ケニア地域保健強化事業~子どもたちが健やかに育つために~

ケニアの首都ナイロビから北東へ約50キロメートルの場所にあるガルバチューラ県では、保健医療施設があっても機能していない、または遠くて通えないという状況が多く、住民は保健医療サービスを受けることが難しい環境で暮らしています。

多くの住民が健康に関する十分な知識を持っていないため、子どもたちが下痢症や肺炎など予防可能な病気でいのちを落とすこともあります。日本赤十字社(以下、日赤)はケニア赤十字社(以下、ケニア赤)と協力し、2007年から5歳未満児の疾病と死亡率の削減を目標として、地域の保健強化に取り組んでいます。

予防接種率が向上

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ボールで元気よく遊ぶ子どもたち

家庭訪問するボランティア

ガルバチューラ県では事業開始以前、1歳未満児に対する予防接種率の低さが問題の一つでした。

ケニア保健省はBCG、三種混合、はしかなどの予防接種を生後9カ月までに行うことを推奨しています。

保健省の報告によると事業開始当時、同県の予防接種率は65%でしたが、2011年には80%以上にまで向上しました。

本事業が予防接種率の向上に貢献できた要因の一つに、公衆衛生や保健に関する研修を受けた地域保健師と赤十字ボランティアが行う活動が挙げられます。

彼らは、住民に病気を予防するための知識を普及すべく、家庭訪問をする際、母親から母子手帳を見せてもらい、子どもに予防接種を受けさせているかを確認し、まだ受けていない予防接種がある場合は、保健医療施設等において接種するよう指導しています。

また、ケニア赤と県保健局が協力して、月に1回実施している巡回診療も予防接種を受ける機会を増やすことに繋がっています。

巡回診療は、同県の事業対象地17村のうち、保健医療施設が存在しない、もしくは機能していない6村を対象としており、提供するサービスの一つに1歳未満児への予防接種が含まれています。

このような取り組みの結果、予防接種を受けさせることが自分の子どものいのちを救うために、大切なことであるという考えが根付いてきています。

子どもを思う気持ちは一緒

巡回診療での予防接種

エスコット村の女の子

巡回診療地の一つに人口約2000人のエスコット村があります。この村には保健医療施設が一つもなく、毎月市場が開催される時期に合わせて、巡回診療が行われます。

市場にはエスコット村周辺から来る人も多く、市場で情報を得た人が毎月新たに診療に訪れるため、巡回診療の受診者数が少しずつ増えています。

この村から少し離れた場所に住む親子が初めて巡回診療にやってきた時の話です。母親が連れてきた子どもは年齢が2歳になりますが、生まれてから一度も予防接種を受けたことがありません。

現地の慣習で、伝統療法に頼ってきた母親自身も予防接種の経験がなく、また予防接種によって多くの病気を予防することができることを知りませんでした。そのため現代的な医療を受け入れることに、抵抗感があります。

しかし、市場で巡回診療の話を聞き、自分の子どもを病気で失いたくない、自分の子どもが病気にかかってほしくないという気持ちで診療を受けにきたと言います。

どんな場所であっても、子どもが元気に育って欲しいと願う気持ちは同じです。予防接種を終えた子どもを抱き、母親は安心した様子で微笑みました。そして、今後も巡回診療に来て子どもに必要な予防接種を受けさせるよう説明する看護師の言葉に、真剣に耳を傾けていました。

子どもたちが健康に暮らしていけるように、そして健やかに育っていけるように、これからも日赤は活動を支援していきます。