シリア赤新月社 紛争下のボランティア

日本とシリアの共通点?

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組織強化されたボランティア ©SARC

日本から地理的にも文化的にも遠くかけ離れた中東の国シリア。日本との共通点はあるのでしょうか?

答えは「YES」。ボランティアの活躍です。

明日1月17日で20年を迎える阪神・淡路大震災は、日本で災害ボランティアが定着するきっかけとなりました。より組織化されたボランティアは、東日本大震災でも目覚ましい活躍を見せました。

巨大災害時には、行政による被災者支援が追い付かないことが、教訓として生かさています。しかしこの教訓が当てはまるのは、自然災害に限りません。

シリアでは、反政府組織と政権側との武力衝突により、国家としての機能が失われて4年。いまや国民の半数が支援に頼って生活しており、第二次世界大戦後最大の人道危機といわれています。そのような状況のなかでシリア赤新月社は、国内唯一の全国ボランティアネットワークを展開し、草の根レベルで中立、公平な人道支援を続けています。

世界の善意を被災者へつなぐボランティア

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国際社会からの支援を届けるため、紛争下において中立な赤十字が果たす役割は大きい ©UNHCR/B.Diab

東日本大震災の際、世界各地から寄せられた寄付は、日本赤十字社(以下、日赤)による支援活動を通じて被災者に届けられました。

物資の配布や炊き出し、避難所や仮設での家具・家電品の設置など、世界から寄せられた善意を被災者へつないだのは多くのボランティアです。

シリアにも、世界各国から被災者支援が寄せられおり、その多くは各国の赤十字社や赤新月社のほか、国連世界食糧計画(WFP)や国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)などの国連機関を通じ、最終的にシリア赤新月社(以下、シリア赤)のボランティアによって被災者へ届けられています。

紛争下のボランティア

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活動中に狙撃された救急隊の無事の帰還を抱き合って喜ぶボランティア ©SARC

4年にわたる活動の中で、シリア赤は大きな成長を遂げました。機材や体制が整い、ボランティアも多くの経験を蓄積して日々の活動に還元しています。

活動領域は多様化し、食料や救援物資の配布、医療や給水支援をはじめ、燃料の輸送、ライフラインの維持などにも携わっています。

中立、公平な人道支援を続けているボランティアの勇気と貢献は高く評価され、シリア赤は2013年、赤十字・赤新月社平和賞を受賞しています。

しかし人道危機において、中立、公平を守り抜くことには多くの困難が伴います。紛争が激しくなると、戦闘地域へのアクセスが制限されたり、自身が攻撃の対象とされたりすることがあります。武力紛争下での支援活動は、常に危険との隣りあわせです。

これまでにシリア国内でパレスチナ難民を支援するパレスチナ赤新月社も含め、計47人のボランティアやスタッフが活動中に亡くなっています。

それでもシリア赤は、紛争当事者それぞれから承諾を取って一時的な停戦を実現し、敵陣に包囲されて孤立した地域にも、幾度となく支援を届けてきました。これができるのは、国際的に中立な組織として活動している赤十字ゆえの強みです。

2014年度中、シリア赤は人道的なニーズが大きいとされる地域の8割で、月平均350万人に対して支援物資を届けることができました。支援を受けた被災者の数は2013年初頭と比較すると、3倍に増えました。

活動の質を上げる努力 国際赤十字によるサポート

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必要とする人へ必要とされる支援を ©SARC

被災者にタイムリーな支援を届けるためには、シリア赤の組織強化が 欠かせません。

ボランティアは平時とは違った活動内容に対応できる能力、 紛争下で活動することの心構えなどを習得しなければなりません。

チームとしての即応能力や機動力も問われます。限られた停戦時間の中で 効率的に支援を行うために、また必要とされる支援を継続していくために 欠かせない能力です。

厳しい環境の中で、シリア赤は日々たゆまぬ努力を続けています。 より多くの支援をより効率良く、より多くの人へ届けるために、 国際赤十字は2020年に向けて、組織強化を図っています。 日赤は国際赤十字の一員として、シリア赤ほか各国赤十字社の組織強化と 支援事業の運営をサポートしています。

日赤はシリア・イラク人道危機に対する救援金を募集しています。

次号(1月23日発行予定)では国際赤十字の組織強化に対する日赤の貢献を取り上げます!

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