フィリピン・セブ 復興支援の中の保健活動

被災住民の立ち上がる力を信じて

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フィリピン・セブ島最北端に位置するダンバンタヤン郡は、2013年の台風30号(英語名:Haiyan)による被害が最も深刻であった地域の一つです。

日本赤十字社(以下、日赤)は、フィリピン赤十字社(以下、フィリピン赤)と協力し、緊急支援活動に続いてダンバンタヤンの5つのバランガイ(※)で総合復興支援事業を展開しています。

※フィリピンの行政単位。村に相当。

赤十字が展開する総合復興支援事業は、住居支援、生計支援、防災、衛生促進、地域保健を5本の柱としています。中でも地域保健活動は、保健衛生の問題に取り組む「地域住民参加型保健事業(Community-Based Health and First Aid : CBHFA)」と、バランガイ保健施設の整備を主軸としています。

CBHFAの活動では、赤十字のスタッフと多くの赤十字地域保健ボランティアが日々密接にかかわりながら活動しています。現在80人の地域保健ボランティアが各村から選出され、研修を受けながら、自分たちの地域のために貢献するという強い意志と誇りを胸に保健活動を推進しています。

「被災以前は、多くの住民は保健衛生や防災についての知識があまりありませんでした」と、ボランティアは話します。そのため、「CBHFAを学んで、地域に浸透させたい」と、非常に熱心に取り組んでいます。

ボランティアリーダーの一人は「私たちボランティアは、何の見返りも期待することなく人びとを助けるべきであり、緊急時を想定して常に注意を怠らず、備える必要があると思います。そのために私は赤十字の活動に参加しました。ボランティアとして忍耐強く、思いやりを持ち、常に前向きに取り組み、偏見を持たずに人びとを理解するように努めます。そして、常に自分の最善を尽くす姿勢を示したいと思います。赤十字の研修のおかげで、地域保健ボランティアとしての技術と知識を身につけることができました」と語ります。

地域の抱える健康問題、ぜい弱さとは何かを知る

現在、ボランティアは、自分たちの地域における健康上の問題と保健衛生問題を明らかにするために、調査を行っています。ボランティアは地域内を歩いて衛生環境を調査したり、各家庭を訪問して生活環境を直接確認します。さらに、季節ごとの行事や農事、天候などにより引き起こされる危険についてカレンダーを作成し、問題点を明らかにします。

この調査に基づきボランティアは、地域内で生じる問題を発生する頻度や影響の大きさなどから抽出し、分析を行います。この分析によって、咳や発熱、高血圧、下痢、そしてデング熱といった、地域の衛生環境に潜む健康上の問題点が明らかになりました。

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戸別訪問で聞き取り調査を行う地域保健ボランティア(写真左)

さらに、不適切なごみ処理による衛生問題を重視しており、処理のあり方に焦点を絞った議論がなされました。ボランティアは、問題解決のため、地域内の人材や資源、よい改善方法等について活発に意見交換をしています。

ある村長(バランガイの代表)はこの会議を見て、「こうした議論はボランティアが地域住民の健康問題を改善するために非常に有効であり、良い影響をもたらすと確信しています」と語りました。

次のステップとして、ボランティアは問題解決のための行動計画を作成します。行動計画には、地域の衛生環境を改善するための清掃活動やごみの分別、そして健康問題についての集会などが盛り込まれます。

こうした活動がCBHFAであり、地域住民自らが主体となって進められるものです。

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災害時の応急手当について、ボランティアに指導を行う
上原さゆり保健要員(写真中央奥)

日赤は被災地の復興と災害からの回復力の向上のため、ボランティアと被災地域の人びととの協働による活動を継続しています。

この活動では上原さゆり保健要員(長野赤十字病院助産師)が、フィリピン赤スタッフをはじめとする多くの地域保健ボランティアとともに、支援活動を続けています。

赤十字の活動による教育や訓練の成果が地域に表れるまでには、多くの時間と努力が必要です。地域住民やボランティアとの連携を大切にして続けていきます。

皆さまの一層のご支援をお願いいたします。

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