ベトナム災害対策事業~災害に強いコミュニティーづくり

ベトナム赤十字社で8月に開催されたパートナーシップ会議の様子

ベトナム赤十字社で8月に開催されたパートナーシップ会議の様子

日本は今年、多くの台風や土砂崩れによる被害に見舞われました。

アジア地域での災害は、気候変動の影響もあり、近年ますます頻繁に発生するようになっており、その被害も甚大化する傾向にあります。

このような中、災害発生時の支援においても、また平時の防災においても、支援する側のコーディネーションの重要性が問われるようになってきています。

赤十字にとっても、その最大の強みである189の国と地域に広がるネットワークが連携して活動することがますます重要となっています。

日本赤十字社(以下、日赤)が災害対策事業を実施しているベトナムでも、現在10カ国の赤十字社がベトナム赤十字社(以下、ベトナム赤)とともに事業を行っています。支援の効果を最大限にするため、8月にパートナーシップ会議を開催。日赤を含む支援国の赤十字社が一堂に会し、ベトナム赤とともに、今後の支援のあり方について意見交換を行いました。

会議では、特に災害分野での援助効果を高めることを主眼に置き、ベトナム赤の事業戦略や、各国赤十字社が実施する事業内容、ベトナム国内での災害状況等を話し合いました。

主流アプローチは「コミュニティーの力」を生かした防災

ベトナム赤を支援する各国赤十字社のほとんどが、同社が最も力を入れている災害対策分野の事業を支援しており、その中で主流となるのが、「コミュニティーの力を生かす」防災の仕組みづくりです。このアプローチは、国内全土に支部を持ち、多くのボランティアを有する赤十字にとって有効な手法で、世界各国で用いられるようになってきています。

世界の防災の指針を定めた「兵庫行動枠組」(※)でも、すべてのレベル、特にコミュニティーで災害に強い体制を整備することが目標とされており、世界の防災の主流となる考え方といえます。

ベトナム政府も国を挙げてコミュニティー防災に取り組んでおり、2020年までに災害にぜい弱な6000のコミュニティーが、災害対応力を高められるように支援する政策を掲げています。ベトナム赤はそのうち1000のコミュニティーを支援する役割を担っています。日赤を含む各国赤十字社は、共同で策定した枠組の下、同じ目標に向かい、結束してベトナム赤を支えています。

※兵庫行動枠組(HFA)は、2005 年に神戸市で開催された国連防災世界会議で採択され、各国政府や国際機関等が2015 年までに、防災分野、特に災害リスクの軽減に向けた取り組みを推進することが定められています。

日赤の災害対策事業の最新情報

日赤が支援するマングローブ植林を通じた災害対策事業(第4次5カ年計画

日赤が支援するマングローブ植林を通じた災害対策事業(第4次5カ年計画

日赤が平成9年から実施しているマングローブ植林を通じた災害対策事業は、開始当初は植林が主な活動でしたが、平成23~27年の第4次5カ年計画では、コミュニティーの能力強化により重きを置いています。

具体的には、地域や学校での防災教育や、地域の住民にとって最小限の防災体制・システムを構築できるように支援しています。

ハイフォン市での台風を想定した避難訓練で、けが人を運ぶ訓練を行う赤十字ボランティアとスタッフ

ハイフォン市での台風を想定した避難訓練で、けが人を運ぶ訓練を行う赤十字ボランティアとスタッフ

日赤の事業地クァンニン省支部とハイフォン市支部でも、コミュニティー強化のための活動が、地域住民の参加の下で行われています。

クァンニン省支部では、地域のリスクを住民が把握するためのアセスメントが実施され、その結果を基に、災害の被害を最小限にするための活動計画が作成されました。

より多くの意見を取り入れるため、10回の話し合いの機会が設けられ、300人近くの住民を巻き込むことに成功しました。計画された事業は今年8~10月に各コミュニティーで実施される予定です。

ハイフォン市支部は、住民参加の災害対応訓練を実施しました。計画や周知の段階から地元行政と協力し、より多くの住民に訓練に参加してもらえるように働きかけ、直近の訓練には150人の住民が参加しました。行政やメディアとの積極的な連携も、コミュニティーに根付く支援の実施には不可欠です。

世界を災害から守るための指針

2015年3月には、第3回国連防災世界会議が仙台で開催されます。今後2015~20年に国際社会が目指す防災の指針が策定される会議で、赤十字はこれまでに蓄積された災害に関する知見を世界に発信する予定です。日赤は、これからも国際社会や世界の赤十字社と協同し、災害に強いコミュニティーの構築に向けて活動していきます。

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