シリア:見えない難民、見えない影響 戦後最大の人道危機

“シリアの隣国”レバノン

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激しい戦闘ののち、救護活動に向かうシリア赤新月社の車両 ©SARC

中東の国レバノン。日本ではあまりなじみがありませんが、地中海に面した岐阜県ほどの広さを持つ国は、かつて地中海世界とアラブ世界を結ぶ中継地として栄え、多くの文化圏の影響を受けました。

第一次大戦後はフランス領土となっていたため、フランス文化の影響も濃く、しゃれたカフェでにぎわいを見せる首都ベイルートは、中東のパリと呼ばれます。

一方レバノンと国境の大部分を接するシリアでは、内戦の発生から既に4年が経とうとしています。

国連の統計によると死者19万人、国内避難民720万人、また周辺国に逃れた難民は320万人にも上り、第二次世界大戦後最大の人道危機といわれています。人口およそ450万人のレバノンには、120万人ものシリア難民が避難しており、現在レバノン人4人でひとりの 難民を支えている計算。レバノンには難民の受け入れ国としての多大な負担と責任がかかっています。

見えない難民、見えない影響

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地図上の赤点はシリア難民が存在するコミュニティーの
位置を示しています
(出典: The Assessment Capacities Project (ACAPS)

レバノンでは国がシリア人のための難民キャンプを建てて支援をすることはなく、難民は国境地帯を中心に全国1400カ所以上ものコミュニティーに散らばって生活をしており、実態がなかなか見えません。

難民の多くは、レバノン人コミュニティーの中で住む場所を有料・無料で提供してもらい、農作業やそのほか特段の技術を必要としない仕事を見つけ、日々の暮らしをしのいでいます。

都市部に出てアパートを借りることのできる難民もいれば、住む場所さえ借りることができず、自分たちで集めた資材でキャンプを張っているという人たちもいます。異国の地でそれぞれの世帯がそれぞれの避難生活を続けています。

難民の住む場所の多くは、一時的に雨風をしのげたとしても、マイナスにもなる冬の寒さをしのぐことはできません。また長引く避難生活で自己資金も底をつき、これまで有料で借りていた住居を手放さなくてはいけない難民が出ていると危惧されています。

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戦闘を逃れて暮らす避難民に厳しい冬が迫ってきています ©IFRC

一方、隣国の内戦の長期化は、食料価格や家賃の高騰を引き起こし、ぜい弱なレバノン人貧困層の生活も追いつめています。

レバノン国内でのシリア内戦の影響を分析した世界銀行によると、2012~14 年の2年間に約17万人のレバノン人が新たに貧困層となり(レバノンにはすでに100万人の貧困層が存在していました)、失業率は倍増して20%を超えると予測されています。

このような影響は、生活者に実感があっても、外からはなかなか見ることができません。

責任を国際社会で担うために

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非公式の難民キャンプで避難生活を送る子どもたち ©IFRC

目に見えない、実態が分かりにくいシリア難民やレバノンをはじめとする 難民受け入れ国のニーズ。

国際赤十字は、シリア国内や周辺国に逃れた紛争被害者を支援するため総額700億円の援助を要請しています。

被害者のニーズは食料や生活物資などの緊急支援から、水道整備、医療や教育などの 基本的サービスにまで及びます。

日本赤十字社は国際赤十字の一員として、これまでに1億3000万円相当の資金援助を行っています。また今年だけでも延べ5人の医療要員をヨルダン、イラク、レバノンの計3カ国に派遣しました。

これらの活動資金には皆さまから寄せられた救援金を活用しています。

シリア内戦の始まりから4度目の冬が近づいています。皆さまの温かい支援をお待ちしています。

※「海外たすけあい」は、世界各地で起こる災害や紛争、飢餓や病気などで苦しんでいる人びとを救うために、日本赤十字社が日本放送協会(NHK)と共同で実施している募金キャンペーンです。

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