ヨルダン:地域住民の健康を守るのはボランティア

ヨルダンはシリアの南に位置しています。西側にはイスラエル、東側はイラクやサウジアラビアと隣接し南は紅海に面した中東の国です。  
 シリア危機から既に8年が経過し、日本ではその状況を知らせる報道も少なくなってきていますが、いまだ多くのシリア人が住み慣れた地を追われ、難民としてヨルダンに逃れてきています。
 現在、日本赤十字社(以下、日赤)から国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)へ出向し、ヨルダンで「地域住民参加型保健事業」にたずさわる桂川彩看護師(名古屋第二赤十字病院)が現地での活動の様子を報告します。

ヨルダン人とシリア人が協力して

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小学校での保健教育 ©連盟

ヨルダンではシリアだけでなく、多くの周辺諸国難民を受け入れたことで、もともとその地で暮らしている社会的に弱い立場にある人々の生活にも影響が出てきています。例えば、人の流入で需要が増え物価が高騰し、彼らの生活の経済的余裕がなくなり、病院に行くことを踏みとどまったり、必要な薬の購入ができない状況が発生し、彼らの生活や生命が脅かされつつあります。
 しかし、病気になる前にもっと自分たち自身で健康を守り、いざというときにもっと自分たちで適切な対応をとることができれば、どうでしょうか。

ヨルダン赤新月社と連盟ヨルダン事務所は、地域保健ボランティアを育成し、病気や予防に関する知識の普及だけではなく、住民の自発的な食習慣の改善や行動パターンの変化を促す保健教育や啓発活動を行う地域住民参加型保健事業(CBHFA)を実施しています。

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ボランティアのトレーニング ©連盟

この事業では、ボランティアが大きな役割を担っています。「地域の健康を守りたい」という共通の想いのもと、ヨルダン人だけでなく、シリア難民、また他国からの難民が一緒になり一つのチームとして地域で活動しています。
 そこに住んでいるからこそ、その地域のことを理解し、そこの人々との関係性を保ち、活動ができるのです。
 まず、ボランティアは知識や手法を学ぶため、いくつかのトレーニングを受けます。そして、地域での活動だけでなく、月1回の地域ボランティア会議に出席し、新たな知識を得たり、活動の成果を互いに共有して士気を高め合い、それを自身の活動地域に持ち帰って普及活動、支援活動をしています。

笑顔を見るのが好きだから

アスマさんはヨルダン赤新月社のボランティアを始めて3年が過ぎ、現在はボランティアのリーダーを担っています。今年5月末に第1子を出産し、すでに7月にはボランティア活動に復帰していました。なにが彼女の原動力となっているのでしょうか。

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ボランティアリーダーのアスマさん ©連盟

それは活動を通して、「人の笑顔を見ること」だと彼女は言います。「笑顔はお金では買えないもの。それと、純粋に人助けをしたいから。トレーニングで学んだ健康に関する知識は、自分自身の成長だけでなく、周りの誰かのために役立てることができると思っています」。
 そんなアスマさんの姿に感銘を受け、ボランティアに参加したいと志願した人もいます。その方も今ではヨルダン赤新月社の別のボランティアグループのリーダーとして活躍しています。「自分の姿を見て活動に参加してくれる人がいる、誰かに影響を与えることができることも、やりがいに繋がっています」とアスマさんは話してくれました。
 アスマさんもまた、シリアから逃れてきた難民のひとりであり、住み慣れた国に戻り、元の生活に戻れることを願っています。シリアに戻った後も、もちろん赤十字のボランティアは続けたいと希望しています。そして、いま生後3ヶ月のお子さんが大きくなった時、その子もボランティアの活動に参加させることが夢だそうです。

彼女たちが元の生活に戻れるまで、支援は必要です。先行きが見えず時間はかかりますが、彼女たちと一緒に、地域住民の健康を守れるよう、活動を続けていきます。

“中東人道危機救援金 募集中”
http://www.jrc.or.jp/contribute/help/cat751/

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