26億人の、トイレがない!

26億人の、トイレがない!

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「世界トイレの日」のロゴマーク

1日に約8回、1年で約2,500回。

時間に換算すると、一生のうちに約3年間。

私たちが毎日利用し、時間を過ごすその場所とは?

それは、トイレ。

日本に住む私たちにとって、清潔なトイレがあるのは当たり前のこと。しかし世界に目を向けると、26億の人々が、安全で衛生的なトイレを使用することができない状況にあります。実に、3人に1人という割合なのです。

11月19日は、国連が定めた「世界トイレの日」。トイレがないことで、世界ではどのような問題が起きているのでしょうか。今回は、トイレと子どもと教育の関係について、日本赤十字社が支援を行っているネパールでの事業と併せてご紹介いたします。

トイレと子どもたち

トイレがない。この劣悪な衛生状況のもとで生活する人々の中でも、最も大きな影響を受けているのが子どもたちです。抵抗力が弱い子どもは、不衛生な環境から下痢を患い、そのために1年間で約30万人が命を落としています。

また、トイレがないことは、他にも大きな影響を及ぼしています。それは教育です。毎日通う学校にトイレがないために、特に女の子たちが通学をあきらめてしまっています。プライバシーを守れるトイレがないことは、思春期を迎えた女の子には切実な問題なのです。

トイレはどこ?

写真は、ネパールの小学校(仮設校舎)の様子です。2015年4月に発生したマグニチュード7.8の地震で校舎が損壊してしまったため、子どもたちはこの仮設の校舎で勉強を続けています。

さて、トイレはどこにあるでしょうか?

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実は、この学校にはトイレがありません。

少し離れたところに位置する、もうひとつの別の仮設校舎にはトイレがあります。しかし、ふたつの仮設校舎を合わせると約100人の子どもたちが通う学校なのに、トイレの数はたったひとつ。

日本の小学校であれば当然のように男女に分かれ、複数の個室が備え付けられているトイレも、この学校にはひとつしかありません。男の子も女の子も、皆が同じトイレを使わなければならないのです。

また、水道の設備も壊れてしまっています。水を流すことも、十分な清掃はおろか、子どもたちが手を洗うこともできません。清潔とは程遠い状態です。

学校に、清潔なトイレを

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学校関係者と日赤ネパール代表部の職員

これらの写真は、日本赤十字社が実施しているネパール地震復興支援事業の様子です。地震により大きな被害を受けたシンドパルチョーク郡において、日本赤十字社は、被災した人々の住宅や地域の診療所の再建などを行っています。

同様に力を入れているのが、学校と衛生設備の再建です。地震に強い学校を建設し、衛生的なトイレと水道設備を整えれば、子どもたちは安心して学校に通うことができます。

特に女の子が教育を受け続けることができれば、学力が向上してより多くの可能性が生まれます。また、教育の重要性を知ることで、将来、彼女たちが母親となったときに、その子どもたちの育成に良い影響を与えることにもつながります。

安心して使える清潔なトイレが、学校にあること。これは、子どもたちとその未来に関わる大切な問題なのです。

日本赤十字社の国際活動

日本赤十字社は、190の国や地域に広がる赤十字のネットワークを生かし、世界各地で様々な国際活動を行っています。その一つが、保健衛生事業です。

  • 自然災害や紛争の発生直後に、被災者へ医療や衣食住の支援を行う、「緊急救援」
  • その後、被災した人々の生活や、地域の立て直しを支援する、「復興支援」
  • 平時から人々の健康を守り、衛生的な居住環境を整備する、「開発協力」

これら全てのフェーズにおいて、日本赤十字社は保健衛生事業を実施し、トイレの建設、安全な飲料水の供給、手洗い等衛生教育の普及などを行っています。

人々が、健康的で安全な生活を営むことができるように。

日本赤十字社はこれからも、世界中の赤十字社・赤新月社と共に活動を続けていきます。

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