インドネシア・コミュニティー防災事業の進捗報告~3年間の地道な活動がもたらした『成果』と『自信』

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ペルダナ村地域ボランティアリーダーのバッティアール
・アリフィンさん(写真左)

日本赤十字社(以下、日赤)は2012年8月から、インドネシアのジャワ島バンテン州で、インドネシア赤十字社(以下、インドネシア赤)とともにコミュニティー防災事業を実施しています。

コミュニティー防災事業の大原則は、住民が主体であること。それが、住民の自主性を引き出し、行動変容を促し、事業が終了した後も住民自身が活動を継続する基盤となるからです。

これまで、活動の中心となるインドネシア赤の職員やボランティアを育成。彼らを中心に、それぞれの村のぜい弱性と対応能力や強みを調査し、村ごとのハザードマップを作成しました。これにより、地域ごとの災害リスクをあぶり出し、それに対する防災計画を立て、実際に活動に取り組んできました。

事業はいよいよ最終フェーズに入り、この防災活動が形に。このたび、日赤国際部の中谷さんが活動の進捗状況を確認しました。最新の情報をお伝えします。

お年寄りや妊婦さんを洪水時に安全に避難させるために

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テルック村の洪水時避難用ボート

パンデグラン県テルック村で、住民たちが一番不安に感じているリスクは洪水です。住民によると、これまでは一年に1、2回だった洪水が、最近ではより頻繁に起こるようになっています。

事業を通じて研修を受けたボランティア40人が、洪水発生時には、近隣の学校へ住民を避難させたり、避難した住民へ食料を配布するなど、活発に活動しています。さらに、すべての住民をより安全に避難させるため、避難用ボートを住民自身が調達しました。

「ボートは、洪水時に自力で避難することが難しい、お年寄りや妊婦、赤ちゃんを安全に避難させるため使いたい」と、ボランティアが意欲を語ってくれました。

「洪水時にも安全な水を」村のリーダーの思い

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ペルダナ村地区リーダーのサクミンさん

パンデグラン県ペルダナ村では、毎年洪水が起こり、それにより汚染された井戸の復旧に1週間近くかかっていました。最近でも、2014年12月に洪水に見舞われ、安全な水の不足に起因する下痢や皮膚の病気が多く見られました。そこで、洪水時にも安全な水を確保できるよう、水タンクを設置しました。

村の地区リーダーのサクミンさんは、「この水タンクは、洪水で汚染されないようにコンクリートで背丈を高くしています。住民とともに適切に管理し、住民の健康を守りたい」と、リーダーとしての責任感に満ちた表情で語りました。

『災害時に慌てないために』村の災害対応手順を決める

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ワークショップに参加し、災害時には警戒情報の伝達を
担当する地域ボランティア(写真中央)

『災害時にどのように情報を入手し伝えるか、どのように避難するか、どのように人を助けるのか』。事前にこれらを決め、住民全体で共有し訓練しておくことが、命を守るために極めて重要です。

チレゴン市では地域のリーダーとボランティアが、ワークショップを通じて災害時の対応手順書を策定しました。

3日間のワークショップでは、まず役割分担を図にし、続いて手順書の草案を作成、参加者全員で確認し、最終版を完成させました。

「私の役割は、災害時に警戒情報を住民に伝えること。SNSなどのさまざまなツールを使うつもりよ」ボランティアの一人は、頼もしく話してくれました。

手順書は、訓練を通じて検証を重ね、さまざまな機会を通じて住民に普及する予定です。

『ごみ』が洪水を引き起こす!?

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生ごみを堆肥にする方法について説明する地域ボランティア(写真中央)

日本では、洪水とごみが関連づけられることはあまりありません。しかし、インドネシアではごみが道端や側溝に捨てられることが多く、それが原因で川や側溝があふれて、洪水を引き起こすといった現象が見られます。

チレゴン市では、大きなリスクであった洪水被害を軽減するため、ごみを収集して再利用する活動に乗り出しました。

住民が各家庭のごみを持ち寄り、生ごみは堆肥(たいひ)に、リサイクル可能なごみは雑貨に再利用します。

この仕組みが確実に地域住民に利用されるため、村のリーダーが責任者として活動に関わっています。活動を通じて、住民の中にごみをきちんと処理する習慣が根付き、洪水リスクの軽減につながることが期待されています。

行政もこの取り組みを後押ししており、インドネシア赤チレゴン市支部は今後も市と協力して、活動を継続していく予定です。

事業の持続発展性のために

ここまで、さまざまな活動を紹介してきましたが、最も大きな成果は『助け合う強いコミュニティーの仕組み』と『地域行政とのつながり』ができたことです。いつ来るかわからない災害への備えに終わりはなく、住民が自分たちの手で、災害リスクを常に把握し、備え、対応していかなくてはなりません。その基盤となる仕組みが整っていれば、この先も活動を継続し、より災害に強いコミュニティーを築いていくことができます。

バンテン州で行っている本事業は2015年9月、すべての活動が終了する予定ですが、今後は住民自身が活動を継続していくことを確信しています。日赤は、今後も各国の赤十字社を通じ、地域に根ざした活動を支援していきます。

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