リベリア、エボラ出血熱の感染拡大を断ち切るために

日本赤十字社が感染症の専門家を派遣

西アフリカのギニア共和国で、本年2月初旬に発生したエボラ出血熱。感染力が強く、すでに136人が死亡しています。3月中旬には隣国のリベリアでも初の感染者が確認されました。

リベリア保健福祉省が発表した直近のデータ(4月18日)では、疑似感染者ら(確定していないが感染が疑われる患者)を含めると死亡者は13人(※)に上ります。

西アフリカでこの感染症が流行するのは初めてのことで、リベリア政府は対応に苦慮しています。

日本赤十字社は、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の要請を受け、感染症の専門家として、日本赤十字社和歌山医療センター 感染症内科部副部長 兼 国際医療救援部 古宮伸洋(こみや・のぶひろ)医師をリベリアに派遣します。

古宮医師は首都モンロビアを中心に、約1カ月間にわたり現地調査・調整チームの医療部門のリーダーとして、リベリア赤十字社のエボラ出血熱防疫医療活動をけん引します。古宮医師は26日、リベリアに向けて出発します。

※世界保健機関(WHO)の発表(4月22日)によると、1人はギニアでの死亡者として位置づけ、1人はエボラ出血熱感染者ではないことが判明したため、リベリア国内での死亡者は計11人とされています。

リベリアでの感染者発生状況と赤十字の活動

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リベリア赤十字社はギニアでの本感染症の発生を受けて、リベリア国内での発生以前から、保健福祉省に感染防止用の個人用防護具を供給するなどの支援を続けてきました。

また、政府の作業部会に参加し、効果的な防疫措置などについて助言しています。

保健福祉省はリベリア赤十字社に4月1日、感染拡大を防ぐために、人びとへの予防知識の普及やこの感染症に関するわかりやすい情報の提供などを依頼しました。さらに4日には、感染者の感染・接触経路の調査と「こころのケア」を実施するように要請しました。

リベリア赤十字社のボランティアは、地域に密着した活動を行ってきました。そのために、それぞれの活動地区に関する知識を生かし、感染地域の人びとが過度に無関心であったり、反対にパニックに陥らないように呼びかけて、正しい予防知識を伝えています。

また、感染者の感染・接触経路を聞き取り、リベリア赤十字社本部に報告を続けています。

致死率の高いこの感染症にかかった患者やその家族は、さまざまな面ででひどく傷つき、癒やしや助けを必要としています。赤十字ボランティアはそれぞれのこころの声に注意深く耳を傾ける「こころのケア」を積極的に行っています。

地域医療の充実から疾病の根絶を

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フィリピン中部台風被災地で診療を行う古宮医師(2014年1月~2月)

リベリア政府はWHOなどの関係機関と協力しながら、本感染症のまん延の防止に全力を尽くしています。

しかし、経験や物的・人的資源の不足、さらに調査活動のシステムが未整備であることなどから、正確な感染状況やリスクの評価を行うことは難しい状況です。

リベリア赤十字社は現在、北西部のモンセラド郡と沿岸部のマージビ郡で展開している支部緊急対応チーム(Chapter Emergency Response Team(CERT))を、感染者が確認されたすべての郡に設置し、当局と協力しながら、より地域の実情に即した情報提供や感染拡大の予防、調査活動を行っていく予定です。

このたび日本赤十字社が派遣する古宮医師は、国際赤十字の現地調査・調整チームの医療部門のリーダーとして、現地の医師ら医療従事者への技術指導を進めます。

また、各郡のリベリア赤十字社支部の緊急対応チーム(CERT)と連携して感染経路を把握し、防疫措置を進めるための調査も実施します。各支部で感染者に寄り添うボランティアへの感染予防教育も重要な役割の1つです。リベリアでの活動をまとめて、防疫措置の充実や西アフリカでのエボラ出血熱の感染拡大の抑え込みを目指します。

古宮医師はこれまでも、災害の被災地や感染症に苦しむ世界各地で活躍してきました。今年1月から2月にかけては、フィリピン中部台風救援事業に参加し、汚染水等から発生する感染症の対策にも従事した経験を持ちます。古宮医師の活動が、本感染症のまん延を防ぐだけでなく、リベリア赤十字社のエボラ出血熱など感染症対策の対応能力強化につながることが期待されています。

なお、日本赤十字社は、エボラ出血熱の今回の発生国であるギニアでの救援活動にも、約500万円を支援する予定です。

赤十字はこれからも、国際的なネットワークを生かして、リベリアや西アフリカでのエボラ出血熱予防対策に積極的に取り組んでいきます。