チリ大地震復興支援:発災から2年

現場と日赤本社をつなぐチリの土屋駐在員(右手前)

被災者200万人にも及んだチリ大地震から2月27日で2年が経ちます。

被害は全土に広がり、特に沿岸部の津波被害は深刻でしたが、人びとは少しずつ震災前の生活を取り戻しつつあります。

日本赤十字社(以下、日赤)は復興支援として沿岸部の生計再建に取り組んでいます。今回はチリで事業管理を務める土屋和吉駐在が、現地の様子をお伝えします。

ボートやエンジンの配付が完了

ボートを受け取った漁師(中)とチリ赤のスタッフ

日赤が2010年7月からチリ赤十字社(以下、チリ赤)に協力してきたボートやエンジンの配付事業は、2011年12月に完了しました。

この事業では家財や漁具を失った147人の漁師が、ボート70隻とエンジン137台を受け取りました。

私自身は前任者から引き継ぐ形で昨年の8月から駐在しており、真新しいボートと初めて対面した漁師のとびきりの笑顔がなんとも印象的だったのを覚えています。

「グラシアス(スペイン語で『ありがとう』)」と感謝の言葉を述べながら、漁のパートナーとなるボートに傷が付かないようにと、ひと時もボートから離れません。それを見て、今度はこちらも笑顔になります。

出漁が困難だった漁師の皆さんは希望とともに、再び海へと出られるようになりました。

『赤』を基調としたボートが大海原へ

彼の住むサンタマリア島は本土からボートで30分。「支援が届きほっとしました」と話します

チリの漁村には今年、色とりどりの漁船が停泊しています。

黄、白、そして赤十字が配付した赤いボート。漁場に向かう出漁光景は圧巻で、無数の船がわれ先にと大海原へと出航していきます。

先のチリ大地震により地形が変わったため、以前のように満足いく漁ができない、漁獲高が上がらないなどの状況もありますが、漁師は悲嘆に暮れているばかりではありません。

南米特有の明るさを振りまきながら、ご自慢の赤いボートに乗り込み、さっそうと漁に出ていきます。

チリ赤のスタッフなくして今はない

プロジェクトに従事するチリ赤スタッフ。左からリーダーのデニス、現地コーディネーターのニコラス、会計担当のハビエル

日赤が支援する沿岸部の生計再建事業には、4人のチリ赤スタッフが従事しています。

漁村に直接出向き、一人ひとりにヒアリング調査し支援を届けるという一連の作業は、一見強面でも心優しいチリ赤スタッフがいなければできなかったことです。

4人に「日本の皆さんにメッセージはありますか?」と聞いたところ、「日本からの支援があったからこそ、チリ大地震で生活の糧を失った漁師にもう一度海に戻ってもらえます。そして、彼らは今後も働けるのです。日本の皆さん、本当にありがとうございます」と口をそろえて答えてくれました。

今後も沿岸部の生計再建分野で支援を継続

1月から新しくプロジェクトに加わったパブロ(右)。とても真面目で熱心、漁業にも詳しい

ボートやエンジンを手にした漁師は海に戻れるようになり、喜びもひとしおです。

しかし、南米諸国の中でも経済発展の著しいチリで最貧困層に位置づけられる彼らが、本来あるべき生活に戻るためには、さらなる支援が求められます。

昨年暮れからは第2期事業として被災地の漁業団体やグループを対象に、彼ら自身が企画したプロジェクトの支援が始まりました。

すべての提案に応えるのは困難で、中には実施に必要なマンパワーを団体が持ち得ていない場合もあります。プロジェクト作成時点で各団体とよく話しあい、適切なアドバイスをすることが欠かせません。

チリの首都サンティアゴのオフィスから事業地までの片道7時間の車移動は楽ではありませんが、現場を訪問することで、漁村の抱える問題を吸い上げ、適切な協力方法を見出すことができます。漁村の皆さんの笑顔をモチベーションに変え、今後も足しげく通いたいと思います。

これまでに対象となる9つの漁村から『貝の養殖場整備』『魚や海藻の加工プラントの建設』などの案が上っており、日赤は皆さまからチリの被災者のために寄せられた救援金をもとに、プロジェクトの実現を支援していきます。