チリ大地震復興支援:発災から3年

プロジェクトの進捗を説明する村上駐在員(中央)

プロジェクトの進捗を説明する村上駐在員(中央)

2010年2月27日に発生したチリ大地震(マグニチュード8.8)から3年が経ちます。

日本赤十字社(以下、日赤)とチリ赤十字社(以下、チリ赤)は、「地震や津波は怖いけれど、海とともに生き続けたい」という漁師の方々の思いを大切に、生活再建を支援しています。

生活の糧となる漁業用のボートとエンジンの配布(第1期事業)を経て、2011年12月からは、漁師らが所属する団体が計画・立案したプロジェクトを実現する第2期事業を進行中です。村上高広駐在員が現況を伝えます。

ベテランのわざ「路上会議」

現場コーディネーターのマグダレナ(左)とパブロ(右)

現場コーディネーターのマグダレナ(左)とパブロ(右)

第2期事業で支援するプロジェクトを公募したところ、78団体が名乗りを上げました。

しかし、団体の多くは教育を受ける機会に恵まれなかったこともあり、経営計画書の作成などは得意ではありません。

そこで、チリ赤の経験豊富な現場コーディネーターであるパブロとマグダレナが、見積りの取り方や書類の記入方法などを細かにアドバイスし、提案書を完成へと導きました。

2人のフットワークの軽さは天下一品。現地は携帯電話の圏外やインターネットアクセスがない場所が往々にしてあり、漁師とのコンタクトが容易ではありません。2人は移動中に申請者を見つけると、そのたびに車を止め、砂利道で立ち話を始めます。「これが僕らの現場会議ですよ!」とパブロは言います。

こうして集まった78の提案は、実現の可能性や地域経済へのインパクト、支援の持続性などの観点か選考され、最終的に残った21案件を支援することに決まりました。その一部をご紹介します。

食堂兼イベントセンターの建設(アラウコ地区組合)

食堂兼イベントセンター建設案を申請したアラウコ地区の女性グループ

彼らの作るスープやエンパナーダ(包み揚げ)は美味です。観光名所である同地区に食堂を構え、地元住民や旅行者に提供します。

建物はイベントセンターとして貸し出し、収入向上を図る計画です。

また、この組合はFAO(国連食糧農業機関)から食品安全にかかる研修や器具を受けることが決まっており、大きな成長が期待されています。

馬の支援(カニェテ地区団体)

馬を使った地引網を行うカニェテ地区の先住民グループへの支援

チリ国内でも珍しい、伝統的な馬による地引網漁を行っている地区からの申請です。

地震による津波で大切なパートナーである馬が流されてしまったことがその動機。

首元まで海水に浸かりながら、力強く網を引く馬の姿は圧巻です。

海藻用巻上機等の支援(ピリコ地区先住民女性グループ)

ピリコ地区先住民女性グループへの巻き上げ機の支援。移動の労働を軽減できる。

グループのメンバーは現在、採った海藻を100メートルほどもある崖の上まで背負って運んでいます。

巻上機、潜水服、冷蔵庫を支援することで、作業の効率化を図り、生産力を高める計画です。

加工プラント建設(レブ女性漁師グループ)

支援を喜ぶレブ地区の女性グループのリーダー

加工品の品質を改善し、販売単価の向上、市場での競争力アップを狙う計画です。

約1000人のメンバーを束ねるマルシア・カストロ代表(写真)は、「自治体に申請していた工場用の借地許可が先週やっと下りました」と喜びながら許可証を見せてくれました。団体自らも努力をすることで、支援の意義もさらに深まります。

今後、計画を軌道に乗せるには経営努力が欠かせないので、コーディネーターの2人を中心にモニタリングが続けられます。

他機関にも協力を呼びかけ

プロジェクトマネージャーのハビエル

現在の進行状況は、各団体からの提案書に沿って必要な物品の購入手続きを進めているところです。

今後も、見積り、入札、契約、購買、搬入、稼働とまだまだ道のりは長いですが、確実な支援を目指して、駐在員としての任務を果たしたいと思っています。

また、各プロジェクトが継続、発展していくためには、チリの他機関との連携が不可欠です。

プロジェクトチームは時間を見つけては、水産庁や漁業局、社会投資基金などを訪問し、赤十字の活動を紹介しています。

チームのマネジャーを務めるハビエルは、「今すぐ他機関から協力を得ることは難しいかもしれませんが、継続的な働きかけが実をつけると信じています」と語っています。

赤十字はこれからも沿岸部にたくさんの笑顔の花を咲かせ続けられるよう、支援を続けていきます。