安全なお産のために

ウガンダで活動中の山田則子駐在員が、事業の様子を報告します。

ウガンダ母子保健事業

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ママバッグの支援を受けて出産した女性たち

日本赤十字社(以下、日赤)は、アフリカのウガンダ北部にあるアムル県、キトゥグム県の村で、母子保健事業を行っています。

地元の赤十字ボランティアや保健所のスタッフと協力し、赤ちゃんとお母さんの安全なお産を支援して、2015年に6年目を迎えます。

事業の実施地域での支援活動の一つとして、衛生的なお産に必要な物品を詰めた「ママバッグ」を、対象となる妊婦さんが保健所でお産する際に配布しています。

ママバッグの配布は、自宅ではなく医療施設でのお産を促進することにも役立っています。

しかし、安全なお産は、赤ちゃんを産む場所として保健所を選んだだけでは成立しません。妊娠中、そして妊娠前から、赤ちゃんとお母さんの健康に対する正しい知識と理解を得て、それを行動に移すことも重要です。母親となる女性だけでなく、家族や地域住民の理解と協力があってこそ、安全なお産や母子の健康は実現するのです。

事業地のような村落部では今も、「子どもは家計を助ける労働力で、妻は夫に従順であるもの」という考えがみられます。農繁期に得た現金収入を、飲み代(のみしろ)で使い切ってしまうような男性も多いのが実状。このような環境の中、どのようにして母子保健や健康の知識を普及し、住民の行動変容をもたらすことができるのでしょうか。

村落保健ボランティアの地道なアプローチ

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コミュニティーでの住民向け対話集会の準備のため、
打ち合わせる村落保健ボランティアたち

事業地区には80人の村落保健ボランティアがいます。妊婦さんへの個別家庭訪問だけでなく、保健所を訪れた人に対して、産前健診の意義や妊娠中の危険な兆候、母乳での育児や栄養、そして夫の付き添いの重要性を伝えています。

特に、男性を周産期に巻き込むことで、母体保護活動の推進を目的としています。

ある保健所を訪問した時、前回のお産までは健診も受けず自宅で出産をしていた女性が、4人目となる今回は夫と一緒に保健所に出向いて出産し、今後の家族計画についても相談ができているとの話を本人から聞きました。

ボランティアの地道な積み重ねの成果を感じた場面の一つとなりました。

自立発展の第一歩として

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赤十字スタッフやボランティア、出産した女性たちと山田則子駐在員(写真右)

これまでの主な事業内容は、ママバッグの作製(5年で2万セット)と母性保護に関する知識普及のための資材作成、事業実施の主体となるボランティアのトレーニング(活動に必要な知識と実践能力の強化)の実施です。

主な成果は、産前健診の受診者数の増加や医療施設での出産件数の増加(2010年3008件から2013年は5401件)、そして男性の付添者数の増加(産前健診や出産に付き添う男性が年々3割台の伸び)です。

本事業は2015年に最終年を迎えます。開発協力事業はその地域に暮らす人びとの力によって、持続発展できる取り組みが必要になります。そのため、日赤が支援するこの母子保健事業が終了した場合も、ウガンダ赤十字社のスタッフやボランティア、そして地域の皆さんに実施可能な方法で引き継がれていくことが重要です。

今後は、さまざまな関連団体との協力も不可欠です。関係者や団体と良好な連携をとって、地域が「Well-being(健康で幸せな状態)」になるために、この事業の取り組みの要素が、人びとが健康で幸せに暮らせる今後の社会づくりの一つとして継続されることを願っています。