ウガンダ母子保健事業の成果と課題、そして今後

ママバッグの支援を受けて出産した母親たちと二星要員

ママバッグの支援を受けて出産した母親たちと二星要員

日本赤十字社(以下、日赤)はウガンダ赤十字社(以下、ウガンダ赤)と協力し、2010年1月から2012年12月まで、北部地域の妊産婦の安全な出産を目指した母子保健事業を実施してきました。

2012年6月から2013年3月まで、事業管理要員としてウガンダに派遣されていた二星智恵子看護師(神戸赤十字病院)が、3年にわたる事業の成果と課題、そして今後の取り組みについてお伝えします。

3年間の事業による成果の現れ

ウガンダ北部での事業実施により、さまざまな成果が上がっています。

自転車救急車

自転車救急車

① ボランティア研修の実施

母子保健についての正しい知識を持った80人のボランティアが、積極的に地域住民との対話集会や妊婦の家庭訪問を行うようになりました。

② 自転車救急車36台を主要な村に配置

救急搬送用の自転車救急車を主要な村に配置し、住民がいつでも利用できるようにしたことで、妊婦を保健センターに搬送することができるようになりました。

妊婦に付き添って保健センターで健康教育の説明を受ける男性参加者

妊婦に付き添って保健センターで健康教育の説明を受ける男性参加者

③ 妊婦へのママバッグ(安全な出産に最低限必要な物品一式)1万個の配布

保健センターで産前検診を4回受け、その後保健センターで出産した妊婦にママバッグを配布したところ、事業開始時には妊婦の2割しか保健センターで出産していなかった状況を、約7割まで改善することができました。

④ 男性にも参加を呼びかけた対話集会

妊娠や出産に関心の低かった男性が、安全な出産について話し合う対話集会に参加するようになりました。そして、妊娠中と出産直後における女性の家事や畑仕事について、負担を軽くする配慮が必要と考える男性の割合が5割から9割になりました。

男性が妊婦に付き添って保健センターを訪れるようにもなり、健康教育説明会への参加やエイズ検査を受けるなど、意識の改善もみられるようになりました。

地理的な状況による課題

家庭訪問のため村に向かうボランティア

家庭訪問のため村に向かうボランティア

事業の成果が顕著に見られるようになってきた一方で、難しい課題もあります。

ボランティア一人あたりの担当地域が広いため、その地域に住む妊産婦を把握することが難しく、家庭訪問や妊産婦登録の活動が十分に行き届いていない地域があります。

交通手段が整備されていないために、保健センターから遠い村に住んでいる妊婦にとって、産前健診や出産のために保健センターへ行くことが困難なケースがあります。

保健センターから10キロメートル以上離れたところに住んでいる妊婦とその家族からは、「大変な思いをしてまで保健センターへ行くべきなのですか」とためらいの声も聞かれます。

住民が広く点在して暮らしている地域では、ボランティアの数を増やすなどの対策を講じていかなければなりません。また、交通手段の問題には、保健センターでの産前健診と出産を提唱しているウガンダ保健省とウガンダ赤が協議し、改善策を模索していきます。

今後も支援を継続

対話集会に積極的に参加する女性

対話集会に積極的に参加する女性

これまでの活動で住民に広がった安全な出産に対する意識を定着させるとともに、さらに多くの妊婦が保健センターで産前健診と出産を行えるように、日赤とウガンダ赤は2013年1月から2015年12月までの3年間、母子保健事業を継続させることになりました。

新たな支援では、これまで9カ所の保健センターに対して行っていた支援を13カ所に増やし、ママバッグを1万5000個配布する予定です。

また、各村で1人のボランティアが活動を行えるよう、これまで80人だったボランティアをさらに増やします。

最終的にはウガンダ北部の人たちが安全な出産について正しい知識を身に付け、自分たちで考え、そして支え合っていく体制を作りたいとウガンダ赤は考えており、日赤はこれからもウガンダ赤と連携して活動を支えていきます。