世界に広がる「救命の連鎖」

目の前で人が倒れているときや苦しんでいるとき、私たちにできることは何でしょうか。救急法は、誰もが持っている「苦しんでいる人を救いたい」という優しいこころを、行動に移すための勇気と自信に変える手段です。今回の国際ニュースでは、世界に向けて発信される「世界救急法の日」と、日本赤十字社(以下、日赤)が行っている海外姉妹赤十字社への救急法普及支援の取り組みを紹介します

WFADってなに?~9月9日は「世界救急法の日」~

First Aid最初の一枚.pngのサムネイル画像

今年のテーマ「家庭内の事故」にちなんで連盟が作成した視覚教材

救急法の普及は、世界の多くの赤十字・赤新月社が力を入れて取り組んでいる事業のひとつです。2014年には、116カ国の赤十字・赤新月社により新たに1500万以上の人が救急法を学んでいます。
 国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)は、毎年9月第2土曜日を「世界救急法の日(ワールド・ファースト・エイド・デー:WFAD)」と定め、世界中の赤十字・赤新月社で救急法を普及するイベントを開催しています。

2017年は、年齢や性、地域に関わらず、すべての人に起こりうる「家庭内の事故」がテーマです。

家庭内の事故は、ほとんどが未然に防ぐことができるものでありながら、その死者数は交通事故による死者数を上回るほど多いといわれています。
特に、小さな子どもの事故が最も多いことから、幅広い年齢層の人々が事故防止の方法と救急法を学び、緊急時に自信をもって対応できる技術を身につけてもらうよう推進することを目的としています。
連盟は、家庭に潜む危険をゲーム感覚で学ぶことができる視覚教材を各国赤十字・赤新月社に発信するなど、情報を共有して普及の輪を広げています。

日赤では、救急法等の講習を通じて、家庭など身近で起こる事故の危険性や予防と手当の方法を、市民のみなさまに普及しています。また、全国各地でも親子で参加できる救急法イベントを開催しています。

海を越えて、ともに人のいのちを救う努力をする仲間として~日赤指導者を現地へ派遣~

日赤は、2004年から東ティモール、2008年からカンボジアとミャンマーの各赤十字社に対して、財政面と技術面から救急法普及事業を支援しています。
 これらの国は、世界的に見ても、未だ病院や救急制度が十分に整っていないため、いのちを守るために、住民ひとりひとりが事故を予防する知識と、救急法の技術を身につけることがとても重要になります。

First Aid二枚目.png

マグウェ管区指導者研修会で胸骨圧迫する受講者(ミャンマー)

各国赤十字社は、ボランティアの指導者を養成し、その指導者が地域の住民や学校に救急法を普及します。
日赤は、毎年各国に救急法指導員を派遣し、現地の指導者のスキルアップに協力しています。

日頃から日本国内で講習の指導にあたっている経験豊富な救急法指導員からの指導を通じて、各国赤十字社は新しい知識と技術を学び、地域へのさらなる普及に役立てます。

 平成28年にミャンマーに派遣され、同国の指導者研修会に参加した田澤さん(青森県支部救急法指導員)は

First Aid三枚目.png.jpg

現地の救急法指導者へ三角巾の包帯を教える日赤指導員(ミャンマー)

「行政の救急医療システムが届かない部分を赤十字のボランティアや応急手当の知識と技術を身に付けた人たちでカバーし合い、その普及という大きな役割を各地域の救急法指導者が担っていることが、研修中の熱心な姿勢から伝わりました。
救急制度や講習資材の整備状況の違いはありますが、救急法の普及に懸ける思いに違いはないことを強く感じました」と語ってくれました。


救急法普及支援をとおして、支援をする・されるという関係だけでなく、国を越えた救急法の普及に携わる同志として、互いに尊重し合う関係を築いています

国内でも海外でも、救急法のさらなる普及を目指して

 目の前の人のいのちをつなぐことが、その先にある世界の人々を救うことにつながります。
日赤は、日本国内でも年間約80万人の方々に救急法などの講習を普及しています。今後も、一人でも多くの方に講習を受けていただくとともに、社会のニーズに合わせて、より効果的かつ魅力的な講習を目指します。

 いざというとき、あなたの行動により、救われるいのちがあります。
その一歩を踏み出すために、あなたも救急法を学んでみませんか。お問合せ・お申し込みは、お近くの日赤の各都道府県支部

本ニュースのPDF版はこちら.pdf