ケニアの保健医療システムを支える愛ホップ事業

日本赤十字社は、ケニア赤十字社が2007年から行っている地域保健強化事業「 IHOP : Integrated Health Outreach Project(愛ホップ)」(以下、「IHOP」という)を支援しています。地域保健ボランティアの育成や、住民を対象とした健康教育や対話集会、巡回診療を行なうことにより、地域の病気予防や保健医療施設の機能強化を目指しています。

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ガルバチューラ県コンボラ村での巡回診療

事業地のケニア共和国ガルバチューラ県は、同国北東部に位置し、見渡す限りの半乾燥地帯に集落が点在しています。政府の保健医療サービスはこの地域までは充分に届いていないため、ケニア赤十字社は県病院と協力して、医療施設のない村々に医師や看護師などの医療スタッフを派遣して、巡回診療を行っています

砂漠のオアシスのような存在“巡回診療”

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栄養士による栄養状態の評価 

人口約1000人の村、コンボラでは、土壁でできた小学校の教室の一部を使って、ケニア赤十字社の臨時診療所が開設され、ケニア人の医療スタッフによる診療活動が行なわれています。

この日の診療には、産前産後健診や乳児健診を含めて、100人近い住民が訪れ、医師による診察、マラリアなどの血液検査、身体測定や栄養状態の評価、投薬や予防接種、補助栄養食品の提供など、さまざまな保健医療サービスを受けました。

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乳児健診に訪れた女

子どもの予防接種に訪れた女性は、「この事業の開始前は、病気になったら診療所のある隣村まで、何時間もかけて行かなければなりませんでした。私たちにとってIHOPは砂漠のオアシスのような存在です」と語りました。

人々の行動を変える“マグネットシアター”

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イレサボル村での公演

“磁石のように人々を惹きつける”という意味をこめて名付けられた“マグネットシアター”では、「病気になった妻が病院に行こうとするのは、誤った行動なのか?」「妻に暴力を振るうことは許される行為なのか?」など、地域社会が抱える敏感なテーマについて、赤十字ボランティアが歌や演劇を通じて問いかけ、住民の行動変化を促します。イスラム教徒が多く住むイレサボル村での6月の公演には、イスラム教の断食月にも関わらず、160人近い聴衆が集まりました。

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ボランティアによる演劇

地域の未来を育てる“青少年赤十字クラブ”

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赤十字クラブで 指導するケニア赤十字社のシアードさん

ケニア赤十字社は、県内17カ所の小中学校に青少年赤十字クラブを設立し、課外活動として、保健を含むさまざまな授業を行っています。

孤児が多く通うこのサイードファティマ小学校でも、赤十字クラブが設立され、30人の生徒が入会しました。

地元ガルバチューラの出身で、今年からIHOPの指揮をとることになったケニア赤十字社のシアードさんは、かつては県立病院の職員として、IHOPの巡回診療に参加していました。「子どもたちは私たちの未来です。彼らが住民の行動変化の担い手となり、いずれIHOPや赤十字を支える協力者になってくれたらうれしいです」と語りました。

事業終了後を見据えて

IHOPへの日赤の支援は201712月に終了し、その後は保健省に活動が移管される予定です。地域住民の健康への意識がさらに高まり、事業終了後も良質な保健医療サービスが継続されるよう、赤十字は地域住民や政府への働きかけを続けていきます。

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