スリランカでのスマトラ島沖地震・津波災害復興支援事業が終了

支部・災害対策センターが完成

完成したトリンコマレー県支部

日本赤十字社(以下、日赤)は、災害時に救護活動を展開する支部の機能を強化するために、スリランカ赤(以下、スリランカ赤)を支援してきました。

このたび、トリンコマレー県支部建設事業が完了しました。

完成までは長く険しい道のりでしたが、4月には同社への引き渡し式が行われます。

今後は支部において、災害対策をはじめとする研修などが開催される予定です。

フィフスマイルポストで暮らす津波被災者の今

干物を作る受益者

トリンコマレー県は津波による直接被害を受けた地域の一つです。

フィフスマイルポストには発災時、沿岸地域から200メートル以内に住んでいて、政府の方針により移住を求められた被災者が、日赤の住宅支援を受けて暮らしているコミュニティーがあります。

現在、71世帯265人が生活し、主に漁業、小売店経営などで生計を立てています。

コミュニティーの中に魚を日干ししている家がありました。「鮮魚は3キロ300ルピー(約190円)で売れるのですが、魚を3日間日干しして干物にすると1キロ500ルピー(約320円)になります」と住民はうれしそうに話していました。

フィフスマイルポストではコミュニティーが運営する銀行からローンを受けることもでき、人びとの経済的自立を促進しています。3年経って人びとは落ち着いて生活を取り戻しています。

北部避難民の住宅支援・生計支援

日赤の支援により建てられた住宅

北部住民はスマトラ島沖地震・津波災害時に大きく被災しました。

しかし、スリランカ国軍とタミール・イーラムのトラ(LTTE)による紛争中であったため、十分な支援が受けられず、紛争の激化とともに避難民となって過酷な環境下での生活を余儀なくされていました。

2009年5月の紛争の終結後、スリランカ赤と国際赤十字は、現在までに2532世帯を対象に住宅の建設を支援。

そのうち、日赤は2010年からヴァヴニア県ムラティブ地区などのコミュニティーを対象に、合計240世帯の住宅支援を行っています。2012年3月現在、約100軒がほぼ完成しています。

スリランカ赤の担当者は、「北部避難民への支援は当初注目を集めていませんでしたが、着実に住宅建設を進めた実績のおかげで注目を浴びるようになり、支援の輪も次第に広がっています」と話しました。

日赤の支援により住宅と生活を取り戻しつつある北部避難民

昨今、木材などの建設資材が高騰しています。

自己資金や生計収入のある受益者は家を建てられますが、日々の生活に困っている大半の受益者は日赤の支給額(32万5000ルピー、約21万円)だけでは家を建てることがかなり難しく、銀行で資金を借りたり、所持している貴金属を担保にして建設費用に充てている状況です。

このため赤十字は、受益者への支給額を増額(合計50万ルピー、約32万円)するとともに、今後は受益者への建設費用の支給のほか、地元の人たちが支え合うための活動の場となることが期待される、コミュニティーホールなどの公共施設の支援も検討しています。

内戦の深いつめ跡とさらなる支援

受益者たちに語りかける北村幸美要員

内戦が終了して約3年が経過しますが、北部には内戦の影響がまだ強く残っており、受益者の中には、内戦中に砲弾により負傷した子どもを抱えている家族がいました。

日雇い労働者としての収入のほとんどは子どもの治療費などで無くなり、住宅の建設費用を賄うのがとても難しいとのことです。

事業を担当している北村幸美要員とスタッフは、受益者の抱えている問題に耳を傾けながら、受益者を励まし住宅建設に向けてのサポートを行います。

受益者を集めた集会では「4月半ばまでになんとか完成させましょう。すでに住宅が完成している受益者は、建設途中の受益者の支援をさらに進めて」と受益者同士で協力し合うように促しました。

受益者の代表は「日赤がわれわれ240軒の住宅支援をしていることに感謝しています。でも、ほかにも同じように住宅を必要としている多くの人びとがいるので、これからも支援をお願いしたい」と話しました。

スリランカでのスマトラ島沖地震・津波災害復興支援は地元の赤十字社、国際赤十字に活動が引き継がれ、日赤の直接的な支援は、平成23年度をもって終了します。

日赤を通じて、これまで、スマトラ島沖地震・津波災害復興支援事業に多くのご支援を賜り、誠にありがとうございました。