赤十字国際委員会(ICRC)ミャンマー駐在員からの声

赤十字国際委員会(ICRC)ミャンマー駐在員からの声

日本赤十字社は、災害救援や復興、開発協力など、支援を必要とする 国々に多くの日本人スタッフを送っており、平成25年度には15カ国にのべ84人を派遣しました。今回はその中で、主に紛争地での人道支援に携わる赤十字国際委員会(以下、ICRC)に派遣している片岡昌子要員の、現場からの生の声をお届けします。

ICRCはスイス・ジュネーブに本部を置くスイスの国内法人。現在、世界約80カ国で約1万2500人のスタッフが、収容所内にいる捕虜や被拘束者の生活環境や待遇の監視、緊急援助物資の配布、紛争犠牲者の保護や医療サービスの提供、離散家族や行方不明者の安否調査、人道法の普及などの活動を行っています。

片岡要員は、2014年4月からミャンマーのICRC代表部に派遣され、抑留者訪問担当として活動中です。

ICRCのミャンマーでの活動

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収容施設訪問後に同僚と健康面での情報を共有する片岡要員(右)©ICRC

「ミンガラバー!(こんにちは)」

ミャンマーは、とても美しい国です。見渡す限り一面の緑の水田と、そこにそびえる黄金の仏教寺院(パゴタ)。

雨期のこの時期、地方に出張する際の車の中からの景色は、見飽きることがありません。

日本の約2倍の面積を持つこの国には、130を超える異なる民族が暮らしています。

しかし、一部の地域ではコミュニティー間の緊張・対立により人びとの生活が脅かされ、特に国境付近では政府軍と多くの武装勢力が対立し、停戦のための話し合いが行われる一方で、今でも不安定な状況が続いています。

ICRCのミャンマーでの活動は1986年、地雷等の被害者のための義肢製作やリハビリ・プログラムの実施に始まりました。1999年からは、全国各地の刑務所等に収容されている被拘束者の訪問を行い、現在では、医療支援や避難民等の生計支援など、活動の幅を広げています。

家族の絆を回復する赤十字通信

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ミャンマー赤十字社のボランティアより赤十字通信を受け取る家族(写真提供:ミャンマー赤十字社)

その中で、私はチームの一員として、刑務所や労働キャンプなどを訪問し、収容されている人びとの処遇や生活環境を確認。

必要に応じてその改善を図るとともに、外にいる家族との連絡の維持・回復を支援する活動を行っています。

チームには、医療保健や給水・衛生の専門家も加わります。

私の仕事は、 相手の話にじっくりと耳を傾けることから始まります。その際は、相手が誰であっても差別なく接すること、赤十字の基本原則を忘れないことを心がけています。

電話や郵便といった通信サービスがまだしっかりと整っていないミャンマーでは、特に、赤十字が提供する「赤十字通信」が、被拘束者が家族との連絡を維持・回復するために貴重な役割を果たしています。

ICRCが被拘束者から受け取った赤十字通信の多くは、ミャンマー赤十字社の協力を得て、各地の赤十字ボランティアの手により、遠く離れて暮らす家族の元に届けられます。中には、赤十字通信により15年ぶりに家族との連絡がとれたという例もあります。

ICRCは、関係省庁の協力の下、遠方から家族が刑務所などを訪問する際の支援活動も行っています。15年ぶりに無事に生きていることが分かった息子に面会するため、刑務所に向かう年老いた両親の笑顔は、私を含めたチーム全員に赤十字の地道な支援の大切さを改めて感じさせてくれました。

世界災害報告2014

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国際赤十字・赤新月社連盟(以下、IFRC)は「世界災害報告2014」を発行しました。

今年のテーマは「文化とリスク」。なぜ人びとは、洪水や台風などの 災害が毎年のように発生すると分かっていながらその土地に住み続けているのか。

地域の文化に根差した人びとの習慣や考え方が、災害や疾病の原因となりうる要素を察知するときの感度にどのような影響を与えるか。

本書は、文化が災害リスクとどのように関連しているかを考慮することで、防災や復興計画をより効果的なものにすることができると提言しています。

また、本書には2013年の災害データも掲載。2013年に発生した災害のうち最も多かったのは洪水で、自然災害による死者の44%が洪水の被災者でした。 最も甚大な被害をもたらしたのはフィリピン中部を直撃した台風30号「ハイエン」で、被災者数は1600万人。自然災害の世界全体での被災者数は1億人と報告しています。

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