ハイチ大地震~発災から5年を迎えて

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ハイチ大地震発生当初、けがをした赤ん坊を抱く
赤十字スタッフ(2010年1月撮影)©IFRC

2010年1月12日に発生したハイチ大震災から早5年が経ちます。首都を中心に、人口の5分の1に当たる約210万人が被災し、約17万戸の家屋が倒壊、約21万7300人が死亡した未曽有の大災害でした(UNOCHA)。

また2010年10月にはコレラが大流行しました。それまで何十年も発生していなかったコレラが一気に全国に広がり、約70万人が感染、約8600人が死亡するという事態に発展しました。

もうトイレに一人で行けるよ!

日本赤十字社(以下、日赤)は、皆さまからいただいた21億6208万円の救援金をもとに、地震発生翌日から現地入りし、被災した計2万3000人への治療などの緊急対応を開始しました。

その後も復興支援として地震の被害の大きかった西県レオガンで、トイレや給水施設などの建設とその正しい使い方を伝えて衛生促進を行う給水衛生事業、また、現地ボランティアを育成し、家庭訪問などを通じてマラリアやコレラなど感染症の症状とその応急処置法や予防方法を伝えるなどの保健事業という2本柱で活動を展開しました。

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正しい手洗いやトイレの使い方を学び、感染症を予防します(2012年9月撮影)© Fuminori Sato

「ぼくは、以前は家から離れた広場に(用を足しに)行っていたの。夜、外に行くのはとっても怖かったんだ。だけど、今は近くにトイレがあるからとってもうれしい」と11歳のケレン・モナゼくんは喜びを語ってくれました。

ハイチでは、きれいな飲み水を手に入れることのできる人の割合は、全国では64%、農村部だけで見ると48%と半分以下という厳しい状況であり(2011年UNICEF)、まだ川の水を生活用や料理、飲料に使うことも多くあります。

設備されたトイレを使用できる人の割合は、全国では26%、農村部ではわずか17%でした(2011年UNICEF)。

被災したために生活が安定しない、仕事が見つからないなどの人びとの不満や失望感が募ると、治安が不安定になることがあります。そのため、女性や子どもにとって暗い夜中に、遠方まで歩いて野外で用を足すことは非常に危険だったのです。

衛生教育の成果:トイレの使用率が34%から76%に向上

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活動中に川の水を洗濯に使っている人たちに出会うと、その場で衛生について指導しました(2014年5月撮影)

事業対象地域で6月に実施した調査によると、「トイレを使用している」と回答した人は、2012年10月に実施した事業中間調査の34%から76%に向上しました(回答者数=664人)。

日赤の支援では、3065基のトイレを建設、衛生促進ボランティアを686人育成しました。

そのボランティアたちが人びとに衛生行動の重要性を伝え、住民の衛生に対する意識が改善、また実際にトイレが地域にできることにより、それらを使うことができるようになったといえます。

地域活性化につながる保健・衛生のチカラ

「今でもハイチには保健医療施設が少なく、人びとは経済的にも困難な中で、遠方の医療施設まで自力で行かなければなりません。しかし、現地ボランティアからは、『地元の人びとの健康に対する知識が向上し、治療にかける費用が減った』という声や、『住民に対する健康教育のための集会や戸別訪問を通じて社交的になった』という相乗効果も聞かれました」と現地で保健事業マネージャーを務める菅原直子要員は言います。

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事業で建設した給水施設を利用するハイチの人びと(2012年9月撮影)©Fuminori Sato

レオガンでの復興支援は、2014年12月末で終了しました。しかし、ハイチ共和国内では引き続きコレラ感染の予防が必要であるとの状況を受け、日赤は昨年7月から中央県ミバレでコレラ予防の啓発活動を開始しました。

現地の事業を担当する山井美香要員は「都会と田舎のインフラの格差はいまだに大きく、事業地ではトイレがないところも多く見られます。また、いたるところにゴミがあふれています」と報告。

まだまだ環境の改善と人びとの衛生に対する意識、さらにそれらが健康維持につながるという知識の普及が必要であることを伝えています。

このコレラ予防の啓発活動は2015年12月まで実施していきます。

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