シエラレオネ赤十字社への支援開始(シエラレオネ赤十字社・地域保健事業)

日本赤十字社(以下、日赤)は、アフリカ地域での保健分野に重点を置いた支援を展開していくことを方針の一つとしています。

なかでも、乳児死亡率、妊産婦死亡率(※)の高いシエラレオネの保健状態を改善するため、シエラレオネ赤十字社(以下、シエラレオネ赤)が実施している地域保健事業への支援を2012年1月から開始しています。

保健分野への支援が必要なシエラレオネ

地方の村の様子

シエラレオネは1991年から2002年までの間、政府と反政府勢力による内戦に見舞われました。

内戦の終結から10年が過ぎ、復興への歩みが急速にそして着実に進められていますが、その一方で経済の立て直しには時間を要しています。

また道路や病院などのインフラ整備も思うように進まず、多くの課題を抱えています。

こうした状況を踏まえて、シエラレオネ政府は保健分野を改善する方針を示し、人びとの生活環境を改善する取り組みなどを始めていますが、十分な成果を上げているとは言えません。

多くの人びとが、正しい情報を得ることで防げるはずの病気で、苦しんでいます。

シエラレオネ赤はこうした中、長年にわたり地方の村で暮らす人びとの保健衛生状態を改善する活動を全国規模で行ってきました。日赤はシエラレオネ赤が実施する地域保健事業のうち、北部3県での活動を2年間にわたり支援します。

  • ※シエラレオネでは出生1000人当たり192人(2009年)の1歳未満の乳児が死亡しています。妊娠、出産が原因で死亡する年間の妊産婦数は10万人当たり970人(2008年)です。(参照データ:国連児童基金(UNICEF))

地方の現状

水を入れたバケツを頭にのせて運ぶ住民

地方の村には、電気やガス、水道がありません。住居は木や土、わらなどで作られており、台所、トイレ、風呂などの設備はありません。

多くの村人たちは、小川に水をくみに行き、まきで料理を作り、トイレは家の裏の茂みで済ませているのが現状です。

また、ごみが家の裏に捨てられて散らかり、家畜がその中を歩き回っている環境で、衛生環境は良くありません。

子どもに予防接種を受けさせることの大切さを知らず、HIV・エイズ、マラリアなどの感染症を予防する知識を持たない人も多くいます。

保健衛生課題への総合的な取り組み

知らないが故に健康を害したり命を落とす人を減らすため、シエラレオネ赤は、全国で保健衛生状況を改善する事業を行っています。感染症の原因として、村に潜在する問題が複合的に絡み合っている場合が多くあります。シエラレオネ赤十字社は、この問題を効果的に解決するために、以下の5つの分野で保健活動を展開しています。

  1. HIV・エイズについての知識の普及
  2. 母子保健の改善のための妊婦健診の受診促進や保健所での出産指導
  3. 安全な水の利用と衛生環境の整備
  4. マラリアなどの感染症予防の指導
  5. 感染症大流行時に対応する緊急保健

マラリア感染予防の普及を図るには、蚊を媒介とした感染症であることを住民に教える(知識の普及)必要があると同時に、蚊の発生を抑制する対策(蚊が卵を産む水場を作らない指導)を講じ、蚊に刺されないようにする環境(蚊帳(かや)の利用促進)も整える必要があります。

一つの問題を解決するためにはこうしたさまざまな対策を組み合わせて取り組むことが大切です。これまでにシエラレオネ赤が活動を行ってきた村では、井戸やトイレ、ごみ捨て場、家畜を飼育する柵などが作られ、衛生状況の改善が図られています。

住民たちは健康に関して自分たちの問題として考えるようになりました。妊婦は安全な出産のために産前健診を受けるようになり、自宅ではなく医療設備のある保健所で出産をするようになりました。また、母親たちは子どもに予防接種を受けさせることや蚊帳の中に寝させることの大切さを理解するようになりました。

活動の成果は着実に表れ、より多くの村での支援活動が求められています。

住民が健康になるために

安全な水が利用できる井戸が作られています

シエラレオネでは住民の健康や衛生状態について、課題を抱えた村がまだまだ多くあります。

しかし、政府や地方行政は、経済的な理由や人材不足から十分な対応ができていないのが現状です。

こうした国では、赤十字社の活動が大変大きな意味を成しています。

日赤はシエラレオネ赤による地域保健の活動を資金面から支援し、この国の人たちが健康に暮らしていける力になりたいと考えています。