世界の防災戦略「仙台防災枠組」を採択!赤十字からの各国政府への提言

1-2.jpgのサムネイル画像

赤十字のキーメッセージを発信する近衞連盟会長

第3回国連防災世界会議が3月14~18日まで仙台市で開催され、「仙台防災枠組」が採択されました。

本会議には、赤十字から、国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)、赤十字国際委員会、47の各国赤十字社から合計126人が参加。これまでの経験に基づく学びや知見を主要メッセージとしてまとめ、近衞連盟会長の公式スピーチでの発信のほか、各参加者が自国の政府との会合やシンポジウムの機会などを利用して、共通のメッセージとして伝え続けました。

採択予定日の深夜まで及んだ協議。政府間交渉が難航する中、赤十字は枠組が形骸化することを危ぶみ、コミュニティーや人びとを中心に据えた枠組を採択するよう、各国政府に対して粘り強く働きかけました。

採択された枠組には、2030年までに災害リスクと損失の大幅な削減を目指すことが明示され、死亡者数、被災者数、経済的損失、重要インフラの損害、防災戦略採用国数、国際協力、早期警戒及び災害リスク情報へのアクセスと、具体的な7つの目標が示されました。 

赤十字の防災・減災への取り組み

2.jpg

会場に設置されたブースで赤十字活動について説明する大韓赤十字社職員(写真左)

日本では、災害が発生した後の救護活動のイメージが強い赤十字ですが、赤十字はこれまで、「防災・減災」にどう取り組んできたのでしょうか?

赤十字社・赤新月社は、現在189の国と地域に存在しており、防災・減災分野への取り組みも世界中で実施されています。2013年に防災・減災に投じられた資金は総額150億円に上ります。これは、近年頻発する自然災害へ対応するために増加しており、2009年と比べると倍額となっています。

赤十字の強みは、ボランティアによって支えられている組織であること、自国政府の補助機関として位置付けられていることです。そのため、赤十字の防災活動の特徴としては、「最もぜい弱な人へアプローチしていること」、「地域住民を中心とした手法であること」、「政府の取り組む防災・減災活動の補完的役割を果たしていること」などが挙げられます。

赤十字からの提言~レジリエンスに向けた10億人の協働~

3.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像

ワーキングセッションで発言する、ナミビア赤十字社事務総長(写真右)

赤十字が、新枠組の策定に向けて発信したメッセージには、11の提言と1つのキャンペーンへの呼びかけが含まれています。

11の提言には、「地域のリスクを最も理解している地域住民を巻き込むこと」など、赤十字の経験と知見から得たメッセージが込められました。

防災教育に関するワーキングセッションに参加したナミビア赤十字社事務総長のドルカス・カペンベ・ハイドゥワさんは、「コミュニティーの住民はぜい弱な面もありますが、同時に災害に対応できる能力や資源も持っているので、その能力を引き出すことが私たちの役割。コミュニティーに既にある助け合いの仕組みや過去の経験を生かすことが重要」と訴えました。

4.jpg

ワーキングセッションで発言する、ジャガン・シャパガン氏

連盟アジア大洋州地域代表のジャガン・シャパガンさんは、同じくワーキングセッションの議論の中でシリア赤新月社のボランティアの事例を紹介。

「シリアでは多くのボランティアが活動中に亡くなっていますが、それでも活動が停止しないのは、彼らがもともとそこに住む住民だからです。」と、地域住民自らがかかわるアプローチが地域のレジリエンス(※)構築に有効であることを訴えました。

これら11の提言については、本会議にユースメンバーとして参加した11人の赤十字ユースボランティアが動画を作成して発信しています。

5.png

提言を読みあげるドイツ赤十字社ユースボラティアのケルスティンさん

このように、赤十字が考える防災・減災には、コミュニティーや人びとが常に中心にあります。

赤十字は、草の根レベルからグローバルに広がる独自のネットワークを生かして枠組達成に貢献するため、これらの提言と同時に、「レジリエンスに向けた10億人の協働」と題したキャンペーンの立ち上げを発表しました。

これは、今後10年間で、少なくとも一家に一人が、地域のレジリエンス強化のために活動することを呼びかけるものです。

2015年度、赤十字の人道外交

国連防災世界会議に続き、2015年9月に「ポスト2015開発アジェンダ」(2015年以降の開発目標)が採択予定であるほか、2015年12月に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)がフランスのパリで、さらに2016年5月には世界初となる世界人道サミットがトルコのイスタンブールで開催されます。世界の人道問題に対する重要な枠組作りの一年となり、世界最大の人道支援組織である赤十字にとっても重要な一年となります。

赤十字は弱者の代弁者として、今後も中立の立場である強みを生かして、国際社会の人道問題にかかわる枠組作りに対して積極的に働きかけます。 

※連盟は、レジリエンスを「災害や危機的状況を予測し、可能であれば未然に防ぎ、そのインパクトを軽減させ、適切に対処・対応し、長期的な見通しをもって逆境から立ち上がる能力」と定義しています。

本ニュースのPDF版はこちらから(PDF:589KB)