四川省地震から1年~進む復興支援はNGOとの連携がカギ

中国四川省雅安(があん)市で、2013年4月20日に発生した四川省地震。196人が死亡、20万近い住宅が全半壊の被害を受けました。

地震から1年目を迎える雅安市で支援活動を行う日本赤十字社の位坂和隆駐在員が、現地の様子をお伝えします。

「黄色の海」の谷間で進む再建工事

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四川省雅安市内の住宅再建現場

四川の春は、菜の花がいたるところで咲き誇り「黄色の海」に包まれます。雅安市は2008年に発生した中国大地震、そして2013年に発生した四川省地震の被災地です。現在、住宅再建のピークを迎えているところです。

2008年の震災後に再建された大型の公共施設の多くは、昨年の地震では倒壊を免れました。しかし、民家の多くが被災し、再建を必要としています。

同市の山村地区は特に高齢者世帯が大半を占めており、住宅再建に伴う経済的負担が大きな課題となっています。中国政府は、再建が必要な世帯に2008年の震災時より多い補助金(世帯人口に応じ2万6000~3万2000元、約42~52万円)を交付。経済的に苦しい世帯にはさらに増額し、速やかな住宅再建を目指しています。

「もう一度大きな地震が起きたとしても、住人の命を守れる安全・安心な家を建てよう!」という願いを込めて、工事の槌音が山あいの地域に響きます。

暮らしやすさに配慮した仮設住宅

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仮設住宅が建つ地区の共用キッチンで食事を準備する女性

雅安市の山村地区は深い森林に囲まれた多雨・高湿の環境で、野生のパンダが生息する豊かな自然に恵まれています。

2008年の中国大地震では膨大な数の住宅が被災し、70万世帯分の仮設住宅が急ピッチで建設されました。

しかし、当時の仮設住宅は特に夏場はサウナのように蒸し暑く、非常に暮らしにくいものでした。

この反省を踏まえて、昨年の震災後に建設された仮設住宅は、天井を高くして室内温度を下げるとともに、収納スペースを確保できるように設計。屋外部分に降雨時の排水溝を設けるなど、被災者が住みやすいように配慮した構造です。

さらに共有スペースとなるキッチンやトイレ、シャワー室なども整備され、衛生的に暮らせるように工夫されています。

震源からほど近い同市蘆山(ろざん)県の県城(中心)地区にある仮設住宅に家族4人で暮らす()さん(63歳)は、「少し狭いですが、スペースをどう利用するか工夫することも大切です。新しい住宅へ移れる日も遠くないと思います。今は将来の希望を糧に、毎日を健康に過ごすことが一番大切だと思っています」と話してくれました。)

弱い立場にある人への支援とNGOとの連携

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雅安市蘆山県の人民病院リハビリセンターで、震災により障がいを負った人たちへ太極拳の指導をするNGO職員

昨年の震災後の被災者支援で最も特筆すべき点は、中国のNGO間の相互協力です。

震災発生直後に雅安市に隣接する省都・成都市内のNGOが中心となり、「成都公益組織4.20連合救援行動」(4.20は震災発生日)が設置され、救援物資の輸送や配布でNGO間の協調と連携が図られました。

その後、中国紅十字会(中国の赤十字社)や複数の公益基金団体、大学などの支援により「中国社会組織災害対応プラットフォーム」が創設され、復興段階での被災者支援を計画するNGOへの資金支援を行うとともに、各NGOの活動情報や支援ノウハウの共有が図られました。

政府主導の救援・復興が進められる中で、「NGOが持つ力をいかに効率的に発揮するか」が考えられており、これは中国では画期的な試みです。

また、こうした草の根で活動するNGOは、その大半が社会的に弱い立場の高齢者や障がいのある人らを主な支援対象にしており、被災地での福祉活動の推進にも貢献しています。

中国のNGOを支援して日本の経験を伝える

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NGO連携ワークショップの様子

日本赤十字社は、上記の「中国社会組織災害対応プラットフォーム」の能力向上とNGO間の連携を強化するため、国際赤十字とともに3月末に関係者によるワークショップを開催しました。

ワークショップでは、1995年の阪神・淡路大震災後に発足したNGO連絡協議会や、国際緊急救援を行うNGOをサポートする「ジャパン・プラットフォーム」などの経験を紹介しました。

NGOの連携・支援手法の事例が紹介されるとともに、中国で特に重要である受益者との良好な関係づくり、地元政府やコミュニティーとの調整方法も検討され、より効率的かつ長期的な視野に立った支援の枠組みのあり方などが話し合われました。

四川省は地震だけでなく、洪水や土砂崩れなども起こる災害多発地域です。今後の災害に備えるために、日本赤十字社は中国紅十字会の四川省内にある倉庫の救援物資備蓄、災害緊急救援チームの支援なども行っています。