する被害が出ました。

しかし、この防災ボランティアもまた、日ごろから受けてきた研修やシミュレーション、村行政との連携の成果を利用して、救護所を立ち上げ、炊き出しや救護所内の清掃活動、医薬品の輸送を行うなど、発災直後から迅速な活動を行いました。

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ユニフォームに着替える余裕はなかった防災ボランティア©インドネシア赤十字社

防災ボランティアを率いたハムダン隊長は活動を振り返って語りました。「日頃から防災について話し合い、準備できていたからこそ今日の洪水でも地域の力で即時に対応することができたのです」と。



今回の事例では、防災の大切さが明らかになったと言えます。皆様の温かいご支援、ありがとうございます。

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