中央アフリカ共和国での武力衝突~国内避難民が93万5000人

中央アフリカ共和国では、長年にわたり政情不安が続いてきました。

2012年以降は政府と反政府勢力間の武力衝突が激化。さらに宗教間の対立へと拡大し、多数の市民が犠牲になっています。

昨年12月には首都バンギで大規模な戦闘が発生し、事態は悪化の一途をたどっています。

国連安全保障理事会の報告(2014年1月6日)によると、首都バンギだけで750人を超える死者が確認されており、市民の半数にあたる約51万3000人が攻撃から逃れるために自宅を離れて避難民となっています。

戦闘は国内各地に広がり、中央アフリカ共和国全体で約93万5000人が避難民となり、約220万人が人道的な支援を必要としているといわれます。

バンギ空港とその周辺のキャンプには約10万人の避難民が身を寄せていますが、空港の機能に影響を及ぼしていることから、強制的な移動を余儀なくされる懸念が浮上しています。また、避難民キャンプに多数の戦闘員が潜伏しているとの情報もあります。

さらに、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、チャドなどの周辺諸国にも難民として多くの人びとが逃れており、国際的な支援が求められています。

最前線で続く赤十字の人道支援

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ICRC外科チームによる負傷者の手術 ©ICRC

治安が悪化し多数の一般市民が犠牲となる中、中央アフリカ赤十字社(以下、中ア赤)は赤十字国際委員会(以下、ICRC)や国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)などとともに、人々のいのちと健康を守るために活動を続けています。

①医療支援

赤十字は武力衝突に巻き込まれるなどして負傷した人々に応急手当を施し、医療機関に搬送しています。これまでに280人以上を病院に搬送しました。

また、現地の医療サービスを支援するため、外科医、麻酔科医、看護師などの医療スタッフを派遣し、次々に運び込まれる負傷者の治療を行っています。

ICRC外科医のエッサム・サイード医師は、負傷者への緊急手術を担当しており、1月4日以降30人に処置を施しました。「私たちは治療を必要とする人々をすべて受け入れています。治療の優先順位は、負傷の度合いによってのみ決まります」と述べています。

赤十字が支援する地域病院のベッドは常に患者でふさがっており、今後はICU(集中治療室)の分野を中心に増床する予定です。

一方で犠牲になった方々の遺体の収容も赤十字の活動です。これまでに734体の遺体の埋葬を行ってきました。

②水と食料、衛生面での支援

昨年12月5日の武力衝突以降、バンギ空港周辺は避難民が増え続けています。赤十字は、空港周辺のキャンプで生活する10万人と、ボーイ・レーブ修道院近隣の3万人の避難民に対して、毎日飲料水を提供しています。また、バンギ南部のキャンプでは、およそ7千人にトウモロコシや豆、食塩や油などの食料品を届けています。

ICRC中央アフリカ代表部のジオグランタス所長は「何も持たずに逃げて来た人々は、生きるための最低限のニーズさえ満たされていませんでした。飲料水の提供により当面の状況は改善しましたが、今後はいかに迅速・効率的により多くの安全な水を届けられるか、そして劣悪な衛生環境を改善できるかが重要な課題です」と述べています。

こうした状況を踏まえ、赤十字は17カ所の避難民キャンプでトイレの設置に取り組んでいます。1月末までにおよそ1,000基のトイレを設置する予定です。

不衛生な環境下では感染症のまん延も懸念されます。赤十字は政府の予防接種キャンペーンに参加し、バンギの2カ所の避難民キャンプで、はしかとポリオの予防接種の実施を支援しています。

国際人道法の遵守を
~一般市民への武力攻撃は禁止されています~

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大勢の避難民が待つキャンプに食糧を届ける ©ICRC

国際人道法(ジュネーブ諸条約等)において、戦闘に加わらない一般市民(文民)を攻撃することは禁止されています。

また、赤十字の標章(マーク)を付けて負傷者への医療救護を施すために活動する人びとや施設は、絶対に攻撃してはなりません。

赤十字が紛争地における人びとの「最後の砦」として、人道支援活動を行うことができるのは、こうしたルールがあるからです。

中ア赤は、これまで敵味方の区別なく中立の原則に基づいて負傷者等への支援を行ってきました。そのため、今回の事態にあっても、対立するそれぞれの勢力から信頼を得て活動をしています。

しかし現実には、国際人道法のルールが守られず、戦闘にかかわらない一般市民が攻撃を受けて死亡あるいは負傷するケースが増えています。赤十字も攻撃や妨害行為により、危険と隣り合わせの中で活動を続けています。

「負傷者を無事に病院に運ぶことが、その人の生死を決めます。だからこそ、赤十字の標章が攻撃から守られ、医療スタッフの安全が確保されなくてはならないのです」とジオグランタス所長は述べています。

赤十字は、引き続き中央アフリカ共和国での支援に取り組んでいきます。赤十字の活動に対する皆さまのご支援をお願いいたします。