ブルンジ: 映画で、楽しみながら学ぶ!

burundi01_MG_2908.JPGのサムネイル画像

映画を通じたコレラ予防の教育活動の様子
(ブルンジ国ブバンザ州)

日本赤十字社(以下、「日赤」)は2012年から、ブルンジに対し、貧困層への支援を国際赤十字・赤新月社連盟を通じて実施しています。特に、2016年からは映画やラジオ放送を通じて、防災や疾病予防に関する教育を実施しています。

今月上旬に日赤本社職員がブルンジを訪問し、事業のモニタリングを行いましたのでご報告します。

コレラの正しい予防はどっち?

burundi02rev2.jpgのサムネイル画像

A.シャワーを1日2回浴びる

B.手洗いや安全な水の利用

ブルンジは、2015年にクーデタが発生し、治安が大きく悪化しました。多くの難民も発生し、国内避難民が14万7千人以上(2018年10月現在)、ブルンジ国外にいるブルンジ人難民が37万人以上(2018年11月現在)にのぼります※1。一人当たりのGNI(国民総所得)は290米ドル(日本は38,550米ドル)で※2、健康、教育、所得という3つの側面において4段階ある人間開発指数の中で最も低いグループに属しており189カ国中185位です※3。

burundi03.JPGのサムネイル画像

モバイルシネマの前座で子どもたちがダンスを披露しています

こうした問題を解決するには、政府が法律や制度を整えるだけでは不十分で、住民一人ひとりにサービス等が行き届くには時間がかかります。そこでブルンジ赤十字社は、住民の意見を取り込み、赤十字と住民の間で双方向性の高い活動に取り組んでいます。その一つが、映画上映を通じた健康教育です。

今回訪問したのは首都ブジュンブラからおよそ50km(車で1時間)に位置するブバンザ州(人口は約40万人)の村。この村の広場に赤十字ボランティアとブバンザ州支部職員が、スクリーンやマイク、スピーカー、プロジェクターなどを車で運んで、コレラ予防の映画を上映しました。子どもたち、続いて大人によるダンスの披露、それから一人の男性が楽器を演奏しながらHIV予防の唄を歌い、会場を盛り上げたところで、ここからが本番です。

burundi04_IMG_2888.JPGのサムネイル画像

クイズに正解して景品の石鹸をもらえました

まずは、赤十字の職員が住民たちにコレラに関するクイズを出します。ところがさまざまな回答が返ってきて、なかなか正解に辿りつけません。たとえば、「"コレラ"の予防方法は?」というクイズには、「シャワーを1日2回浴びる」(正解は「手洗いや安全な水の利用など」)、「どのように安全な水を確保するの?」というクイズには、「数秒間、水を太陽の光にさらす」(正解は「水の煮沸処理など」)といった回答があり、基本的な衛生知識がないことに驚きました。

burundi05_IMG_2884.JPGのサムネイル画像 クイズに答える住民

burundi06_IMG_2897.JPGのサムネイル画像 手洗いの仕方の実演

burundi07.JPGのサムネイル画像

コレラ予防の映画上映会に参加したディユドネ・ムパウェナヨさん

一通りのクイズを終えたら、いよいよコレラ予防の映画上映です。コレラ予防について知らなかった知識を得られるのはもちろん、初めて見る大きなスクリーンでの映画と大音響に住民たちは目が釘付けです。映画を見た後に、またクイズを出すと、クイズの正解率は大きく上がります。さらに2回続けてコレラ映画を上映し、知識の定着を図りました。映画上映会に参加したディユドネ・ムパウェナヨさん(25歳)は、「コレラ予防の映画上映会では沢山の役立つ情報がありました。自分が地域のためにできることを学べたし、とても楽しかったです。ブルンジを支援してくれた日本の皆さんにとても感謝しています。もっと沢山の映画上映会を開催してくれたら、自分が地域を助ける知識が身に着く機会が増えるので、引き続きの支援をお願いします」と話してくれました。

予防にまさる治療なし - Prevention is better than cure -

病気になると、仕事や学校を休まなくてはならず、経済的損失にもつながります。また、治療費など貧しい家庭の経済をさらに圧迫します。赤十字は、「災害や疾病に強い地域づくり(コミュニティ・レジリエンスの強化)」に重点におき、住民の声を聴き、寄り添いながら、住民と共に、災害や疾病から身を守るための啓発活動を続けていきます。これらの活動は皆さまからの寄付で成り立っています。

※1:国連難民高等弁務官事務所Webサイト参照 ※2:世界銀行Webサイト参照 ※3:UNDP2018年報告書参照

たすけあい.png

このニュースの印刷用PDF版はこちら(698KB).pdf