赤十字国際委員会(ICRC)ミャンマー駐在員の活動

日本赤十字社は、災害救援や復興、開発協力など、支援を必要とする国々に多くの日本人スタッフを派遣しています。今回はその中で、主に紛争地での人道支援に携わる赤十字国際委員会(以下、ICRC)に派遣されている片岡昌子要員に話を聞きました。

ICRCはスイス・ジュネーブに本部を置く人道支援組織で、現在は世界87カ国で約1万3000人のスタッフが、収容所内にいる捕虜や被拘束者の生活環境や待遇のモニタリング、緊急援助物資の配付、紛争犠牲者の保護や医療サービスの提供、離散家族や行方不明者の安否調査、人道法の普及などの活動を行っています。

片岡要員は2014年4月から、ミャンマーのICRC代表部で収容所訪問担当および保護担当(プロテクション・デレゲート)の要員として活動しました。

被拘束者の声に耳を傾ける

ミャンマーは緑の田園風景や黄金の仏教寺院(パゴダ)が美しい国です。日本の約2倍の国土の広さを持ち、人口の約7割をビルマ族が占めますが、130以上の民族が暮らしています。

一部の地域ではコミュニティー間の緊張・対立により人びとの生活が脅かされています。特に国境付近では政府軍と多くの武装勢力が対立し、停戦のための話し合いが行われる一方で、今でも不安定な状況が続いています。

-ICRCの収容所訪問担当はどのような活動をしているのですか。

刑務所への訪問.png

刑務所への訪問 ©ICRC

私の任務は、刑務所や労働キャンプを訪問し、収容されている被拘束者から聞き取りを行ったり、施設の状況を確認して必要に応じて生活環境や待遇の改善を図るよう当局に促したりすることです。

ミャンマーでは、1999年に始まった刑務所などへの訪問が2007年に一時中断し、その後2013年から再開されたこともあり、訪問にあたっては、まずそこで働く職員向けにICRCがどのような組織であるかをあらためて伝えることから始まります。

そのうえで、被拘束者から聞き取りを行う際には、周囲を気にすることがないよう、当局の立会人のいない状況で話を聞きます。

また、同行する医療保健や給水・衛生の専門家は、必要に応じて施設の生活環境改善のため、ハード面での支援も行っています。

-活動の中で印象に残っていることはありますか。

ICRCの収容所訪問担当の任務では、被拘束者と外にいる家族との連絡の維持・回復の支援活動や関係省庁の協力の下、遠方から家族が刑務所などを訪問する際の支援活動も行っています。

刑務所の訪問を希望する家族の中には、お年寄りもいます。今まで長距離を旅行したことがない年配の女性が、収容されている子どもにひと目会うため、差し入れを準備し、電車やバスを乗り継いで20時間近くかかる旅に出かけていく姿は、今でも印象に残っています。

「中立」を伝えて広がる仕事

国際人道法普及活動として講演をする片岡要員.png

国際人道法普及活動として講演をする片岡要員 ©ICRC

ミャンマーでの活動の後半は、保護担当(プロテクション・デレゲート)としてミャンマー北部の国境沿いに位置するカチン州を拠点にしました。

カチン州はカチン族が多く住む地域で、2011年にはKIA(カチン独立軍)とミャンマー軍の武力衝突が再開し、国内避難民が発生するなど、市民への影響が心配されています。

ICRCは2014年3月、同地域に事務所を開設し、国内避難民への物資の配給や生計支援、国際人道法の普及などの活動を行っています。

-紛争地で感じる「赤十字」の重要性はありますか。

ICRCのメンバーとして、また、保護担当として意識したのは、「中立」であるということです。

カチン州での活動はICRCとしても始まったばかりで、私の主な任務の一つは新天地で信頼関係を構築することでした。地道な関係構築を行う中で、訪問した相手に必ず伝えていたのは、赤十字が中立な存在であるということです。

多くの関係者に赤十字がどのような組織か知ってもらい、できるだけ地域に根付いた組織になるように努めることで、今後ICRCの活動地域や活動内容が広がっていくことにつながると思います。

ミャンマーでの活動を振り返る

ICRCメンバーおよびボランティアと共に写る片岡要員.png

ICRCチームメンバー、ボランティアとともに写る片岡要員(写真中央)©ICRC

-ミャンマーでの活動を振り返ってみて感じることはありますか。

ミャンマーでの活動を通して、同じアジア人として現地には溶け込みやすかったのではないかと感じています。アジア人の私だからこそ現地の人と同じように感じて、彼らの必要とするサポートができるような場面がありました。

一方で、ミャンマーの人たちは親切で、私自身も英語が通じないところでは助けてもらうことが多々ありました。

また、今回ミャンマーでの活動を終えて、幅広い視野を持つことと情報収集の重要性を再確認しました。現場で活動をしていると、目の前の仕事に追われてしまいがちです。

しかし特にカチン州のような紛争地では、政治的な出来事が日常に直接影響を及ぼすのです。現地の情報だけではなく、現地にかかわる出来事に幅広く関心を持ち、情報収集を怠らないことが重要であると感じました。

最後に、赤十字の活動を支えてくださる皆さまの温かいご支援に感謝しています。今後も世界で紛争により苦しんでいる人のため、赤十字の支援を必要としている人のために活動を続けていきたいと思います。

日本赤十字社が行う赤十字活動へのご支援を受け付けています

振り込みに関するご連絡先

日本赤十字社 組織推進部 海外救援金担当

TEL:03-3437-7081 FAX:03-3432-5507

お問い合わせフォーム

本ニュースの印刷用PDF版はこちら(PDF:628KB)