オーストラリア赤十字社 難民申請者支援プログラムのチームリーダーが日本赤十字社を訪問

豪赤・難民申請者支援プログラムチームリーダーのタリア・スタンプさん(写真右) ©Australian Red Cross

オーストラリア赤十字社(以下、豪赤)の難民申請者支援プログラムのチームリーダーであるタリア・スタンプさんが10月14~30日、日本赤十字社(以下、日赤)を訪れました。

中東・アジアなどの国から戦火を逃れ、ヨーロッパを目指す移民・難民の様子が国際問題として取り上げられる中、移民・難民の受け入れを巡っては、オーストラリアでも難しい対応が迫られています。

移民・難民支援に長年にわたり携わるとともに、現在も同問題の研究を続けるタリアさんに、活動における課題などについて話を聞きました。

オーストラリアに向かう移民・難民

移民・難民と一口に言っても彼らの置かれている状況はさまざま。オーストラリアには、難民(難民申請が認められた人)や難民申請者、移民拘置所収容者などがおり、彼らはそれぞれの置かれた状況に合わせた支援を必要としています。

このうち、難民申請者支援プログラムチームが支援を行う難民申請者は、人種や宗教、国籍、政治思想などの理由で迫害を受けたことに強い恐怖感を持っており、保護を必要としています。彼らはボートや飛行機で到着し、単身や家族連れ、時には子どもだけで渡航することもあります。

彼らの多くが、祖国での非人道的な扱いに対するトラウマにより、オーストラリアに到着後も精神的な問題に苦しめられています。

オーストラリアにおける難民申請者を巡る状況

難民申請者について、理解を広めるための冊子
©Australian Red Cross

オーストラリアでは、残念なことに、難民申請者への対応が政治問題になっています。

ボートで到着した難民申請者への政府方針は特に厳しく、ビザ取得まで3~4年間も収容所に置かれることもあります。収容所から出ることが許されても、多くは働くことが認められません。

2週間に一度の生活手当も十分な額ではなく、こういった現状が難民申請者をホームレスや社会的な孤立、精神的な落ち込みという状況にさらに追い込むのです。

また、オーストラリアの市民の間には、難民申請者がなぜ保護を求めるのか、同国に到着後どのような状況が彼らを待ち受けているのかについての誤解も多く、問題となっています。

難民申請者支援プログラムは、彼らが自らの強みを生かしていくことができるよう、ビザ取得までの期間、必要な情報やアドバイスのほか、医療や住宅サービスへのアクセスの確保といった生活に必要不可欠な支援を提供しています。

難民申請者の支援は、毎日が困難の連続です。しかし、さまざまな背景や文化を持った人びとと働くことは興味深く、難民申請者自身が持つ強さや経験にスタッフが学ぶことも多くあり、彼らの困難に打ち勝つ力に、私たちも突き動かされています。

日本の皆さんにはぜひ、難民問題に興味を持ってほしいです。

日赤ボランティアとの交流をとおして見えてきたもの

日赤の近衞社長とも対談し、滞在報告や難民問題について意見を交換

実は、今回の日赤来訪の目的は日赤のボランティアの仕組みを学ぶことでした。

日赤の施設やイベントを訪れ、日赤の活動に長年にわたり関わるベテランのボランティアの方たちと交流を深め、意見を交換できました。

豪赤では、ボランティアに参加する動機として、就職活動のためや自分の成長のためといった理由が多く挙げられます。そのため、個人として参加する方が多く、結果としてボランティアに参加する人数は集まる反面、長続きしない、モチベーションが続かないという課題があります。

それに対し日赤のボランティアは、みんなで誰かのために役立ちたい、仲間と楽しく活動したいなど、個人としてよりも集団としてボランティア活動に参加することで、長期にわたり活動し、熟練度が高まるという印象を受けました。

今回の視察で訪れることができたところはほんの一部でしたが、ベテランのボランティアの方が誇りを持って、生き生きと赤十字活動に参加していることがよく理解できました。このようなボランティアが多く存在するような仕組みづくりを、豪赤の活動をとおして実現したいと思います。

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