ベトナム災害対策事業:第4次5カ年計画の中間評価

日本赤十字社(以下、日赤)はアジア大洋州地域で、防災活動に重点を置いた支援を展開しています。

1997年に開始したベトナムの災害対策事業は、今年で開始から18年目を迎えました。第4次5カ年計画の中間評価の概要をお届けします。

災害に負けない強い地域づくりを目指して

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南北に長い海岸線を持つベトナムは、気候変動による影響を最も受ける国の一つとされています。

特に沿岸部では海面上昇による高波への脅威が増しており、山間部でも雨量の増加による土砂災害が拡大しています。

災害に対してもろさのあるこの国で、日赤は現在ベトナム赤十字社(以下、ベトナム赤)を通じて、沿岸部8省・山間部2省の356コミュニティーに向けて災害対策事業を展開し、主に以下の3つの活動を行っています。

  1. 高波被害抑止効果のあるマングローブや、土砂崩れを防ぐための森林を、地域の住民が自らの手で植えて守り続けることを支援
  2. 住民が自ら身近な災害について考え、いざという時に率先して行動できるように防災教育を実施
  3. これらの活動の基盤を支えるベトナム赤ボランティアと職員の能力強化を図ること

これらを連携させることで、災害に負けない強い地域づくりを目指しています。

地域住民も納得 ~中間評価で見えてきた事業の効果~

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住民に中間評価の聞き取り調査を行う様子

日赤はこれまで、事業開始当初から通算して延べ1万109ヘクタール(東京ドーム2162個分)にマングローブと森林を植林してきました。また、住民対象の防災研修を101回開催しました。

今回の中間評価の対象となった期間中(2011年1月~2013年6月)に、植林・保全活動や防災教育を通じて11万2737人が災害被害軽減の恩恵を受け、約3200万人が防災に関する知識や植林活動の副次効果による収入の向上などの間接的な利益を享受しました。

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植林の副次効果として、周辺の生態系が豊かになることが確認されています。マングローブ林で獲れたカニを手に、「植林前に比べると収入が2~3倍増えました」と地元漁師が語りました

地元の漁師は「この村にマングローブを植林する話が上がった時、私は大反対でした。マングローブ林にさえぎられて沖に漁に出るのが大変だからね。でも今ではすっかり考えが変わったよ。毎年、高波被害で村中水浸しだったのが嘘みたいに、今では村まで波が来ない。何よりマングローブのおかげで魚や貝の漁獲量が増えたしね」と語っています。

事業開始当初は住民に理解されにくかった活動の重要性が、今ではほとんどすべての世帯に認められています。住民らは植林活動と防災教育は良い影響をもたらしていると回答しました。

見えてきた課題

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昨年9月に事業地の一つであるタンホア省の人民委員会から、日赤の過去15年の活動に対して感謝状が贈られました。事業の効果を地元に根付かせるには、地元政府の活動への理解を深めることも不可欠です

一方で課題も見えてきました。山間部で植林された木は、ベトナムの法律により将来伐採することができるとされています。そのため植林活動だけでは、将来的な防災効果は限定的となります。

また、植林地の保全・管理を担当するボランティアが今後自立し活動していくためには、ベトナム政府や地元企業の理解を更に醸成する必要があります。

これらの課題を踏まえて、日赤はベトナム赤を通じて、2015年12月までに山間部での防災教育を強化し、政府や地元企業との対話を深めていく予定です。

日赤はこれからもベトナム災害対策事業を通して、平時からの「災害に強い地域づくり」を支援していきます。

ベトナム災害対策事業 中間評価報告書を掲載しました

今回の中間評価報告書を掲載しました。日本語版も近日中に掲載予定です。