南スーダン人道危機~日赤の医師と看護師を派遣

「アフリカ最長の内戦」の和平合意から8年、再び紛争状態へ

SS写真①.png

家を追われ国内に留まっている住民のうち、避難民キャンプで暮らしているのは4分の1で、4分の3は近隣地域に身を寄せています ©Marco Yuri Jimenez

ケニア北部ロキチョキオの赤十字戦傷外科病院は、南北スーダン内戦時に、主に現在の南スーダンの人びとのために赤十字が開設していた病院です。

現在公開中の映画『風に立つライオン』(三池崇史監督、東宝)の中で、大沢たかおさん演じる主人公の医師と石原さとみさん演じる看護師が赴任し、活動する舞台の一つとなりました。

「アフリカ最長の内戦」ともいわれる南北スーダン内戦。2005年に包括和平合意が署名され、その後2011年7月に南スーダンが独立しました。しかし2013年12月から、政治抗争に端を発した民族間の武力衝突により、南スーダン国内は再び紛争状態となっています。

政府軍と反政府武装勢力の双方に重大な国際人道法の違反が認められるといわれており、今回の紛争で数万人が殺され、200万人が家を追われ、現在150万人が深刻な食糧不足に直面していると報告されています。

半年間続く雨季が支援をさらに困難に

SS写真②.jpg

南スーダンの地図と国際赤十字の活動拠点 ©ICRC

国際赤十字は南スーダン赤十字社と協力して、ジュバやマラカル、ワウ、ボー、ベンティウなどに拠点を置き、住民や避難民に対して、医療、食料と生活必需品、給水・衛生、離散家族、生活再建などの支援活動を展開しています。

また、捕虜収容所への訪問活動や、政府軍と反政府武装勢力への国際人道法の普及活動なども行っています。

SS写真③.png

アクセスの難しい地域は医療スタッフや患者を飛行機で輸送して医療活動を行います ©Jacob Zocherman/ICRC

南スーダンの国土は日本の約1.7倍。道路をはじめとする交通インフラは非常にぜい弱で、特に雨季には国内の3分の2の地域へ陸路でアクセスできなくなるといわれています。

まもなく始まり半年間続く雨季の前にできる限りの支援を届けることが現在求められていますが、政府軍や反政府武装勢力の検問などの影響がさらに住民へのアクセスを難しくしています。

少しでも多くの支援を届けるため、赤十字は飛行機も活用して各活動を行っています。

乏しい保健施設、さらに3分の1が機能不全に

SS写真④.jpg

赤十字国際委員会(ICRC)の医療スタッフの支援を受けながら小児の看護を行う地元の看護師 ©Pawel Krzysiek/ICRC

長年にわたった南北スーダン内戦の影響から、人材や施設のインフラが非常に乏しく、とてもぜい弱な南スーダンの保健システム。

さらに今回の紛争により、現在既存の保健施設の3分の1が機能していないと報告されています。

南スーダンでの妊産婦と5歳未満児の死亡率は世界で最も高く、マラリアをはじめとする感染症やコレラなどの下痢性疾患による慢性的な脅威に加え、今回の紛争によって銃火器による負傷者や性暴力の被害者が急増しています。

赤十字はジュバやマラカルなどの既存の病院に医療スタッフを派遣して支援しています。また、病院に自らアクセスできない人びとのために移動外科チーム(外科医、麻酔科医、手術室看護師、病棟看護師)を編成し、各地を訪れて医療活動を行っています。

SS写真⑤+⑥.png

杉本医師(左)と高尾看護師(右)

日本赤十字社は来月、熊本赤十字病院の杉本医師と沖縄赤十字病院の高尾看護師を現地に派遣します。

ジュバを拠点とした赤十字の移動外科チームに合流する杉本医師は「全力で取り組んできます」と意気込みを語ります。

マラカルの医療施設を支援する高尾看護師は、南北スーダン内戦時には前述のロキチョキオの赤十字戦傷外科病院に派遣されていました。今回は「必要とする人びとに少しでも支援を届けられるよう、役割を果たしたい」と語っています。

本ニュースの印刷用のPDFはこちらから(PDF:684KB)