バルカン半島で大洪水が発生

約100年ぶりの大洪水

ヨーロッパ東南部にあるバルカン半島のセルビア共和国(以下、セルビア)とボスニア・ヘルツェゴビナでは、5月13日から降り続いた豪雨により多くの地域で大洪水が発生しています。

地域が水没したために家から出ることができず、数千人が救助を待っている状態です。また数万人が、学校などの公共施設に避難しています。

セルビアでは約30万人、ボスニア・ヘルツェゴビナでは約5万人が水や電気を使用できません(5月18日時点)。

セルビアでは、首都ベオグラード南西のオブレノバツ市が最大の被害を受けました。現在、約1万人の被災が確認されています。オブレノバツ市にはセルビア最大の発電所があり、国全体への電力供給が危機にさらされています。

何本かの河川では水位が減少しましたが、多くの支流を持つサバ川などの河川では、今後も水位の上昇が続くことが予想されています。そのため数百人の市職員やボランティアが、土のう等を使用して昼夜を問わず堤防を補強しています。

ボスニア・ヘルツェゴビナでは、北東地域の家屋や道路、鉄道などの約3割が水没しています。同国は18日、14県に対して国家非常事態宣言を発令しました。一部の県は完全に水没しており、何百人もの人たちが19日現在も屋根の上で救助を待っている状態です。

また、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時に埋められた地雷が、洪水や地滑りによって地中から流され始めています。これは住民や救助活動を行う者にとって、非常に危険な状態です。

赤十字の活動

セルビア赤による被災者の救助活動

セルビア赤による被災者の救助活動。おぼれさせないように一人ひとりを慎重に安全な場所に避難させます

セルビアとボスニア・ヘルツェゴビナ両国の赤十字社は、被災者の救助活動や物資の支援、避難所の設営などを積極的に行っています。

セルビア赤十字社(以下、セルビア赤)は、このような事態に備えて特別に訓練されたチームを中心に、数千人のボランティアとスタッフを動員。救援活動を行うとともに支援物資を被災者に配布しています。

ボスニア・ヘルツェゴビナ赤のボランティア

水没した被災地に支援物資を運んできたボスニア・ヘルツェゴビナ赤のボランティア

ボスニア・ヘルツェゴビナ赤十字社(以下、ボスニア・ヘルツェゴビナ赤)は、多様な事態に対応できるように準備していたチームとスタッフ、ボランティアが行政を支援し、救助活動を行っています。

また、毛布やマットレス、飲用水や食料、衛生セット、ゴムボート、水の浄化を行う塩素剤を1万人以上に配布しました。

洪水被害の状況に改善が見られないことから、今後も救助や物資の支援行っていく予定です。

救助活動はしばしば、被災した道路やさまざまな悪条件に妨げられます。そして、赤十字社のボランティア自身も今回の洪水の被災者です。しかし、まず支援を待つ人びとのために、ボートなどを使用して水上を横断し、必要な物資の供給を続けています。

大きな被害が出ている北部のブルチコ市では、セルビアから流れるサバ川に土のうを積み上げています。この川が氾濫すれば、さらに数十の村が水没するからです。

ボスニア・ヘルツェゴビナでは洪水により、数千ヘクタールの畑と収穫物が損なわれました。多くの人の住居だけでなく、生計を立てるための手段も失われたのです。

国際赤十字の支援

国際赤十字もすでに支援に着手しており、国際赤十字の事務所があるサラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)とブダペスト(ハンガリー)を通じて、物資の支援と復興計画の策定が行われています。

必要な支援の調査に基づき、ボスニア・ヘルツェゴビナ赤への災害緊急救援基金(以下、DREF)から活動資金が拠出されました。これにより、さらに充実した物資の支援やボランティア、スタッフのトレーニングなどを行っていきます。また、セルビア赤へのDREFからの活動資金も、今後の調査に基づいて拠出される予定です。

現時点では、2カ国の赤十字社からの国際支援要請は出ていません。

日本赤十字社は引き続き状況を注視するとともに、サラエボとブダペストの国際赤十字の事務所を通じて緊密に連絡を取り、必要に応じて迅速に対応できるように準備しています。

◆日本赤十字社は5月を赤十字運動月間として、活動をお伝えするさまざまなキャンペーンを展開。皆さまのご協力をお願いいたします。

赤十字運動月間がスタート