フィリピン 台風30号「ハイエン」から2年~復興の手ごたえを感じながら

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台風30号「ハイエン」の経路と主な被災地

台風30号(英語名:Haiyan。ハイエン)が2013年11月8日にフィリピン中部を襲い、各地に強風や高潮、地滑りなどの大きな被害をもたらしました。

日本赤十字社(以下、日赤)はフィリピン赤十字社(以下、フィリピン赤)の復興支援に全面的に協力し、2年が経ちました。

今回は、フィリピン・セブ島に駐在し、事業に従事する吉田拓要員からの報告をお伝えします。

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住居建設の現場に搬入される資材の確認を行う吉田拓要員(写真左)

2013年11月にフィリピンを襲った台風30号「ハイエン」を覚えていますか?太平洋側に位置している島々を中心に、約1600万人が被災し、約6300人が死亡。110万戸の家が壊れたり、失われるという、すさまじい被害が発生しました。

東京都の昼間人口(2014年度統計1558万人)と同じくらいの数の人がなんらかの被害を受けた、といえば被害の規模が分かりやすいでしょうか。

特に被害を大きく受けたのは、所得が低く、簡素な家に住んでいた社会的・経済的に弱い立場にある人たちです。

台風30号「ハイエン」のために、家族や友人だけでなく、住まいや店、仕事を続けていくための道具、商品在庫を失ってしまいました。もともと経済的に厳しい立場に置かれている人びとが被害から立ち直るための道のりは、とても長いものになります。

生活する力が弱く、充分な知識を持っていない彼らが立ち直るためには、単に被災以前の状態に戻るだけのことでは足りません。それだけなら、次に同じような災害に見舞われれば、また同じことの繰り返しになる可能性が高いからです。

将来、被災しても前より軽い被害にとどめることができる、あるいは被害を避けることができる、そうした「災害に対する抵抗力・回復力」を備えることができて初めて、災害に負けない社会に至るのです。そのため、災害で失われたものをそっくりそのまま戻すことは、「問題にふたをする」対策にほかならず、根本的な解決に効果的ではありません。生活の基盤が弱いままでは、大きな災害のたびに同じ被害を受け続けることになるからです。

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日赤の支援により、自営の雑貨店を再開した家族

そこで日赤チームは、フィリピン赤のスタッフとともに、「社会的・経済的に弱い立場にある人たちに、いかに災害に立ち向かう強さを身につけてもらうか」というテーマの下、さまざまな復興支援プロジェクトを実施してきました。

フィリピンは、11月8日で被災から2年を迎えます。この間日赤は住居の建設や生計の支援、防災活動、保健指導などの活動を継続しており、確かな手応えを感じています。

新しい家にうれしそうに住んでいる親子、破壊された雑貨屋の店舗と在庫を新たに買い揃えることができた家族、手作りの防災マップを見せてくれるボランティア、正しい手洗いを覚えた子どもたちなど、被災された方の人生に、前向きな変化が確かに芽生えています。

そんな皆さんがとびきりの笑顔を見せてくれる時ほど、うれしいことはありません。照れくさいですが、この活動を続けていて本当によかった、と思う瞬間です。

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子どもたちに手洗いの指導をする、日赤保健担当要員。病気の感染を防ぐ方法を身につける第一歩

復興の道のりはまだまだ長く、足取りの重さやフィリピンの皆さんのおおらかさ、のんびりさにフラストレーションを覚えることもありますが、日赤チームが手を引っ張って進むのではなく、フィリピン赤チームが先に立って引っ張るのでもなく、一緒に手を携えて復興に取り組んでいきたいと思っています。

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