イラクから日本の学生へ~国際活動報告会

学生に向けてイラクの現状への思いを語る吉田看護師

学生に向けてイラクの現状への思いを語る吉田看護師

日本赤十字社(以下、日赤)が赤十字国際委員会(ICRC)を通じてイラクに保健医療要員として派遣している、日赤和歌山医療センターの吉田千有紀(よしだ ちゆき)看護師。

一時帰国に合わせて、明治学院大学の赤十字ボランティアサークル 「明学レッドクロス」とともに、学生に向けて活動の報告会を行いました。

報告会は、日赤とパートナーシップを結んだ明治学院大学のキャンパスで行われ、「明学レッドクロス」で活動する学生や大学関係者のほか、東京都・神奈川県の赤十字ボランティアも集まりました。

イラクってどんな国?

吉田看護師が冒頭、学生にイラクという国のイメージを聞くと、「戦争」「怖い」といった印象が返されました。

吉田看護師は、食べ物や風景などからイラクの豊かな文化や国土を紹介するとともに、1980年代に起こったイラン・イラク戦争以来、断続的に紛争が続く状況を現実として過ごしている人びとの生活を紹介しました。

時には、こうした状況の中で暮らしていかざるを得ない子どもたちに対して「耳をしっかりふさいでいてあげたい」という思いを抱き、また実際に身近で近しい人の死に直面したことなどによる心的外傷から、「話ができない、笑えない、大人にしがみついて離れない」という状態の子どもたちを目にしてきた吉田看護師。

吉田看護師はイラクの病院や地域の保健所を支援し、研修を行ったり、予防接種の支援や医薬品・資機材の提供を行ってきましたが、紛争が激化してからは国内避難民の数が急増し、避難民キャンプのニーズ調査や支援に追われています。

イラクの現状からキャリア・アドバイスまで活発な質疑応答

イラクでの赤十字ボランティアについて質問する学生赤十字ボランティア

イラクでの赤十字ボランティアについて質問する学生赤十字ボランティア

報告後の質疑応答では、イラクの現状や国際赤十字の支援活動、イラク赤新月社の活動のほか、国際救援活動に将来かかわりたい若者に対してのアドバイスなど、さまざまな質問が出ました。

吉田看護師が答える、イラクでの活動についての質問

• 「イラクで活動するにあたって、難しい点・チャレンジは?」
救急搬送や医療サービスを必要な方に素早く届けること。例えば、軍や武装勢力が設置する検問所によって救急搬送に時間がかかったり、救急車が尊重されず思うように進めなかったり、また一般車両と同様に攻撃の対象となってしまうこともあり、必要な医療を迅速に届ける際の課題となっています。 また、避難民がキャンプなどに集まらずに、家族を中心とした単位で各地に分散して暮らしているという特徴も、支援を効率的に届けることを困難にしています。こうした環境の中、特に女性や子どもたちのニーズが支援から抜け落ちないようにする必要があります。
• 「国際的な救援の現場で活躍したい学生へのアドバイスは?」
もともと赤十字病院で助産師として働いていたところ、「赤十字の持つ国際的なネットワークという強みを生かして活動を広げ、国際救援に携わってみては」という先輩のアドバイスから、国際活動の道に入りました。ただ、活動を始めてみると、改めて「もっと知りたい、勉強したい」と思い、勉強を続けました。 個人的には、自分自身の夢と環境、そして努力が一致したときに初めて、やりたかった仕事をできるようになってきたと感じています。夢を持ち続け、協力してくれる周りの環境をつくっていくこと、そして努力を続けることが大切だと感じます。
• 「イラクでの赤十字ボランティアの活動は?」
最近は激化する紛争の影響で、イラク赤新月社のボランティアでも入れない地域が出てきています。しかし、その他の地域ではボランティアが多くの活動を担い、救急法(応急手当)の研修を行ったり、離散家族を支援しています。
• 「イラクでの人種、宗教、民族・・・活動の中で感じることは?」
イラクの状況は、スンニ派・シーア派・クルド人というような区切りなどで単純には語れるものではないと思います。地域によってはさまざまな人びとが混在し、共生してきており、「共に生きる」思いやりを持って生活してきた歴史があります。例えば医師は、人種・宗教・民族の違いを超えて、分け隔てなく医療活動を行います。 自分自身の保健医療要員としての活動の中でも、ぜひこうしたイラクの医療活動を支えるべく支援を行っていきます。

【赤十字国際ニュース】イラクから日本の学生へ~国際活動報告会(PDF:458KB)

©Ibrahim Malla/IFRC

©Ibrahim Malla/IFRC

イラクの避難民の支援活動のために、皆さまの温かい支援をお願いいたします。