ケニア洪水緊急支援~日本の支援を被災者へつなぐ日赤要員~

ケニアでは今年3月から5月まで続いた大雨により広範囲で洪水が発生し、国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)の報告によれば約90人が死亡、約14万人が現在も避難生活を送っています。

この事態に対応するため、連盟は4月に被災した6地域5万人を対象とした支援計画(緊急アピール)を発表し、各国赤十字社からの支援を得て、被災者へのシェルター提供、物資配布、保健サービスの提供などを実施しています。

引渡式で赤十字旗を持つ五十嵐要員

引渡式で赤十字旗を持つ五十嵐要員

一方、日本政府はケニア政府の要請を受け、1600万円相当の緊急支援物資を国際協力機構(以下、JICA)を通じて供与しました。

この支援は、JICAと連盟が2012年11月に締結した協力協定に基づくもので、5月23日にJICAからケニア赤十字社(以下、ケニア赤)に引き渡され、被災地へ輸送されました。

この連携をスムーズに進めたのが日本赤十字社(以下、日赤)がケニアに派遣している、五十嵐真希(いがらしまき)要員です。

引渡式にはケニア政府特別プログラム省、連盟、ケニア赤十字社、在ケニア日本大使館、JICAケニア事務所、日本赤十字社の各代表が出席し、同日中に物資が輸送された。

引渡式にはケニア政府特別プログラム省、連盟、ケニア赤、在ケニア日本大使館、JICAケニア事務所、日赤の各代表が出席し、同日中に物資が輸送されました

「今回私は、在ケニア日本国大使館、JICAケニア事務所、ケニア赤、ケニア政府それぞれの仲介窓口として調整を担当しました。JICAと連盟の協定締結後、ケニアでは初の連携事業ということで、互いにプロセスや手法など不慣れな点もありましたが、なんとかとりまとめることができました。洪水被害の大きい4地域(被災者約8400人)で緊急に必要な物資を見極めた上で、浄水剤、井戸・配管修理工具キット、医薬品、医療用キットからなる支援物資の調達、被災地への配送がタイムリーに行えてホッとしています」

配布状況レポート-緊急支援が感染症予防に貢献

巡回診療用物品が届き、笑顔の子どもたち

巡回診療用物品が届き、笑顔の子どもたち

五十嵐要員は6月13日から2日間、支援物資の配布状況を視察するため、JICAチームとともにケニア西部のキスム、ニャンド、ブシア地区を訪問しました。以下、五十嵐要員からのレポートです。

青空巡回診療の様子

青空巡回診療の様子

まず訪れたのは、洪水被害の大きな地域と、ケニア赤と保健省によって実施されている巡回診療の現場です。

巡回診療には1日約200人を超える村人たちが受診しており、供与された医薬品・医療用キットが被災者の診療、治療に役立っていることが確認できました。

彼らは口々に「本当にありがとう。洪水で家を失った上に医療施設への道も寸断された中、この巡回診療で多くの人が助かりました。とても感謝しています」と話してくれました。

長蛇の列を作って診療を待つ人々

長蛇の列を作って診療を待つ人びと

保健省職員も「一番の課題は医薬品不足でした。今回の支援には本当に助けられました」と安堵の表情を見せていました。

ケニア赤スタッフは、「これまでの赤十字による保健衛生活動、そして、今回の浄水剤配布の支援により、頻繁に起こっていた洪水後のコレラや下痢などの感染症の流行はまったく見られませんでした。これは、迅速な対応と衛生教育の成果です」とケニア赤の継続的な活動による成果を語ってくれました。

被災者の生命、健康を守る今回の緊急支援は、生活再建への第一歩となったものの、現在も洪水により家族、住居、財産を失った住民は厳しい生活を余儀なくされています。赤十字は引き続きケニア国内での保健医療活動に取り組みます。