知っていますか?9月10日は世界救急法の日。~日本赤十字社が支援する3カ国での取り組み~

 目の前にけがや病気で苦しんでいる人がいるとき、私たちにできることは何でしょうか。救急法は、誰もが持っている「苦しんでいる人を救いたい」という思いを行動に移すための手段です。

 赤十字は、毎年9月第2土曜日を「世界救急法の日(ワールド・ファースト・エイド・デー)」と定め、毎年この日には、全世界の赤十字・赤新月社が様々なイベントを開催し、事故予防のための知識や救急法の普及に努めています。  

 今回は、世界救急法の日にちなみ、日本赤十字社(以下、日赤)が支援しているアジア・大洋州の赤十字社による救急法の取り組みを紹介します。

災害に脆弱なアジア・大洋州での地域住民による救急法の実践

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「世界救急法の日」で救急法の広報キャンペーンを実施(東ティモール赤十字社)©JRCS

 日赤は、2004年から東ティモール、2008年からカンボジア及びミャンマーに対して、財政面・技術面の両面から、各赤十字社の救急法普及事業を支援しています。

 これらの国があるアジア・大洋州地域は、世界的に見ても、台風や洪水、地震、津波など、自然災害の多発している地域のひとつです。また、経済的な発展が進み、都市部での交通量が増加したことで、交通事故の頻発が問題視されている地域でもあります。いまだ、病院や救急制度が不十分な同地域では、災害や事故からいのちを守るために、住民自らが救急法を身に付けることが求められています。

継続的に日赤から指導者を現地に派遣

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ミャンマー赤十字社の救急法指導者研修会で実演する大﨑さん©JRCS

 救急法を地域や学校に普及するのは、トレーニングを受けたボランティアの指導者です。日赤は、毎年各国に救急法指導員を派遣し、現地の指導者のスキルアップに協力しています。

 派遣されるのは、日頃から日本国内で講習の指導にあたっている経験豊富な救急法指導員。2015年にミャンマーに派遣され、同国バゴー地域で開催された指導員研修会に参加した大﨑さん(大阪府支部ボランティア)は、その時の感想を次のように語っています。

「ミャンマー赤十字社の講習は、現場での実践を重要視し、ケーススタディを多く取り入れていました。日本では、119番通報をすればすぐに救急車が駆けつけますが、この国はそうではありません。研修会の参加者には実際に傷病者を救助した経験がある人たちも多く、自分たちが家族や仲間の命を救うんだ、という強い気持ちを持って参加しているのがとても印象的でした。」

ミャンマー赤十字社ボランティアの経験談

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自らの経験を誇らしげに話してくれたキン・ソーウィンさん©JRCS

 15歳のときからミャンマー赤十字社でボランティアをしている、キン・ソーウィンさん。小学校の校長先生をしながら、自身が住むマンダレー管区で、救急法の普及を行っています。これまで数えきれないほど救急法の講習をしてきたと言う彼女ですが、実際に救急法で人命救助した経験も語ってくれました。

 「私が住む地域にはミャンマーの中でも有名な宝石が採れる鉱山があります。あるとき、鉱山で人が生き埋めになってしまう事故があり、私も救助活動に参加しました。私が手当をした人は、はじめ息をしていなかったのですが、懸命に心肺蘇生を行った結果、命を救うことができました。救急法を学んでいて本当に良かったと思った瞬間です。」

日本でも海外でも、より効果的な救急法普及講習を目指して

 日赤は、日本国内でも年間約80万人の方々に救急法などの講習をとおして、緊急時の手当て、事故防止に必要な知識や技術を普及しています。今後も、一人でも多くの方に講習を受けていただくとともに、時代のニーズに合わせて講習の内容を改訂するなど、より効果的かつ魅力的な講習を目指します。こうして日本国内で培った救急法の知識と技術は、海を越えて海外での救急法普及事業の支援にもつながっていくのです。

 いざというとき、あなたの行動により、救われる命があります。その一歩を踏み出すために、あなたも救急法を学んでみませんか。

 お問合せ・お申し込みは、最寄りの都道府県支部(http://www.jrc.or.jp/search/study-link/)まで。

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