より多くの支援を、より効率良く、より多くの人へ~国際赤十字 組織強化への取り組み

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組織を強化することで、より多くの支援を、より効率良く、より多くの人へ届けることが可能になります ©SARC

必要とする人にタイムリーに、かつ継続的に支援を届けるためには、各国にある赤十字社の組織強化が欠かせません。より多くの支援をより効率良く、より多くの人へ届けるために、国際赤十字は組織強化を図っています。

日本赤十字社(以下、日赤)は国際赤十字の一員として自社の組織強化のみならず、各国赤十字社の組織強化と支援事業の運営をサポートしています。

OCACとは?

組織強化のために国際赤十字が編み出したのが、組織評価制度。Organisational Capacity Assessment & Certification(組織能力評価・認証)の頭文字を取ってOCACと呼ばれます。各国の赤十字社が、国際基準に照らしあわせて自社を診断・評価するツールです。

何が強みで何が弱みか。それは世界189の赤十字社それぞれで違います。参加型ワークショップ形式で組織を診断する項目は、実に94にも及びます。自社の現時点での能力を包括的に把握することが、組織強化の第一歩です。これまで80以上の赤十字社がOCACに参加。日赤も2013年に導入しました。

日赤から各国赤十字社へのサポート

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ソロモンでOCACワークショップを進める上野さん

日赤の取り組みは自己評価に限りません。日赤職員3人が各国赤十字社のOCAC実施を支援するべく、調整役として活躍しています。

調整役となるためには研修を受け、認定されなくてはならず、世界でも40人ほどしかいません。

日赤本社の国際部に所属する上野さんは、調整役の一人です。これまでにパプアニューギニア、モンゴル、ソロモン諸島の3カ国を訪問。現地赤十字社の自己診断・評価のワークショップを支援しました。

「直接かかわった国は少ないながらも」と前置きしつつ、「各国の赤十字社が、自己の弱点に真摯に向き合っています」と話す上野さん。自身も事前の準備に2~3週間をかけてワークショップに臨みます。

多様性が生み出すもの

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ユースボランティアは赤十字を代表する構成要員

OCACは参加者が自社を診断する際、最終的な判断に至るまでのプロセスを大切にしています。

そのため、ワークショップの参加者は本社だけでなく、各地域に広がる支部の幹部や職員、ボランティアら、赤十字を構成する要員がバランスよく参加できるよう、性別や年齢、職権なども考慮して決められます。ワークショップでは、判断のプロセスでそれぞれのお国柄がでるようです。

上野さんは「女性が事務局長を務めている社では、ほかの国とは違い女性が発言を控えるというようなことは見受けられませんでした。一方、若い人が発言しづらい雰囲気があれば、あえて若い人に発言を促します。実際、若い人がためらいがちにボソッと投げかけた一言を拾ったら、その後の議論から副社長以下、グループ全体の最終判断が変わったりします。それぞれが異なる角度から見た社の様子、その多様な視点から1つの像を描いていくのがOCAC。バランスを見て通常であれば取りこぼすような意見を拾いあげるのが、調整役の醍醐味(だいごみ)です」。

ときに支部からの参加者には、本社の職員がすべてを把握しているとの思いこみを持っていたり、ボランティアが職員に対して遠慮している場合などがあります。調整役として、「ボランティアや支部職員など、赤十字活動の最前線を担っている人びとだからこそ見える赤十字社がある」という気づきを参加者に持ってもらうように進めたそうです。

赤十字社を構成するさまざまな人を巻き込み、社を多角的に見ながら、事実を整理していくことで、気づきや学びが生まれます。

OCAC後が本当のスタート

ワークショップでの議論や、参加者による診断結果を最終報告書にまとめるのも調整役の仕事。しかし、その結果をどのように活用するかは各社の判断にゆだねられます。

中長期戦略を改訂する社。部署ごとに設けていた事業計画を統合する社。組織強化を支援するパートナーとの協力を模索する社があります。OCAC後にどのようなアクションを取るか。実質的な組織強化は、各国赤十字社のその後の実行力にかかってきます。

「OCACを通じて、社をどのように強化していけばよいか明確な道筋が見え、新たなやる気が湧いてきました。必要とする人びとにより確実に、的確な支援を届けることのできる赤十字社を作っていきたい」とOCAC参加者は語ります。

国際赤十字の組織強化の取り組みは続きます。

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