フィリピン中部台風:力強く立ち直る受益者たちの声

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支援金を活用し、自宅の窓を利用して個人商店を始めた
ロザンナさん

2013年11月にフィリピン中部を直撃し、死者・行方不明者7361人の甚大な被害をもたらした台風30号から、今年5月で1年半が経過しました。

台風の経路に位置したセブ島北部ダンバンタヤン郡では約9割の住居が損壊し、多くの家庭が住居だけでなく、家財道具や日用品、生計手段である畑の農作物や漁業用の網などを失いました。

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赤十字は被災により生計手段や家財道具などを失った家庭への生活再建支援の一環として、1世帯につき1万フィリピンペソ(約2万8000円。1ペソ=約2.8円)の支援金を生活再建支援の一環として提供しています。

支援金は2回にわけて支給され、1回目に6000ペソ(1万6800円)、2回目に4000ペソ(1万1200円)が提供されます。

日本赤十字社(以下、日赤)は同郡で724世帯に対して今年1月に支援金を給付しました。支援は漁業用の網、ボート建設の材料やモーター、家畜等それぞれの家庭の状況に応じて、生活再建の糧として使われています。

キャンドル作りを生活の糧に

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マリンギン村に住むアンジェリ・スアレスさん。2003年頃から趣味と実益を兼ねた キャンドル作りを行っていました。しかし、まとまった資金がないため、材料をわずかしか仕入れることができず、30本作るのが精いっぱいでした。

お手伝いさんの仕事も台風で失い、キャンドル作りの材料を買うこともできず、6人の子どもを食べさせるのも容易ではありませんでした。

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自宅でキャンドルを作製するアンジェリさん

敬虔なキリスト教徒が多い同郡では、教会や家庭でキャンドルが使用されます。 キャンドル作りを通して生活を立て直すため、赤十字に申請し、支援金をもらうことができました。

これによって、材料を大量に買うことができ、多くのキャンドルを生産することができるようになりました。新しいろうは白いキャンドル用。リサイクルのろうを混ぜて赤と黄色のキャンドルも作っています。

今では約5円のものを1000~1500本、約14円のものを500~800本生産できるようになり、マリンギン村だけではなく、ダンバンタヤン郡全体に供給できるようにまでなりました。「子どもたちも学校に通えるようになり、ひとまずは生活が安定しました」と言います。

貝細工のビジネスを拡大し、雇用機会の創出へ

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完成した商品を並べるマルゲンさん

バタリア村の海辺に住むジョエル・ピノとマルゲン・サコル夫妻は貝細工で 生計を立てていました。台風でそれまで作ってきた貝細工の商品はほぼ全て流されてしまいました。幸いにも研磨機など3台の機械は使える状態だったので、細々と貝細工を作っていましたが、赤十字の支援を知って申し込みました。

最初の資金で中古の研磨機を2台買い足し、二度目は新しい機械を5台買う頭金にしました。新しいスタッフも5人雇い、今では合計8人の生活を支える起業家に成長しています。

「以前の売り上げはおよそ1万5000ペソ (4万2000円)でしたが、 今は2万8000ペソ(約7万8000円)になりました」と話します。

製品はセブ市内の業者に卸し、現在はセブ島全域で売られています。

事業成果の確認のため現地を訪れた日赤フィリピン代表部の森本駐在員は、「支援の額は決して大きいものではないのに、彼女たちのように被災して失ったものを戻すだけにとどまらず、起業家として成長しているケースもあります。決して裕福とはいえませんが、自分の家族にとどまらず、雇用を広げ、雇っている8人の生活も支えているのは大きな成果だと思います」と評価します。

地域の「レジリエンス」向上を目指して

フィリピンでは、毎年平均20もの台風に見舞われます。日赤は、災害に強い地域づくりを目指して、住民とともに復興に向けた取り組みを進めています。

将来の災害に備えるためには、援助への依存ではなく、地域のレジリエンス(※)を高めることが必要とされています。被災による経済的な損失からの復旧や、生計手段の多様化を通じて災害の影響を軽減することは、レジリエンスの向上には非常に重要です。

一方で、地域の力を総合的に高めることも求められています。現地では今後も、赤十字ボランティアや住民を中心に、地元政府や学校とも協力して、保健・衛生の知識、災害対策も含めた支援も併せて行っていくこととしています。

※レジリエンスとは、さまざまな災害や危機に対して事前にリスクを把握、軽減し、ひとたび災害が発生すれば適切に対処し、逆境から立ち上がる復元力、回復力のこと。

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