ハイチ大地震から3年:いのち守れる土台づくりを

ハリケーン「サンディ」に襲われたレオガン市

ハリケーン「サンディ」に襲われたレオガン市

30万人以上が亡くなったハイチ大地震(2010年1月12日発生)から3年がたちます。

レオガン市は8割以上の建物が倒壊し、見るも無残な姿になっていましたが、今では大災害のつめ跡も薄まり、活気に満ちあふれています。

一方で、地震の後も自然災害は引き続きハイチを脅かしています。

昨年は熱帯低気圧・イザックとハリケーン・サンディが襲来。ハイチ全土で70人を超える死者を出し、およそ2000世帯の家屋が全壊しました。

さらに、洪水で衛生環境が悪化した地域ではコレラが発生しました。

日本赤十字社はその対応に当たるとともに、このような厳しい環境下にあっても、住民自らが健康を守れるようにするため、保健/給水・衛生事業を展開しています。

いのちの水、市内100カ所に

分担金支払管理帳について説明する水委員会

分担金支払管理帳について説明する水委員会

ハイチで清潔な水を得られるのは、人口の63%といわれています。生きていくための水を手に入れることも簡単ではないのです。

これまでの給水事業で、レオガン市には100カ所以上の給水所が新設もしくは修理されました。

給水所がある地域には、住民による「水委員会」が結成され、彼らが維持管理を行っています。その財源は住民からの集金です。

「最初はみんな集金の重要性を分かってくれませんでした」。ナン・シンジ地区の水委員会代表を務めるチャールズさんは当時の苦労をこう振り返ります。

何度も集会を開いて理解を訴え、集金したお金で家畜の浸入を防ぐ柵を設置するなど地区独自の活動ができるまでになりました。分担金支払管理帳も作成して各世帯に配布し、住民の意識を高めています。次は給水所のそばにゴミ箱を設置する計画だといいます。

チャールズさんは、「活動がとても充実していて、水委員会のメンバーであることを誇らしく思います」と話してくれました。

住民の意思で新しい一歩を

水まわりや用を足す場所を地面に書かれた地図に示す女性たち

水まわりや用を足す場所を地面に書かれた地図に示す女性たち

国際連合児童基金(UNICEF)によると、ハイチ国内のトイレ普及率は17%で、多くの人にはいまだ野外で用を足す習慣があります。

そのため、周辺の水が汚染され、下痢やマラリアなどの疾病を引き起こす原因になっています。

衛生事業では、トイレを使用しないことがいかに健康に害を及ぼしているか、「気づき」のワークショップを行っています。

「いつもどこで用を足していますか」「排せつ物が混入した水を飲めますか」。住民らは自分たちの習慣が体に及ぼす悪影響を初めて認識します。

トイレ用の穴を掘る住民と赤十字スタッフ

トイレ用の穴を掘る住民と赤十字スタッフ

私たち援助する側にとって、トイレを設置して住民に提供することは難しいことではありません。

しかし、彼ら自身が自分たちの習慣に疑問を抱き、トイレの大切さを認識し、変わるための行動を起こさない限りは、援助する団体が去った後、地域に何も残らないのです。

グラン・サバン地区では、住民が率先して庭先に穴を掘って、地区全体に簡易トイレが行き渡りました。

同地区でボランティアの調整役を担うルイスさんは「みんながそこらで用を足すひどい状況だったのに、トイレを使う習慣ができてとてもうれしい」と声を弾ませていました。

住民との集会で給水・衛生事業の説明をするハイチの赤十字スタッフと熊谷駐在員(手前左)

住民との集会で給水・衛生事業の説明をするハイチの赤十字スタッフと熊谷駐在員(手前左)

地震から3年たった今も、自然災害、ぜい弱なインフラ、不安定な食料事情など、ハイチの人びとを取り巻く状況は厳しいままです。

そんな中でも、住民たちは自ら変わろうとする意思を持ち、新しい一歩を踏み出そうとしています。その新たな歩みを、日本赤十字社はこれからも日本の皆さまとともにサポートしていきます。