インドネシア・スラウェシ島 地震災害から3週間

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9月28日現地時刻17時にインドネシア・スラウェシ島でM7.5の地震が発生。震源は、島の中部スラウェシ州の州都パルの北78キロに位置し、この地震に起因して最大11.3メートルの津波が発生しました。また、今回の災害では液状化により3,100棟が飲み込まれ、大きな被害をもたらしました。これまで死者2,113人、避難者は22万人以上に上り、未だ680人が行方不明となっています(10月20日現在 インドネシア国家防災庁発表)。

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地元インドネシア赤十字社(インドネシア赤)は発災直後から救援活動にあたりました。職員やボランティアの中には自らも被災し、家族の安否がわからない中、支援を必要としている人々のために救援活動を行い続けた者も。ボランティアのアンディ・サタさんもその一人。1週間以上経ってから、両親と再会を果たしたサタさんは「もう生きて会うことはできないものと思っていた」と、涙しました。

→家族との再会に涙するインドネシア赤のボランティア©IFRC

日赤の支援活動

日本赤十字社(日赤)は発災翌日に連絡調整員をインドネシアに派遣し、救援活動をサポートするとともに、緊急救援としてこれまで1000万円の資金援助とおよそ3300万円分の物資支援(毛布、雨風をしのぐためのブルーシート、テント)を国際赤十字・赤新月社連盟を通じて実施してきました。

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また、早期復興フェーズに焦点を当て、インドネシア赤の実施する保健医療活動の技術指導のため、現在、医師・看護師を緊急医療保健アドバイザーとして現地に派遣しています。海外救援に経験豊富な日赤のアドバイザーが医療技術の指導はもとより、仮設診療所の運営、巡回診療等の活動全般に係るアドバイスを行っています。

→インドネシア赤の職員にアドバイスを行う杉本医師と苫米地看護師

赤十字だからできること

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緊急医療保健アドバイザーが同行し、液状化被害の大きかったシギ郡バロンガ村で巡回診療を行った際、地震により脚に20㎝にわたる大きな傷を負い、家の中で身動きが取れずに安静にしている女性を診察。「交通費がかかるため、病院に行くことを断念していた」とのことでした。また、別の被災者も、病院での治療は無料で提供されるものの、家族が付き添うのための食事と交通費を工面できないため、地元の伝統的治療を受け自宅で安静にしていました。

経済的な理由から病院への通院・入院を断念せざるを得ない被災者を見落とさずに医療を必要なところに届けることができるのは、地元に根付いたボランティアたちの存在があってこそ。赤十字ボランティアが地域の生の声をくみ取り、最も支援を必要としている人を見つけ、活動に繋げることができるのは赤十字の最大の強みです。

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被災地に点在するインドネシア赤の医療支援活動の現場を回りながら、活動へのアドバイスをする杉本医師(名古屋第二赤十字病院)は、「インドネシア赤職員とボランティアのエネルギーとスタミナには目を見張る」と語ります。厳しい活動の最中にも「テレマカシ(ありがとう)」と挨拶と笑顔を絶やさないボランティアとスタッフの姿が、過酷な救援現場の支えとなっています。

←「テレマカシ(ありがとう)」とほほ笑む、インドネシア赤の炊き出しボランティア

現在、日赤のアドバイザーの2人は、支援が入りづらい震源地近くのトンぺ村にて、インドネシア赤の医療チームとともに仮設診療所設置の支援活動を続けています。未だ復興に時間を要するスラウェシ島での保健医療のニーズに対応できるよう、日赤は引き続き支援を続けます。

救援金受付名:「2018年インドネシア・スラウェシ島地震救援金」

1.受付期間 平成30年11月30日(金)まで

43号_インドネシア・スラウェシ島地震から3週間.pdf(711kb)