多様性の視点を持って、南部アフリカ地域を支える

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日本からナミビア、マラウイへは、香港と南アフリカを経由して約20時間かかる

~日赤のHIV/AIDS事業~

国連合同エイズ計画(UNAIDS)の2015年の報告によれば、サハラ砂漠以南のアフリカには、いまだ世界のHIV陽性者の約70%にあたる2580万人がおり、そのうち南部アフリカ地域では1367万人がHIV/AIDSとともに生きています。世界で最もHIV/AIDSの影響を受けている地域のひとつです。

日本赤十字社(以下、「日赤」)は2010年から、南部アフリカ地域でのHIV/AIDSに関連する感染症対策事業を、国際赤十字・赤新月社連盟を通じて実施しています。

日赤はこの事業の定期的な進捗確認を行っており、今回は国際保健の専門家である、日赤和歌山医療センターの大津聡子医師、大阪赤十字病院の服部智奈津看護師、本社国際部の上田めぐみ職員がナミビアとマラウイを訪問しました。

ナミビア~赤十字キッズクラブが地域活動を展開

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ザンベジ私立小学校の「赤十字キッズクラブ」メンバーたち。赤十字精神を持って、助け合いを実践中

日赤はナミビアの東端に位置するザンベジ地域を支援しています。ナミビア国内のHIV罹患率は10%程度ですが、この地域は36%。国内で最も罹患率が高い地域です。

事業ではザンベジ地域の3つの小学校のHIV陽性児童やエイズ孤児、貧困世帯の子どもたちに、制服や文具、住居を提供しています。

特徴的なのはもうひとつの対象校、ザンベジ私立小学校が推進する「赤十字キッズクラブ」の活動です。放課後のクラブ活動の一環で、赤十字ボランティアの教員とナミビア赤十字社が協働し、子どもたちに赤十字活動の紹介やHIVなどの保健知識を教えています。

クラブのメンバーたちは、支援が必要な地域の人びとの役に立ちたいと考え、放課後や休日を利用して、市内のスーパーで靴磨きをして募金活動を展開。ナミビア赤十字社に寄付しています。1回のキャンペーンで1500ナミビアドル(約15000円)を集めたこともあるそうです。支援を受けるだけではなく、児童が自ら考えて地域活動を継続的に行う基盤を日赤の事業が提供しています。子どもたちは「地域の人のために活動できてうれしい」と話していました。

マラウイ~地域で子どもを育てる

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給食のポリッジを食べる子どもたち。トウモロコシ粉に栄養素が入っていて、元気な成長の源

マラウイの事業地は首都リロングウェから100キロ北に位置するンチシ県。日赤が支援する「子どもケアセンター」は県内に4カ所あり、HIV孤児だけでなく、近隣の貧困世帯の子どもたちも集まる託児所の役割を果たしています。

ボランティアの住民が保育士として、毎日子どもたちに歌や踊り、読み書きを教えています。住民は「子どもの成長が地域の発展につながる」と考え、積極的にセンターや周辺の清掃も担っています。ゴミひとつないセンターで、子どもたちは元気に遊び、おいしそうに給食を食べていました。地域全体で子どもたちの成長を見守り、住民が自主的に活動する体制がしっかりと根付いています。

マラウイ~HIV陽性者の生計向上

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チームリーダー宅で飼育されている豚。12万クワチャ(約5000円)で売れる

マラウイ赤十字社は、行政と協働してHIV陽性者を組織化し、生計向上支援も行っています。クーイ村では17人がグループとなって、赤十字ボランティアの指導のもと、豚の飼育をしている様子を視察しました。子豚が生まれると他のメンバーに譲って、継続的に収入や栄養が得られる仕組みです。

メンバーのひとりは「豚を売ったお金で子どもを大学に通わせることができます」と笑顔で語ってくれました。HIV陽性者が体調を維持するには、服薬だけでなく、十分な栄養の摂取も必要です。日赤の支援がメンバーの生活改善に寄与していることを、言葉だけでなく、歌と踊りでも表現してくれました。

変化する課題とともに

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サポーティンググループのメンバーたち。雨の中でも歌と踊りで日赤職員を歓迎してくれた

日赤は2010年から、連盟を通じたHIV/AIDS事業を続けてきました。この形態での支援も5年が過ぎ、本年から事業をさらに発展させる予定です。支援対象国を5カ国に増やし、多様性の視点を持って、HIV/AIDSのより感染リスクの高いグループに特化した事業実施を促進します。

かつては「死の病」であったHIV/AIDS。現在は薬剤の開発や国際社会の支援で、慢性病とも言われるようになり、陽性者が置かれている状況は劇的に変化しました。HIV/AIDSの課題やニーズが時代とともに変化する中で、日赤は現地の人びとに寄り添い、ニーズに耳を傾け、現地赤十字社の自主性を尊重した息の長い支援を継続します。

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