若者を交えてのトークセッション!~次世代が語る核兵器廃絶

orizuru.jpg

©Australia Red Cross/ Louise Cooper

広島と長崎に原子力爆弾が投下されてからちょうど70年。日本赤十字社(以下、日赤)は今一度核兵器問題をとらえなおし、それが使われた場合の非人道性を世界に示すことで『核兵器廃絶』を訴えています。

しかし現在では、核兵器の恐ろしさを知る被爆者の高齢化が進み、次世代に被爆体験を継承していくことが難しくなってきていることが指摘されています。

そうした最中、日赤は2月8日、JICA横浜で開催された『よこはま国際フォーラム 2015』で、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲さんと早稲田大学4年生の瀬戸麻由さんをパネリストに招き、日赤国際部次長の菅井智を司会に、『核兵器の廃絶に立ち向かう~国際人道法の挑戦~』と題したセミナーを開催しました。

核兵器の恐ろしさとは何か?~瀬戸さんが語る広島と長崎の原爆被害~

setosan1.jpg

来場者に核兵器の恐ろしさを伝える瀬戸麻由さん

「核兵器は爆風や熱線といった投下直後の影響だけでなく、その放射線などによる二次被害も引き起こします。たとえば、放射能が引き起こす人体への影響として白血病の発病などがありますが、広島では原爆投下直後の死者数7万5000人が5年後には20万人に、長崎では4万4000人から14万人となっており、二次被害で多くの人の命が奪われたことがわかります」

瀬戸さんはきのこ雲のスライドを背景に、原爆被害の概要をわかりやすく語ってくれました。

いま世界に存在している核兵器の数はおよそ1万6400発。瀬戸さんは、数値だけではイメージが難しい核兵器の量をBB弾(6㎜程のプラスチックの玉)を使ったデモンストレーションで披露。

BB弾をアルミ容器に落とす『音』を聞き比べるもので、広島と長崎に投下された原爆に相当する数のBB弾の音、現存する核兵器すべてに相当する数のBB弾の音を比較しました。70年前とは比較にならない現存する核兵器の音は私たちの想像を超えるもので、来場者も息をのむほどでした。

今こそ核兵器廃絶を!~川崎哲さん・最前線からの報告~

kawasakisan1.jpg

核兵器廃絶に向けた世界の動向を説明する川崎さん

川崎さんは、近年の流れとして2008年に国連の潘基文(パンギムン)事務総長が核軍縮の提案を行ったこと、2009年にアメリカのオバマ大統領がプラハで「核兵器のない世界を目指す」演説を行ったこと等を例に挙げ、近年にわかに核兵器廃絶へ機運が高まっていることを強調。

2011年には国際赤十字も「核兵器が使用された場合にその犠牲者を誰も救うことができない」という人道的観点から「核兵器の使用は国際人道法の基本原則に反する」ことを訴え、中立の赤十字がはっきりと核兵器に対する立場を表明したことが注目を集めています。

川崎さんは「このように核兵器廃絶に対する機運が高まっている今こそ、人道的観点から地雷やクラスター爆弾を禁止する条約が生まれ成功を収めたように、核兵器を禁止する条約に国際社会は合意すべき」と力強く訴えました。

瀬戸さんインタビュー~受け身にならず『自分ごと』として~

setosan2.jpg

熱心に耳を傾ける参加者

核兵器への関心を持ったきっかけとして瀬戸さんは、「私は広島出身ですが、原爆や核兵器の問題に特別関心はありませんでした。ですが国際交流NGOピースボートの船旅に参加し、被爆者の方から被爆体験を聞き 『目の前にいる方がこんなにもつらい経験をしていている。直接話を聞けるのは私たちの世代で最後かもしれない。私たちがなんとかしてこの話を広めていかないと!』と考えるようになりました。また被爆者の方と活動を続けるうちに、証言の一つひとつが過去の話ではなく、今現実に起こりうることなんだという危機感を抱くようになりました」と語りました。

setosan3.jpg

今後の抱負を述べる瀬戸さん

そんな瀬戸さんのこれからの目標は、「自分の周りに起こることに対して受け身にならず、共感性を持って『自分ごと』で生きる人を増やしていくこと」。

そこには、自分で主体的に考えて行動する人が増えていけば、多くの問題が良い方向に向かうのではないかという期待が込められています。

「そういう人が増えれば、核兵器の問題も時間はかかるかもしれないけれど、解決すると思います。『核兵器』という固いテーマでも気軽に話すことができる雰囲気ができ、そうした話題でも真剣に受け止めてくれる人が少しでも増えてくれることを願っています」

今回パネリストとして参加いただいた川崎さんも瀬戸さんも、被爆体験を持たない世代です。今後私たちがこの問題をいかにして次世代に継承していくか、今回のセミナーはその問いに答える一つの試みともいえます。

本ニュースのPDF版はこちらから(PDF:611KB)