チリ大地震復興支援:支援の現場から

漁村の集会所で第2期支援について説明

漁村の集会所で第2期支援について説明

日本赤十字社(以下、日赤)は2010年2月に発生したチリ大地震(マグニチュード8.8)の復興支援として、同年7月から被害の大きかった沿岸部の人びとの生計再建に取り組んでいます。

現在は、住民自らが企画・立案したプロジェクトを後押しする第2期事業を進行中。新たな現地コーディネーターを迎え、住民との信頼関係を軸に復興を進めています。

南米に位置するチリでは冬を迎え、特に事業地の冷たい潮風は体に応えますが、現場は活気であふれています。

土屋和吉駐在員から寄せられた現場の様子をお伝えします。

住民が望む再建へ。アイデアを公募

現場のひとつサンタ・マリア島には多くのアザラシが生息!

現場の一つサンタ・マリア島には多くのアザラシが生息!

南米の中でも比較的発展しているチリですが、一昨年の地震と津波で甚大な被害を受けた南部のビオビオ州アラウコ郡およびサンタ・マリア島には、いまだに被災家屋・施設が点在しています。

日赤はチリ赤十字社(以下、チリ赤)と協力して、2010年7月から翌年12月まで沿岸部の漁師に、ボートやエンジンの配布を実施(第1期事業 )。

アラウコ郡とサンタ・マリア島でも15漁村の延べ49人に22隻のボート、47台のエンジンを提供しました。

2011年12月からスタートした第2期事業は、沿岸部のさらなる経済復興・発展を目指して、漁師やその家族が構成する漁業団体やグループからプロジェクトを公募し、その実現を支援するものです。

どの漁村にも公平に情報がいきわたるよう、ポスターや冊子を使った説明会を3月から各村で実施。説明会に引き続き支援対象地域の約100の漁業団体やグループを直接訪問し、応募を呼びかけました。

ボート・エンジンの配付についてはこちらも併せてご覧ください。

相手を信頼することで支援が届く

申請書の書き方についてアドバイス

申請書の記入方法についてアドバイス

漁村をはじめ、漁業団体やグループに直接接触することは容易なことではありません。

漁村が大きな町や村から離れたところに位置し、これまであまり外部との付き合いが盛んでなかったため、支援に懐疑的な人もいるからです。

加えて、文字を書くのが苦手で、申請書の記入が難しいという人も。そうした人たちにもチャンスを生かしてもらうため、私たちは現地コーディネーターのパブロ・ゴロスティアガを新たに迎えました。

パブロは以前、政府や公共団体のプロジェクトに従事するなど、漁業分野での経験が豊富です。そんな彼は、漁師たちとの付き合い方について、「最も重要なことは信頼を得ること」と説きます。

彼らと同じ目線に立って、一つひとつの話に耳を傾け、わかりやすい言葉で説明する。それが適切なアドバイスをする一番の近道だと教えてくれました。

「やればできるんだ」住民の自信が発展の芽

土屋駐在員とチリ赤のパブロ

土屋駐在員(写真左)とチリ赤のパブロ(同右)

漁師の皆さんの「震災前の生活に戻りたい」「より豊かな生活を送りたい」という思いは強く、一度信頼関係ができると、思い思いの企画やアイデアがあふれ出てきます。

5月末の公募締め切りまでに、『漁師を夫に持つ女性グループによるレストランの建設』『海藻や貝類の加工プラントの建設』「養殖場の建設』など、70以上のプロジェクトが提出されました。

今後は、チリ赤内に組織された評価委員会が実施能力の有無や予算を審査し、支援するプロジェクトを絞り込んでいきます。

パブロは「選定に漏れてしまうプロジェクトは残念ですが、応募した団体の中には初めて自分たちの力で企画・立案したところもあります。そんな彼らには『自分たちの手でプロジェクトを作れるんだ。やればできるんだ』という組織強化の面で貢献できていると思います」と第2期事業を評価。

その上で、「長い目で見たら、チリ赤と日赤は新たな一つの種をまいたのでは」と今後の発展に期待を込めます。

日赤は、チリの被災者に寄せられた皆さまからの大切な救援金を元に、沿岸部の生計再建事業を引き続き支援していきます。