イエメンで深刻化する人道危機

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首都のサナアで3月29日、空爆にあった居住区を回る
ICRCスタッフ ©S.Ammane/ICRC

イエメンでは3月23日から、ハディ暫定大統領派と反政府勢力の対立が激化しました。さらに、26日からサウジアラビア主導の連合軍が首都サナアをはじめ、アデンやタイズ、サーダに空爆を行い、国際紛争に発展しています。

世界保健機関(WHO)によると、継続的な空爆による被害者は、負傷者1768人、死者560人に上ります(3月19日~4月4日)。

ユニセフは、戦闘の激化により3月26日~4月6日に、少なくとも子ども74人が命を落とし、44人が負傷したと発表しました。

空爆や紛争の激化に伴い、民間人の犠牲者が後を絶たない状況に対して、現地でイエメン赤新月社(イスラム圏の赤十字社)とともに人道支援を行う赤十字国際委員会(以下、ICRC)は、国際人道法で規定されている「紛争下において、戦闘に直接参加していないすべての人びとを保護する」という条約に反する目下の状況について懸念を表明しています。

人道支援に当たる赤十字スタッフへの襲撃

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紛争下で支援活動に従事するイエメン赤新月社の
若いボランティアたち ©イエメン赤新月社

イエメンの南西部に位置するダーレ地区で3月30日、負傷した人の救護に向かっていた赤新月職員が銃で撃たれて亡くなりました。

また、4月3日には、アデン南部の港町付近で、負傷者を救急車に乗せるために運んでいたイエメン赤新月社のスタッフとボランティアの2人が銃で撃たれて亡くなりました。

これに対し、国際赤十字・赤新月社連盟の中東・北アフリカゾーン局長のエリアス・ガネムは「いかなる状況下でも救援活動に従事する者を襲撃の対象にすることは許されません。イエメンのボランティアたちは、日々増加する人道的なニーズへ対応するために、非常に不安定な状況下で休みなく活動に当たっています。彼らを対象にするような襲撃は、直ちに止めなければなりません」と語ります。

国際人道法は、いかなる紛争当事者も、医療従事者や医療施設、負傷者を運ぶ車両は攻撃の対象にしてはならず、赤十字・赤新月社の職員やボランティアをはじめとする、緊急時に人道支援を行うすべての活動者を襲撃することを禁じています。

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首都サナアで3月29日、ICRC職員と話をする空爆で家を
失った人びと ©S.Ammane/ICRC

イエメン赤新月社では3月31日現在、183人のボランティアが緊急対応チームとしてイエメン各地で活動をしており、そのほか446人のボランティアが救援活動やこころのケアを実施しています。

負傷した一般市民や軍人の救急対応が主となりますが、行方不明者の捜索や遺体の管理も行っています。しかし、戦闘が激化した現在の状況下では、被害にあっている人びとの元に行くことすら困難になっています。

現地では医薬品や医療従事者が不足しています。現在ICRCは、2000~3000人の治療ができる量に相当する約48トンの医薬品や手術機器を準備していますが、支援物資の輸送に対する紛争当事者の理解が得られず、困難を極めている状況です。

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