「昭憲皇太后基金」をテーマに国際シンポジウムを開催

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シンポジウムには、52カ国の駐日大使・公使のほか一般の参加者など360人が参加しました

日本で最も歴史のある国際協力基金として知られる「昭憲皇太后基金」。

100年余りに及ぶその歴史をふり返るとともに、これからの人道支援に日本が果たすべき役割を考える国際シンポジウム「日本発。100年続く国際人道支援~明治の皇后『昭憲皇太后基金』と赤十字~」(主催:明治神宮国際神道文化研究所、後援:日本赤十字社ほか)が4月6日、高円宮妃殿下御臨席の下、東京・渋谷の国連大学で開催されました。

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基調講演する近衞社長

明治45(1912)年、明治天皇の皇后であった昭憲皇太后が国際赤十字に「平時事業のために」と10万円(現在の3億5000万円相当)を寄付されました。

それを基に創設されたのが「昭憲皇太后基金」です。昨年までに158の国と地域の赤十字が行う600以上のプロジェクトを支援してきました。

基調講演で日本赤十字社の近衞忠煇社長は「明治21(1888)年の福島県磐梯山噴火の際、昭憲皇太后が日赤に医師の派遣を命じたことが赤十字による災害救護の先駆となった」と紹介。また昭憲皇太后基金が、①赤十字が平時活動に関わる大きな流れを作った ②配分にドナーとなる日本が一切口出しをせず、純粋な人道支援を続けてきた ③政府開発援助(ODA)でカバーできない事業への支援を行ってきた点などを高く評価し、「こうした基金の存在を広く国民に知って欲しい」と訴えました。

同じく基調講演を行った赤十字国際委員会(ICRC)のフランソワ・ブニョン最高統治機関委員は、赤十字が誕生した19世紀後半のヨーロッパでは産業革命の恩恵を受けられない多くの人々が貧困と疾病に苦しんでいたことを指摘。そうした社会状況がまだ残る20世紀初頭にあって「昭憲皇太后基金は赤十字の平時活動を促進する契機となり、災害や疾病に苦しむ何百万もの人々がその恩恵を受けてきた」と感謝を表明しました。

パネルディスカッションでは、元国際連盟日本政府代表部特命全権大使の大島賢三氏が、世界の自然災害発生件数が20年前の2倍に増加し、気候変動によりそのリスクが高くなりつつあることを指摘。その上で、「日本も被支援国として災害時に支援を受け入れる準備が必要。そのための体制づくりや人材育成が課題となっている」と提起しました。

一方、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のマーティン・ファーラー東アジア地域代表と明治神宮国際神道文化研究所の今泉宜子主任研究員は、昭憲皇太后基金による人道支援が世界でどう役立てられているのかを報告しました。

マーティン氏は、昭憲皇太后基金による支援申し込みが、2012年に35件、2013年には26件あったことを紹介。「支援先を決めるICRCとIFRCの合同委員会では、申し込みのあった各国の事業が人々のいのちを救い、またそのための行動変容につながるかを注意深く検討した上で、配分先を決定している」と説明しました。

今泉氏は、昨年基金の配分を受けたベラルーシ赤十字社の事業「障がいのある子どもと家族のためのサマーキャンプ」などの取材体験に基づき、基金が開発途上国の幅広い人道活動を支えている実情について発言しました。