いのちと健康を守る ~ウズベキスタン救急法普及支援~

もしもの時に、身近な人のいのちと健康を守れるように、日本赤十字社(以下、日赤)は救急法の普及を行っています。

そのノウハウを生かして今回、ウズベキスタンに救急法の講師等4人を派遣。

同国の赤十字社にあたるウズベキスタン赤新月社(以下、ウズベキスタン赤)で、救急法の指導員養成研修を行いました。

シルクロードの十字路、ウズベキスタンの今

多くの車が平均して時速80キロ以上で走る首都タシケントの道路では交通事故が後を絶たない。

多くの車が時速80キロ以上で走る首都タシケントの道路では交通事故が後を絶たない

東西文化の交易路シルクロードの要所として古くから栄えてきたウズベキスタンの地には、何世紀にもわたりさまざまな民族が移り住み、国の興亡が繰り返されてきました。

『秘められた歴史の宝庫』『人種のるつぼ』とも形容されるこの国が、独立して現在の国の形を象ったのは1991年と、意外と近年のことです。

独立から20年、同国は豊富な天然資源により今日まで徐々に経済発展を遂げてきています。その反面、急速な交通量の増加により、交通事故が絶えません。

ウズベキスタン赤の職員も、「首都タシケントを運転していると、一日に一回は必ず交通事故の現場に遭遇します」と語ります。このように事故が多発する中、同社はいのちを守る救急法の普及活動に力を入れています。

しかしながら、同社には救急法指導員を養成できる人材がおらず、指導者の養成が大きな課題となっていました。そこで今回、国内での講習や海外への支援でノウハウを持つ日本赤十字社(以下、日赤)から講師を派遣し、ウズベキスタンの救急法をリードする指導者の養成を行いました。

指導員の卵たちの真剣な思いに触れた3日間

包帯法の講義に真剣に耳を傾ける参加者

包帯法の講義に真剣に耳を傾ける参加者

研修には、国内のすべての州から職員とボランティア合わせて24人が集まり、皆一様に日赤が派遣した講師の話に真剣に耳を傾けました。

3日間にわたる研修では、三角巾やマネキンを使った救命手当・応急手当の技術的な講義から、国内で救急法を普及させるための広報活動への助言を行い、さらに、今後同社が自分たちの力で人材を育成するために必要なノウハウを伝授しました。

終始活発な議論が展開され質問が飛び交い、一日の講習が終わってからも夜遅くまで復習を繰り返す参加者の姿も見られ、参加者一人ひとりの真剣さが伝わってきました。

真剣な表情で習ったことを復習するウルベクさん(右)

真剣な表情で習ったことを復習するウルベクさん(右)

今回研修に参加した24人は、研修で習った技術や知識を各地域の支部に持ち帰り、将来的には救急法を普及する立場となる、指導員の卵です。

その参加者の中でも最年少のウルベクさん(20歳)は、研修の最終日に目を輝かせながら、「今回この研修に参加できて本当に光栄に思います。正しい知識と技術があれば誰もが人助けに関われる喜びを、今度は指導員の立場から同世代の若い仲間に伝えていきたい」と語ってくれました。

今回派遣された長野県支部の徳武信也さんと長崎県支部の山下美津弘さんも、「たとえ言葉が通じなくても、講習の目的がはっきりしていれば、受講者には十分内容が伝わることを再認識しました」「ウズベキスタン赤にとって歴史に残る活動の一翼を担えたことを自分なりに誇りに思っています」と語り、今回の支援がウズベキスタン赤のみならず、同国にとっても大きな支援になったことを実感して帰国しました。

日赤は今後も、各国の赤十字・赤新月社に対して救急法等の普及支援を行っていきます。

いのちと健康を守る方法を伝える ~日赤の救急法等の講習について~

日赤は、「苦しんでいる人を救いたいという思いを結集し、いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守る」という使命にもとづき、「救急法」「水上安全法」「雪上安全法」「幼児安全法」および「健康生活支援講習」の5種類の講習を行っています。これらの講習を通して、とっさの事故や災害時に市民一人ひどりが人のいのちと健康を守る担い手となれるよう、必要な技術と知識を普及しています。