シエラレオネはダイヤモンドの原石

毎年12月に行っている募金キャンペーン「海外たすけあい」に寄せられたご支援をもとに、日本赤十字社(以下、日赤)は2012年から、シエラレオネ地域保健事業を支援しています。

このたびシエラレオネ赤十字社(以下、シ赤)が2013年の活動報告と2014年の計画を示す会議が首都フリータウンで開催され、シ赤を支援する各国赤十字社が一堂に会しました。日赤を代表して斎藤之弥国際部開発協力課長が参加し、事業の進捗を確認しました。

発展するシエラレオネとその課題

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緑豊かで活気あふれる首都フリータウン近郊。12月は雨季と乾季の境目です

アフリカ西海岸に位置する人口約600万人の小さな国、シエラレオネ共和国。映画「ブラッド・ダイヤモンド」では同国内で起こった激しい紛争下の人間模様が描かれており、今でも危険な国と思われがちです。

しかし、2002年の紛争終結後は政情が安定し、復興に向かって前進しています。

シエラレオネは他のアフリカ諸国と同様に高い経済成長を誇り、昨年度の国民総所得は6.0%の伸びを記録しました。その一方で、国民の6割が1日1米ドル以下で生活しており、貧困の削減が喫緊の課題です。

政府は産業の多様化、資源管理の徹底、人材育成、雇用創出や女性の地位向上を目指しています。

また、平均寿命は女性が45歳、男性が43歳と短く、妊産婦死亡率も出産10万件あたり970人、5歳未満の乳幼児死亡率は1000人に対し192人と、世界的に見ても厳しい保健状況にあります。

安全な水を確保できる人の割合も4割に満たず、コレラやマラリアなどの感染症が流行することもあります。人々が健康で安全な生活を送るには、多くの課題を抱えている国です。

地域保健事業

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村の中心部に建設された井戸。以前は川や水たまりから生活用水を汲んでいました

このような課題に対応してシ赤は、日赤などの支援を受け、「地域保健事業」として以下の活動を全国規模で展開しています。

  1. HIV/エイズ対策
  2. 水衛生
  3. 感染症対策
  4. 母子保健
  5. 緊急保健に関する活動

活動視察

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事業で建設したトイレと簡易手洗い具。この1年で5000個が普及しました

シエラレオネでは昨年から今年にかけてコレラが大流行した背景もあり、安全な水を確保するための井戸や衛生環境の改善のためにトイレの建設が進められました。

これを契機に、ペットボトルやポリタンクとロープを用いた手製の手洗い具も急速に普及しました。

簡単な作りですが、紐を足で踏むとポリタンクが回転して水が流れるため衛生的で、水が日光で消毒されるという効果もあります。

シエラレオネでは数世帯で1つのトイレや手洗い場を共有しているため、より清潔に使用したいという意識が住民間で高まり、自主的に清掃をする姿が見られるようになりました。

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「妊婦が診療所へ行く手助けもしています」と話すボランティア

ポートロコ県では、普段小さな売店を経営している赤十字ボランティアの女性が、病気による脱水症状の予防に効果的な経口補水液づくりをシ赤スタッフから学び、その知識をコミュニティーに伝える役割を担っています。

店先に掲げたシ赤の旗は経口補水液の提供や作り方の指導をしていることを示す目印です。

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「HIVは普通の生活ではうつらないのだから、彼女を差別しないで!」と迫真の演技

カンビア県の女子中学校では、シ赤によるHIV/エイズ予防に関する啓発活動の一環として、寸劇が披露されました。

HIV感染者と感染者を差別する人、それをいさめる子ども役に分かれて演じ、日常生活ではHIVに感染しないことを伝えています。

中学生のうちからこのような活動に携わることで、偏見をなくす一助にもなっています。

シエラレオネは磨かれるダイヤモンドの原石

シ赤は今回の会議で、来年度の保健衛生分野の方針として、48の村での活動をコミュニティに引き継ぎ、新たに77の村で活動を始めること、コレラ流行の経験を踏まえてより多くの人が安全な水を利用できるようにすることを表明しました。その原動力になるのが地域に根差して活動するボランティアです。

この1年間でシ赤ボランティアの登録数は8千人に倍増し、そのほとんどが若年層でした。シエラレオネは総人口の55%が未成年という若い国です。従って、若いボランティアが活動に参加でき、将来も人道活動を担える基盤が整備されていることはとても明るい要素と言えます。

「シエラレオネはダイヤモンドの原石。シ赤の活動に磨かれて、さらに輝くでしょう」。今回の出張から帰国した斎藤国際協力課長は、シ赤の今後の発展が大いに期待できると報告しました。

シ赤が実施する地域保健事業に対する日赤の支援は、事業総額の27%に上ります。いのちと健康を守るシ赤の活動を支援するため、「海外たすけあい募金」へのご協力をよろしくお願いします。