ポリオのまん延を防ぐために~ソマリア赤新月社の取り組み

本年初頭にアフリカ東部のソマリアで、野生型ポリオ(小児まひ)ウイルスへの感染症例が明らかになりました。

ソマリア赤新月社(以下、ソマリア赤)は同国の保健省やその他の関係機関と協働し、ポリオのまん延を防ぐため、直ちに行動を開始しました。

「ポリオウイルスに感染した子どもが一人でもいる限り、その地域の子どもたちは感染の危機にさらされたままになります」と国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)ソマリア事務所のクゥアメ・ダルコさんは言います。「だからこそ、どんなに小さな村やコミュニティーであっても訪ねて行き、予防接種を実施して確実にウイルス拡散を防ぐことが欠かせません」。

ポリオは非常に感染力の強いウイルスで、主に5歳未満の子どもたちや妊婦、免疫機能が弱っている人たち、また予防接種を受けていない人たちに猛威をふるう傾向があります。ウイルスは口から体内に入って中枢神経系に侵入し、数時間のうちに全身まひを引き起すこともあります。初期症状は発熱、疲労感、頭痛、嘔吐、首のこりと四肢の痛みなどです。

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予防接種の大切さを知ってもらうために、戸別訪問を行うソマリア赤のボランティア ©IFRC

今回のポリオの発生を受けて、一人でも多くの子どもたちにワクチンを接種するために、ソマリア赤は予防接種キャンペーンを展開しました。

その活動の担い手として、およそ90人のボランティアを動員。ボランティアは、まず予防接種の意義を両親に理解してもらうために、戸別訪問を行いました。

「ワクチンの接種を受けると不妊になると信じている人がたくさんいます。そのような誤った認識を変え、予防接種の大切さを大人たちに納得してもらうのが、我われの役割です」とソマリア赤の保健担当事務官のハッサン・アブディ・ジャマさんは言います。

「私はフーダン地区で8人の子どもがいる家族に出会いました。そのうち3人が5歳未満の子どもたちでしたが、父親は子どもたちが予防接種を受けることを拒否しました。そこで私は父親と膝を突き合わせて話をして、予防接種の重要性を説いたのです。そして2時間後ついに父親は納得し、子どもたちは全員予防接種を受けることができました」と話すのはソマリア赤の保健担当事務官です。

この予防接種キャンペーンの一翼を担った9つの巡回診療チームは、最初はワクチン接種を拒否していた56組の親たちを説得し、子どもたちに予防接種を受けさせることができました。

5日間のキャンペーンでは3450人の子どもたちが巡回診療所でポリオの予防接種を受け、そのうち140人は以前の巡回では接種を受けていませんでした。

ソマリア赤の巡回診療チームリーダーのシューグリ・ヌー・ファイエさんは次のように語っています。「チームスタッフたちとともに、私はガビレイ地区北部を巡回しました。ここは山が多い辺境でアクセスの厳しい地域です。実際にその地域を回ることは本当に大変でしたが、私たちが行かなければ、その地域の子どもたちは予防接種を受ける機会がなくなってしまうのだという思いを胸に、巡回してきました。またキャンペーンの期間中、村の人びとは常に私たちに対して協力的でした」。

キャンペーンは成功したものの、ポリオウイルスはキャンペーン前にすでに拡散していたため、地域をもう一巡して予防接種を実施する必要があります。

ソマリア赤は感染症の拡散を食い止めるため、連盟や国内のさまざまな機関と協力しています。子どもを持つ親たちに対して予防接種の大切さを引き続き伝え、予防接種が必要な地域の分布の把握や巡回計画の調整を実施。またその他の予防接種活動を支援するために、ソマリア赤チームを各地域に派遣することにしています。

感染症を撲滅するため、ソマリア赤は今後も努力を続けていきます。

※この記事は国際赤十字・赤新月社連盟のニュース記事を元に、赤十字語学奉仕団の協力により作成しています。