フィリピン中部台風から1年 ~赤十字ボランティアが支える復興支援事業~

フィリピン中部を2013年11月に直撃した台風30号(英語名:Haiyan)は、広範囲にわたり甚大な被害をもたらしました。あれから1年。日本赤十字社(以下、日赤)に皆さまから寄せられた救援金は、総額約18億円になりました。心より感謝申し上げます。この救援金は、現地のさまざまな支援活動に役立てられています。

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子どもたちへの衛生教育にもボランティアが欠かせません

復興支援で、赤十字は災害に強い地域づくりをめざして住宅、生活再建、保健、教育とさまざまな分野で総合的な支援を行っています。

災害多発国であるフィリピンでは、今後の災害に対応できる力を地域住民自らがつけていくことが重要です。

赤十字は各地で地域の復興委員会の設立やボランティアの育成を行い、彼らが中心となって、支援計画を立案し、地域の防災や保健活動を実施しています。

フィリピンで復興支援を支えるボランティアの活動について、森本駐在員が報告します。

赤十字の活動の中核を担うボランティア

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レイテ島のフェスティバルに参加したボランティアと森本駐在員。マーク(写真右)はその後スタッフとして学校再建事業に携わることになりました

フィリピン赤十字社(以下、フィリピン赤)には多くのボランティアがいます。そして、コミュニティーと一緒に活動をする上で、ボランティアは不可欠な存在です。

日赤は台風の直後、セブ島北部のダンバンタヤン郡で基礎保健ERU(Emergency Response Unit/緊急対応ユニット)チーム(保健医療チーム)によるクリニックを展開し、被災者に対する診療やこころのケアなどの救援活動を行ったほか、台風で壊れた診療所の修復を支援しました。

保健医療チームの活動は今年2月に終了しましたが、日赤は現在も同郡の5つの村で、復興事業を支援しています。

復興支援の開始にあたり、フィリピン赤のセブ支部は日赤チームに15人のボランティアを派遣してくれました。このうち13人は看護師の資格を持っています。

彼らの多くは台風の襲来直後から物資の配給や、日赤の保健医療チームの手伝いをしてくれた人たちで、4000世帯近くの被災者を訪問して被害状況の確認をしました。

確立されたボランティア育成システム

フィリピン赤はボランティア教育に大変力を入れています。ボランティアに加わると、まず『ボランティア基本講習』と『143オリエンテーション』を受けます。この143という数字は、「どの村にも1人のリーダーと43人のボランティアを育てよう」という意味がこめられた防災ボランティアの仕組みです。

日ごろから防災を心がけ、外からの救援が期待できないときにも、自分たちでできる救援活動を行い、被害の軽減に努めようということが意図されています。

この二つの講習を受けると、防災・救援、福祉、献血、保健、ユース(学生ボランティア)、安全などの部門に分かれ、それぞれのコースの基礎を受講。その後、段階を踏んで、より高度な知識と技術を習得していくというシステムができています。

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住宅修繕用の現金や資材を被災者に配布する手続きについて、スタッフから事前に説明を受けるボランティア

救援には救急車や消防車による活動も含まれ、それらに乗り込む半数以上がフィリピン赤の救急隊員ボランティアです。

若年層にはその救急隊員ボランティアが人気のようで、講習は毎回定員いっぱい。順番を待っているほどです。

日赤は、15人の熱心なボランティアの中から、10人をスタッフとして雇用することになりました。また、レイテ島で行う学校修復・再建事業にも、ボランティアからスタッフを雇用することになっています。

私たちの復興支援事業は、こうしたボランティアやスタッフが支えているのです。

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