ウクライナ: 紛争下でのこころのケアの重要性

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日本政府の支援により実施されている首都キエフ市内での
こころのケア活動。母親だけでなく父親も活動に参加

政府と反政府勢力との衝突が続き、2013年末以降情勢が不安定になっているウクライナ。これまでに8500人以上が死亡、国内避難民は約110万人となっています(2015年11月末、国連調べ)。

ウクライナ赤十字社(以下、ウクライナ赤)と国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)は、日本政府から22万米ドル(約2600万円)の支援を受け、東部から避難してきた家族、特に女性と子どもに対するこころのケアを展開しています。

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キエフ州ヴィーシュホロド支部の子どもたち。調査のために訪問した際に、歌を歌って出迎えてくれました

ウクライナ赤本社でこの活動を統括するレオノラ・カドマさんは「2014年2月の独立広場で起きた衝突の際に、けが人の救護に当たったボランティアが、加えて遺体に向き合うなどの非常に難しい状況に直面したことを受け、まずは自社の職員とボランティアのためのこころのケアが始まりました」と、そこから1年強で活動が大きく拡大したことを説明します。

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ゲームを通じたケアを受ける子どもたち

避難してきた人びとは、知人宅や狭いアパートに暮らし、医療・教育などの行政からのサポートも非常に限られている厳しい生活を続けています。

赤十字が展開するこころのケア事業では、同じ境遇にある母親と子どもたちを集め、母親たちには銃撃や爆撃を目の当たりにするなどトラウマとなり得る体験をした子どもとどう接するか、避難先でお互いが支えあっていくことなどについて話します。

また、一緒に来た子どもたちには、描画やゲームなどで安心して遊ぶことのできる場所を提供しています。

「日本の皆さん、スパシーバ(ありがとう)」

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レナさん(写真右)は3人の子どものうち2人と参加。
夫は心臓病を患っています

ウクライナ赤キエフ支部の活動に参加したレナ・イスツィナさん(38歳)は「戦闘のために自宅に住めなくなり、着の身着のままで逃げて来ました。今でも辛いと思うことはあるけれど、子どもたちには良い人生を歩んでもらいたいので、子どもたちの前では泣かないと決めています。赤十字のボランティアの方と話し、集まってくる皆さんと苦しみを共有できるのがうれしいです」と話します。

ボランティアとして参加しているオクサナさんは「1年前は一言もしゃべらなかった男の子が、会う回を重ねていくうちに言葉を発するようになるなど、子どもたちに変化があるとうれしいです。誰かが私から何かしらの喜びを受けられたら、それは私にとってもうれしいことです」とやりがいを感じています。

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こころのケアを受ける人たちに日本のゲームを紹介する森光臨床心理士(写真右から3人目)

ウクライナ赤は活動をさらに拡大し、質を向上させるため、こころのケアに関する連盟のガイドラインを日本からの資金支援で翻訳し、ボランティアたちに提供しています。

活動のための調査に訪れた日本赤十字社の森光玲雄(もりみつれお)臨床心理士(諏訪赤十字病院)は、「日常を突然失えば、誰でも気持ちが動揺し、不安や焦燥感などを抱えがちです。このような状況下では、物資や医療の提供だけでなくこころのケアも同時に行っていくことが大切。今回の訪問では、何よりボランティアの方がたが熱意を持って温かく避難者のケアに当たっている姿に感銘を受けました」と評価しました。

ウクライナの多くの人びとは、「日本人が津波と福島原子力発電所事故を忍耐強く乗り越えてきたことは素晴らしい」と語り、29年前にさかのぼるチェルノブイリ原子力発電所事故後の日本からの支援へ感謝の気持ちを持ち続けています。いま、多くの「スパシーバ(ありがとう)」が日本へ向けて送られています。

海外たすけあい募金を募集しています

郵便振替口座から:口座番号 00120-5-220/口座名義 日本赤十字社

※窓口で手続きを行った場合、振込手数料はかかりません。

(※「#ハートキャンペーン」実施中。詳しくはこちらをご覧ください

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